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[短線小説]愛に぀぀たれお

    あたりれいこ

    楠家の長女陜菜は今幎から倧孊生になる。

    陜菜は柟ず亜玀倫劻が初めお授かった子ずいうこずもあり、手探りの子育おだった。
    そのせいか、陜菜は育おにくいずころのある子だった。
    奜きなこずには時を忘れお没頭する䞀方で、今やるべきこずの優先順䜍を぀けるのが苊手だ。

    陜菜が䞭䞀の倏䌑みのこずである。亜玀は聞いた。
    「陜菜ちゃん、もうすぐ新孊期だけど、宿題は倧䞈倫」
    「あず、読曞感想文だけ。䜙裕っしょ」
    「どれぐらい曞いおあるの」
    「今、本読んでるずころ」
    「ええっ、明埌日から孊校だよ。倧䞈倫なの」

    読曞感想文は倏䌑み最終日、倜䞭たでかかっおやっず完成した。
    仕䞊げるのに時間がかかったのは、文章をたずめるのに時間がかかったからだけではない。
    陜菜は文字を䞁寧に曞くのだ。矎しい字を曞くのは長所だが、ずにかく時間がかかる。

    陜菜はおっずりしおいお、自分から䜕かをやりたいず蚀い出すこずが少ない。習い事にしおもそうだった。芪が勧めるからピアノずスむミングに通った。効がスむミングをやめお、䜓操教宀に行くず蚀うから自分もそうした。

    䞀぀だけ違ったのが習字だ。
    「お母さん、わたし習字習いたい」
    陜菜が初めお自分から蚀い出した習い事の垌望だった。

    「ピアノに䜓操に習字もずなるずちょっず忙しいかもね。倧䞈倫」
    「ピアノは続けたい。䜓操はやめる」
    陜菜は黒目がちの目を芋開いお蚀い切った。

    父芪の柟譲りの倧きな目、長いた぀毛。母芪の亜玀から芋おも、嚘は矎少女だず思う。

    日頃、自己䞻匵するこずが少ない陜菜が初めお自分の意思で決めた習い事である。

    陜菜は高校受隓ものんびりしおいた。
    䞭䞉になっおも、ただ志望校が決たらない。
    倏䌑み、母ず䞀緒に参加した孊校芋孊䌚でやっず絞れおきた。芪子で話し合っお䜕校かに絞り、最終的に自宅からバスで30分ほどの郜立高校に無事合栌した。

    ある日、陜菜はリビングの棚の隅に䜕冊かのフォトブックを芋぀けた。

    「陜菜 3歳のアルバム」
    「陜菜3歳から4歳」
    「愛に぀぀たれお」
    「茝け、未来」

    これらはすべおフォトブックのタむトルである。
    母方の祖母が撮圱し、たずめたものだった。
    祖母は陜菜が3歳の時にデゞタル䞀県レフカメラを始めたず聞いおいる。
    「可愛い孫嚘の姿を自分の撮圱で静止画に残したかったの」ず祖母が語っおるのを聞いたこずがある。

    それにしおも、「愛に぀぀たれお」ずか、「茝け、未来」なんお倧げさなタむトルをよくぞ぀けたものだず思う。
    母が突っ蟌みを入れおいた。

    「お母さんたら、たたすごいタむトル぀けたわね。わたしだったら恥ずかしくお、ずおもこんなタむトルは぀けられないな」
    「おばあちゃんの特暩よ。奜きにさせお」

    陜菜は久しぶりにフォトブックをめくった。
    クッキヌを䜜る陜菜、ピザを䜜る陜菜、初めおギョヌザを䜜る陜菜、䞀人で家族みんなのためにおにぎりを䜜る陜菜。

    遊んでいるずころを撮った写真のほうが圧倒的に倚いのだが、なぜか料理しおいる陜菜の写真に目が行っおしたう。

    思えば、自分は幌い時から料理するこずも食べるこずも倧奜きだった。
    母芪の亜玀に「お母さん、クッキヌ䜜りたい」ず蚀うず䞉回に䞀回は䞀緒にやっおくれるが、あずはこんなふうにかわされた。

    「今床おばあちゃん来るから、その時䞀緒に䜜ったら」
    次第に陜菜も心埗お、「今床おばあちゃんが来たら、䞀緒にピザ䜜りたい」ずか、「ギョヌザ䜜りたい」ず蚀うようになった。

    「倧きくなったら、䜕になりたいの」ずいう倧人からのお決たりの問いかけに、しばらくの間は「カフェの店員さん」ず答えおいたらしい。

    成長するに埓っお、カフェの店員になりたいずは蚀わなくなっおいた。今は口には出さないが、将来は食に関わる仕事に就きたいず思っおいる。

    いろいろな倧孊を調べおいたら、四幎生倧孊で卒業時点で管理栄逊士の囜家詊隓受隓資栌が埗られるずころがあるこずを知った。しかも、その倧孊は母の実家がある山梚県にあるのだ。

    幌い頃、い぀も䞀緒に料理しおくれた祖母。

    母は恥ずかしいず蚀ったが、祖母がフォトブックに぀けたタむトルは今日の日を予芋しおいたかのようだ。

    「愛に぀぀たれお」

    陜菜は久しぶりに祖母にお願いするこずができた。
    「おばあちゃん、䞀緒に〇〇䜜りたい」ではない。

    「おばあちゃん、䞀緒に暮らしたい」

    (完)

    #䞀枚の写真から文芞賞
    #短線小説
    #䞀か月連続投皿

    お読みいただきたしおありがずうございたす。
    同じ䞖界芳の連茉小説を始めたした。
    2,000幎頃が舞台の、䞍況に翻匄されるサラリヌマンの挫折ず再起の物語です。こちらから、お読みいただけたす。

     
     
     
    家庭料理講垫。小説、゚ッセむ、地元山梚の魅力、料理にた぀わる蚘事を投皿しおいたす。フォロヌは蚘事を読んで「いいな」ず思った方にお返ししおいたす。のんびりペヌスですが、よろしくお願いしたす。

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