
UltraCore│Episode8「神々の黄昏」

「旅行…」

「日本酒…」

……………

……………
お月「やるか!」

……………
セリス「マズイなぁ…」
……………
お月「どうした、みんな深刻な顔して」


リネン「おはようございます、お月さん」
……………
……………
セリス「…今日は朝から雷帝券が2000ドル近く暴落してる。いくらなんでも激しすぎるよ…」
……………
お月「…そうか」
セリス「それに阿片の引き出しも、このところ微増してる…」
リネン「このままだと取り付け騒ぎに発展しかねません」
バカン「…取り付け騒ぎ?なんだよそりゃ」
リネン「雷帝券がただの紙屑になるということです」
バカン「なっ!…」

お月「考えがある」

宗久「おや?」
……………
お月「今日、No.18000付近の大量引出しがあると神殿内に通告する。内通者がいれば必ず動きがあるはずだ」
?????
リネン「……………それこそ取り付け騒ぎになるのでは…?」
お月「時間との闘いだ。まだ話が神殿内で留まっているうちに解決する。それと…宗久といったか」
宗久「…えぇ」
お月「お前の前で言ったのには訳がある。シャーラン内にこの噂を流せ」
宗久「…私は部外者ですよ…」
お月「なんとかしろ。条件は飲む」
……………
宗久「では、そうですね……………」

宗久「撮りましょう!」
?????
……………
お月「…何をだ」
宗久「あなたの闘いを追わせてください。ドキュメンタリーですよ」
お月「……………ま、まぁいいだろう」
宗久「よし!」
……………
お月「ただし!
お月と呼ぶなよ。私はハルカ・ミゾグチで通っている」

宗久「かしこまりました!ハルカさん!」

セリス「ねぇお月。なにを狙ってるの?」
……………

お月「…結果は私にもわからん。…だがkizzならこういうとき、全部混ぜて爆ぜる」
……………

……………

……………
ガリム「おいおい!特大情報だぜこれは…!」
ゲリラ「300キロ?」
……………
ガリム「…だが顧客名簿には300キロの持ち主なんて上がっちゃいなかったが」
ゲリラ「有志連合か何かじゃないですか?ハリケーンの奴らの、あのふざけたなんとか券が信用落としてるとか?」
ゲリラ「はは!そういうことなら俺達の功績だ!死にかかってやがるぜ!なにが雷帝だ!」
ガリム「どっちにしろ300キロ分の現金なんか持ってねえから買取は不可能だ…下ろした人間を確認したら襲撃だ!」
!!!

お月「人のいない林道へいけ」
運転手「は、はい!」

……………

宗久「もう少しスピード出せない?全然ハルカさんたちの車撮れないよ…」
紫苑「怒られますよ。離れてついて来いって言われたでしょ」
宗久「…もったいないなぁ」
!!!

ゲリラたち「い〜やっほーう!!!!」

ガリム「置いていってちょうだい!そのお荷物をさ!」

お月「力を抜け…何も考えるな…」
運転手「はいぃぃ!」

……………

ゲリラ「は、速ぇ…」
……………
!!!
「だがしかーし!!」

ガリム「300キロだ!300キロも手に入ったぞ!一応検品しろ!」
ゲリラ「問題ありません!本物です!」
ガリム「ん〜!!な〜にからなにまで!!完璧な1日だぁ~!!」
……………


宗久「…あ、いたいた」
………………

お月「親父、お前は歩いて帰れ。報酬は神殿のリネンという秘書からもらえ。私たちはこのままゲリラどもを追いかける。」
オヤジ「…はい」

紫苑「大丈夫なんですか?阿片、全部渡しちゃって」
お月「問題ない。あんなやつら、いざとなれば瞬殺だ」
宗久「ハルカさんは激務をなんなくこなす印象を受けます。なにがあなたをこんなに突き動かすのですか?」
お月「…これはドキュメンタリーの一環か?」
宗久「そうですね!」
お月「…みんなの笑顔が見たいからだ」
宗久「素晴らしいご回答」
お月「本当は…日本酒のためだ」
宗久「…日本酒…ですか…
ここはカットしときますね」
……………
……………
?????
お月「…おい。停まれ。なんか変だ……………」




お月「ちょっと見てくる」

宗久「待って待って!お供します!」


「確保ー!確保ーーー!!!!」
?????
……………

……………
リャン「まだ息がありますね…手錠して連れてきなさい」

リャン「この荷はそのまま私のクルマに積んでください。…一応上の伺いをたてないといけないのでね…」

宗久「…おやおや、阿片を持ち帰るみたいですね」
お月「…燃やされる前に斬り伏せるつもりだったが…」
宗久「…ふうむ?」
お月「ちょっと待ってろ」

……………
お月「お前たちはこの軍服に着替えろ。少しは危険が遠のく…」

紫苑「局長、ほら、着崩れしてますよ。しっかりしてください」
宗久「いやぁ初めて着たけど重いねぇ、これ…」

お月「…行ったか」
……………

宗久「ひんどいなぁ…」
紫苑「生存者は…いない…か?」

宗久「はぁ~!この残骸が戦闘の激しさを物語ってますねぇ〜!」
お月「…女豹か、お前は―」
………………

お月「もう死んでいる、な…」
……………
紫苑「そろそろ追いかけましょう、追いつけなくなる……」

市街地到着―

リャン「ここでいったん休憩としましょう。2時間とします。
私は上との話し合いがありますので出かけてまいります。
みなさん、街でたくさんお金を使ってあげてくださいね…」


紫苑「こんなところでわざわざ単独行動を…?」
お月「怪しいな、あのハゲメガネ…」
……………
紫苑「…こ!これは!」

紫苑「ケシ畑ですよ!なんて広さ…」

お月「……………」
紫苑「…こんな量の阿片がシャーラン内部で…」

宗久「…リャンはたしかに怪しいですが、この規模………個人でここまでというのも考えづらい…。過激派の闇を垣間見たのかもしれませんね…」
……………
お月「…お前撮ってて大丈夫なのか?殺されるかもしれんぞ」
宗久「……………」
紫苑「局長、限度はわきまえてくださいね…」

「飯いくかー」
「おまえ最近太ってねぇ?」
「ちょっとな、ははは」
……………

「俺は昼寝してるわ〜」

「よっこらしょ…」
!!!


ガリム「こんにちは〜」
……………

「殺してやるから待ってろよ〜ん♡」

リャン「あらあらみなさんお揃いで……お出迎えありがとうございます」


リャン「今月はいささか少ないようですが…?」
村人「すみません、冬になるとどうしても…」
リャン「…まぁいいでしょう。あなたがたにはこれからも励んで頂かないとね…」

お月「…そろそろ斬るか…」
……………
紫苑「…!!あ!あれは!」

!!!


ガリム「俺の子飼いの兵どもをよくも…!!!」







「…え?」


!!!

リャン「…ちっ」

ハルク「ガリムさん!ガリムさん!」
……………

ハルク「旧政府時代、私はガリムさんの元部下の軍人でした。もう何年もお会いしていませんでしたが…」
お月「ふうん…今はあの白いやつらが支配者ということでいいのか?」
ハルク「…えぇ、私らは庇護してもらうかわりに税を払っています。ただ近年、取り立てが過剰になっており、私共は苦しい生活をしておりました…」
宗久「リャンさん…先ほどの丸刈りの軍人ですが、あまりいい噂は聞きません…」
お月「…着服か」
ガリム「アイツはたちが悪いが頭の回る男だ。俺たちにとっても長年厄介だった…だが、神々の息吹は本来俺たちのものだ」
紫苑「神々の息吹とは?」
ハルク「神々の息吹は、現シャーラン地区付近で栽培される阿片のことです。品質がずば抜けて高く、古来、信仰の対象でした。
その市場価値は、通常阿片の10倍から、ときに20倍にも達します」
紫苑「1.2倍で買い取ってもまったく痛手ではなかったということですか…」
ガリム「…あぁ」
お月「シャーランは阿片を禁じつつ、裏ではしっかり利益に変えている、と」
ハルク「ええ…、しかしこのことは上層部の、そのまた一部しか知りません。おおっぴらにすれば、クーデターすら起こりかねませんから…」
お月「…解せんな。なぜわざわざ阿片禁止の戒律を?」
ハルク「先ほど、神々の息吹は古代信仰だと申しました。その古代信仰にたいする、より合理化された一神教こそがシャーラン教です。
シャーランは古代信仰を全否定することから始まりました。
それに禁止の戒律は、上層部にとっても都合がいい。実態を知られないことで、外部にたいして優位にたてますから…」
お月「そうなると、お前たち阿片栽培人の立場は危ういな…原理派に狙われる恐れすらある」
ハルク「えぇ、ですので、やはり庇護下に入るしかありません。
リャンは悪党でした、次の管理者が来るとして、リャンほど税を取り立てないのであれば、私どもはその者に税を払い続けることになるでしょう―」
お月「そういうことなら」

「今日からここは私のナワバリとする」
「え!」


「嬉しい!お姉ちゃん大好き!」
「ごはん食べていって!」
お月「いや、私は…」

紫苑「いいんじゃないですか?それくらい」
……………
お月「…荷はうちの部下どもに取りに来させるか」
子どもたち「わーい!!」
お月「ときに―」
お月「日本酒はあるか?」
母親「…いえ、日本酒はありません…」


お月「…神々の息吹、か」
宗久「この祭壇もかなり古そうだなぁ」
紫苑「あまり吸い込むと、馴れてない我々には効きすぎますよ…」
……………
少女「あ!いたいた!」

母親「日本酒はありませんが、こちらをどうぞ」
お月「ほう…気がきくな…」


紫苑「えっどうしましたか?」
お月「うふふ…」

お月「あるじゃないか…」


お月「愛しているぞ」
宗久「ラリってる!阿片ガンギマってる!」
お月「美味しくいただくとしよう…」
紫苑「ちょ!それはマジでだめです!」

