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タイ人の友達に、日本酒を飲ませたかった。

    僕は、お酒が好きだ。
    ビールも好き。
    ワインも好き。
    そして、
    何より日本酒が好き。


    日本にいた頃は、
    ほぼ毎日晩酌をしていた。
    仕事終わりにコンビニでビールを買って帰る。
    休みの日には、
    少し良い日本酒を開ける。
    そんな生活が、
    当たり前だった。


    でも、
    バンコクに来てから、
    一つ問題がある。
    酒が高い。
    本当に高い。
    特に、
    ワインと日本酒。
    日本酒なんて、
    体感、日本の5倍くらいする。
    「いや、これはさすがに高すぎるだろ…」
    毎回そう思う。


    でも、
    しょうがない。
    輸入だし、
    税金もある。
    だから最近は、
    日本にいた頃みたいに、
    気軽には飲まなくなった。


    そんな中、
    先日、
    バンコクで日本酒イベントが開催されていた。
    日本の酒蔵さんたちが、
    沢山タイに来ていた。
    僕はこういうイベントが大好きだ。
    見たことのない銘柄。
    初めて飲む味。
    酒蔵さんから直接話を聞きながら飲む日本酒。
    やっぱり楽しい。


    もちろん、
    気づけば大量に買っていた。
    日本の5倍の価格で。
    いや、本当に高い。
    でも、
    完全にテンションが上がっていた。


    そして後日、
    タイ人の友達と和食を食べに行く予定があった。
    その時、
    ふと思った。
    「刺身と日本酒の旨さを、どうしても伝えたい。」


    日本人なら、
    たぶん分かると思う。
    刺身を食べて、
    そこに日本酒を流し込む瞬間。
    あれはもう、
    一つの文化だと思っている。


    だから僕は、
    イベントで買った日本酒を、
    お店に持ち込みした。
    もちろん、
    少し緊張した。
    口に合わなかったらどうしよう。
    独特な香りが苦手だったらどうしよう。


    でも、
    結果は大成功だった。
    「え、これ、うまい!」
    刺身を食べて、
    日本酒を飲んで、
    また刺身を食べる。
    その繰り返しに、
    かなり感動してくれていた。


    しかも後日、
    その友達から連絡が来た。
    「最近、自分でも日本酒買って家で飲んでる。」
    完全にハマっていた。


    なんだか、
    めちゃくちゃ嬉しかった。
    もちろん、
    僕が日本酒を作ったわけじゃない。
    日本酒を造っているのは、
    日本の酒蔵さんたちだ。


    でも、
    自分が好きな文化を、
    誰かが好きになってくれるって、
    やっぱり嬉しい。
    あの時、
    「うまい!」って笑っていた顔を見て、
    少しだけ誇らしい気持ちになった。


    海外に住むと、
    日本の良さを、
    前より強く感じる瞬間がある。
    そして最近、
    バンコクでも少しずつ、
    日本酒が広がっている気がする。


    いつか、
    タイでも、
    「今日は刺身だから日本酒飲もう」
    が当たり前になる日が来るのかもしれない。


    その時はたぶん、
    また日本酒を大量に買っている。
    日本の5倍の価格で。


    そういえば、こんな話も書いていた。


     
     
    仕事を辞めた次の日、 僕は何も感じなかった。 それが、全ての始まりだった。 ----- 40代・ゲイ・元仕事人間。 パートナーの転勤で、夫夫でバンコクへ。 人生の当たり前が崩れていく過程を、できるだけ正直に書いています。 毎週火・金21時更新。100話まで書きます。

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