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Photo byshikibufree17

公務員ライフのリアル vol.9 ~辞めたくなる瞬間は何回も訪れる~

    こんにちは、うったけです。

    4月の人事異動、新規採用職員の入庁から、早くも2ヵ月が過ぎようとしています。

    毎日、必死に頑張っておられる市役所職員の皆さん、本当にお疲れ様です。

    朝、職場に向かう足が重い。

    電話が鳴るだけで緊張する。

    新しい業務を覚えるのに精一杯で、気づけば一日が終わっている。

    この春、市役所に入庁したばかりの人。
    新しい異動先で、慣れない制度や人間関係に必死に食らいついている人。

    あるいは、希望していた異動が叶わず、「またこの一年が始まるのか…」そんな気持ちで毎日を過ごしている人もいるかもしれません。

    公務員という仕事は、外から見ると「安定している仕事」と言われることが多いです。

    確かに、給与や福利厚生という面では、安定している部分はあると思います。

    でも、実際に中に入ってみると、決して楽な仕事ではありません。

    住民対応、人間関係、終わりの見えない業務量、そして数年ごとにやってくる人事異動。

    その中で、

    「もう辞めたい」

    そう思ったことが、一度もない人の方が少ないのではないでしょうか。

    私自身、29年間の市役所人生の中で、何度も同じことを思いました。

    今回は、そんな経験を振り返りながら、「辞めたいと思う瞬間」と、どう向き合ってきたのかを書いてみたいと思います。

    公務員は「慣れる前に異動する仕事」

    市役所という組織は、とても独特です。

    どの部署でも共通している仕事としては、

    • 書類管理

    • 庶務

    • 市民対応

    • 議会対応

    • 情報整理

    などがあります。

    しかし、専門的な業務は部署ごとに全く違います。

    福祉、税、子育て、介護、都市計画、防災、財政、農業――。

    部署が変われば、扱う制度も法律もシステムも変わる。それなのに、公務員は数年ごとに異動があります。

    ようやく仕事に慣れてきた頃に、またゼロから覚え直し。

    民間企業のように、一つの専門分野を長く積み上げるというより、公務員は「何度も初心者になる仕事」なのだと思います。

    しかも異動先では、

    「前任者はできていた」
    「去年まではこうだった」
    「早く覚えて」

    そんな言葉をかけられることもあります。

    でも、こちらは必死です。

    周囲からは経験者として見られる。けれど、頭の中は新人時代と同じくらい不安だったりする。

    私自身、異動のたびに、

    「また一からか…」と、気持ちが重くなっていました。

    異動初日の独特の緊張感は、何回経験しても慣れることはありませんでした。

    「辞めたい」と思う瞬間は、みんなある

    辞めたくなる瞬間は、人によって違います。

    住民対応で心が折れた時。
    ミスをして落ち込んだ時。
    上司との関係に疲れた時。
    頑張っても評価されないと感じた時。
    異動希望が通らなかった時。
    毎朝、出勤前になると気持ちが沈んでしまう時。

    特に住民対応は、精神的に大きな負担になることがあります。

    こちらに非がないと分かっていても、謝り続けなければならない場面もある。

    長時間の電話対応
    感情をぶつけられる窓口。

    「公務員なんだから当然だろ」
    そんな言葉に、心がすり減っていくこともあります。

    また、公務員の仕事は減点方式に感じる場面も少なくありません。

    問題なく終えた仕事は当たり前。

    でも、一つのミスは大きく目立つ。

    どれだけ頑張っても、「誰も見てくれていない」
    そう感じてしまう時があります。

    さらに、人事異動は自分ではコントロールできません。

    だからこそ、「どうして自分だけ…」
    と思ってしまうこともある。

    でも、長く公務員をしている人ほど、一度は同じような経験をしています。

    表には出さないだけで、多くの人が悩みながら働いている。

    だから、「この仕事、向いていないのかもしれない」
    そう感じることがあっても、不思議ではありません。

    むしろ、それだけ真面目に仕事と向き合っている証拠なのだと思います。

    それでも29年間続けられた理由

    では、なぜ私は29年間、市役所で働き続けることができたのか。

    正直に言えば、「強かったから」ではありません。

    むしろ、何度も逃げ出したくなりました。

    ただ、長く働く中で、少しずつ気づいたことがあります。

    それは、「仕事を自分軸で捉えることの大切さ」です。

    公務員は「全体の奉仕者」と言われます。市役所の仕事は、住民のために働くことが前提です。

    もちろん、それは間違いありません。

    でも、ずっと「誰かのため」「組織のため」だけで働き続けていると、どこかで心が苦しくなる時があります。

    頑張っても評価されない。

    理不尽なこともある。

    自分の意思では決められない異動もある。

    そんな環境の中で、他人軸だけで働き続けるのは、想像以上にしんどい。

    だから私は途中から、

    「この仕事は、自分のためでもある」

    そう考えるようになりました。

    自分のキャリアのため。

    自分の成長のため。

    将来やりたいことを実現するため。

    出世したいでもいい。

    専門性を身につけたいでもいい。

    いつか市長になりたい、でもいい。

    理由は何でもいいんです。

    「自分は何のために働くのか」

    そこに少しでも“自分自身の目的”を持てると、気持ちが少し軽くなる気がします。

    公務員の仕事は、自分ではコントロールできないことが本当に多いです。

    人事異動もそう。

    上司も選べない。

    業務量も、自分だけでは決められない。

    だからこそ、全部を周囲に合わせ続けると、いつの間にか自分を見失ってしまう。

    でも、

    「今の経験は、自分の未来につながっている」

    そう思えるだけで、同じ仕事でも見え方が少し変わってきます。

    実際、当時は嫌で仕方なかった部署での経験が、後になって役立ったことは何度もありました。

    若い頃には意味が分からなかった経験が、管理職になってからつながることもありました。

    異動には苦しさがあります。

    でも、その一方で、自分の視野を広げてくれる面もある。

    だから、「今だけ」で人生を決めなくてもいい。

    周りに振り回されすぎず、自分なりの目標を持ちながら働く。

    それが、29年間働いてきた中で、私なりに見つけた一つの考え方でした。

    本当に限界なら、休んでほしい

    ただ、ここで一つ、誤解してほしくないことがあります。

    「自分軸で働こう」

    「目標を持とう」

    そう書くと、

    「つらくても頑張り続けなければいけない」

    そんなふうに感じる人もいるかもしれません。

    でも、私は決して、

    「辞めるな」

    「耐え続けろ」

    と言いたいわけではありません。

    どれだけ前向きな目標を持っていても、心や体が限界を迎えることはあります。

    眠れない。

    朝になると体が動かない。

    食事ができない。

    仕事のことを考えるだけで涙が出る。

    そこまで自分を追い込んでいるなら、まず休んでください。

    公務員は、責任感の強い人が本当に多い仕事です。

    だからこそ、

    「自分が休んだら周りに迷惑がかかる」

    「ここで逃げたら駄目だ」

    そう思ってしまう。

    私自身も、何度もそう考えてきました。

    でも、長く働いてきて感じるのは、無理を続けて壊れてしまうことが、一番つらいということです。

    心や体を壊してしまうと、元の状態に戻るまで、本当に長い時間がかかります。

    仕事には代わりがいても、自分の人生の代わりはいません。

    だから、休むことを必要以上に悪いことだと思わないでほしい。

    休むことは、逃げではありません。

    これから先も生きていくために、自分を守る大切な選択です。

    少し立ち止まることで、見える景色が変わることもあります。

    実際、私自身も、

    「あの時、無理をし続けなくてよかった」

    そう思った経験が何度もありました。

    頑張り続けることだけが、正解ではない。

    それだけは、伝えたいと思っています。

    最後に

    今、この文章を読んでいる人の中にも、

    「明日、仕事に行きたくない」
    そう思っている人がいるかもしれません。

    でも、それはあなただけではありません。

    29年間、市役所で働いてきた私も、何度も同じことを思いました。

    それでも振り返ると、しんどかった時期があったからこそ、人の痛みが少し分かるようになった気がします。

    焦らなくて大丈夫です。

    頑張りすぎなくても大丈夫です。

    今日を乗り切っただけでも、十分頑張っています。

    この春、新しい環境で踏ん張っている皆さんへ。

    どうか、自分を責めすぎないでください。


     
     
    現在50代。2025年3月末で公務員を退職しました。退職して見えてきたこと、これからやっていきたいこと、色々綴っていきたいと思います。 2026年行政書士事務所開業 2級ファイナンシャルプランナー技能士、AFP認定

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