ー設計者は何を見ているか #4ー設計者は、「今」ではなく「変化」を見ている
前回の記事では、
私は、
「何を観測しているか」
が、その後の思考を決める、
という話を書いた。
では、
観測したあと、
設計者は何を考えているのか。
今回の設計レビューで、
改めて気付いたことがある。
私は、
図面を見ながら、
寸法を考えていたわけではなかった。
もっと違うものを見ていた。
それは、
「この部品が変わると、次に何が変わるか」
だった。
会議では、
0.4。
面輪郭。
スキ。
そんな言葉が飛び交っていた。
でも、
頭の中で追っていたのは数字ではない。
「今、この角度だから、ここが開く。」
「ここが開くから、溶接にスキができる。」
「だったら、こちらも同じ方向へ変えなければ合わない。」
そんな変化の連鎖だった。
だから途中で私は、
何度も図を書き直した。
数字では伝わらないと思ったからだ。
現状はどうなっているのか。
どこが変わったのか。
その変化によって、
次に何が起きるのか。
それを共有したかった。
設計では、
今の状態だけを見ても判断できない。
変更とは、
未来を作る行為だからだ。
だから設計者は、
「今どうなっているか」
よりも、
「ここを変えると、何が変わるか」
を考えている。
私は若手と話すとき、
「どこを変える?」
とはあまり聞かない。
代わりに、
「その変更で、次に何が起きる?」
と聞く。
そこには、
その人が見ている世界が現れる。
一つの変更を、
一つの変更として見ている人もいる。
一方で、
その変更が周囲へどう波及するかまで見えている人もいる。
設計力の差は、
知識量だけでは生まれない。
変化をどこまで追えるか。
そこにも大きな差がある。
振り返ると、
前回の記事では、
「何を観測しているか」
を書いた。
今回は、
その先だった。
設計者は、
観測した状態を、そのまま見ているわけではない。
その状態が、
次にどう変わり、
さらに何へ影響していくのか。
頭の中で、
未来の状態を何度も動かしている。
だから設計とは、
図面を描く仕事ではない。
未来の変化を設計する仕事なのだ。
