
詩集 佳き日に【夏の訪れ】 ④ タクシードライバー
今晩泊まろうよと
強引に口説いてくる人が
助手席に座っている
その後部座席で
別の人に手を握られていた
指と指の間を
無理やり割られる感触に
息をのむ
タクシードライバーは
いつも能弁なくせに
今日は黙って
ハンドルを握っている
そんなに酔ってないはずなのに
夢だか現だか分からない
ただ瞼が
どうしようもなく重かった
翌朝一人
自分の部屋で目が覚めた
ホッとする気持ちと
落ち着かない気持ちが
いくら調整しても
釣り合わない
夢でも現でも
結局口説かれていない事実を
身体に残っている
アルコールと同じように
分解できてないのに
タクシードライバーには
シラフで知られているというのは
正直まるで釣り合わない