メインコンテンツへスキップ
見出し画像

TRUNK #077 型がある会社と、まだ寄せ集めの会社 マツダ・日産・トヨタ・ホンダ・スバル、内装trunkの5つの現在地

    型がある会社と、まだ寄せ集めの会社

    マツダ・日産・トヨタ・ホンダ・スバル、内装trunkの5つの現在地

    スクリーンだけでは測れないもの

    スクリーンの置き場所だけでは測れない部分がある。素材、質感、要素同士がどれだけ一つの哲学でまとまっているか。国産5社の内装を、trunkという物差しで見比べてみる。

    マツダ:すでに型が完成している

    マツダは、この中で一番出来上がっている。現行CX-5に代表される内装は、レザー・ステッチ・水平基調を丁寧に積み重ね、レンジローバーを感じさせるところまで質感を引き上げた。大衆ブランドという条件を考えれば、これは上出来としか言いようがない。唯一の難点はディスプレイの大きさだけで、それ以外はすでに「型」として完成している。

    日産:方向は正しく、あとは詰めるだけ

    日産は、ここ数年で外装の「日産らしさ」を確立させた。内装も同じ方向を追いかけていて、キックスのファブリック貼りやカッパー調の加飾など、限られたコストの中で質感を演出する工夫は評価できる。ただし、細部の組み付け精度のような「仕上げの詰め」はまだ発展途上だ。操作系はGoogle Built-inで不満はない。方向性自体は正しく、あとは詰めるだけ。これが日産の現在地だ。

    トヨタ:デザインで殴りにいかないという判断

    トヨタは、そもそもデザイン言語から内装に入っていない。使い勝手優先という思想が徹底していて、「見た目でブランドを語る」ことを最初から狙っていない。これはレクサスとは対照的な割り切りで、大衆ブランドとしての立ち位置に忠実な選択だと言える。デザインで殴りにいかない、という判断そのものがトヨタのtrunkだ。

    ホンダ:要素は揃っているが、まとめる哲学がない

    ホンダは、この5社の中で一番「まだ答えを出せていない」ブランドかもしれない。運転席前のフードナセルは世代を重ねてもあまり更新されず、そこに後から加わったセンターディスプレイ、水平のメッシュインパネという3つの要素が、それぞれ別々の時代の発想のまま並んでいる。要素は揃っているが、それを一つにまとめる哲学がまだ見えてこない。ホンダのtrunkは車名ではなく、エンジンと走りとF1にある――以前そう結論づけたが、その裏側には「内装にはtrunkがまだ根付いていない」という事実がある。

    スバル:無骨さそのものが型になっている

    スバルは、無骨でシンプルという一点で「型」を作れている。SUVがメインのブランドとして、飾らないことがそのままポジショニングと一致している。縦型ディスプレイ(STARLINK)の採用は、ボルボを連想させる。無骨・実直という評価に加えて、余計な装飾を削ぎ落とした北欧的ミニマリズムに通じる方向性がある。真似ではなく、似た結論にたどり着いた、という方が正確かもしれない。

    同じ「発展途上」でも、中身は違う

    同じ「発展途上」でも、日産とホンダの中身はまったく違う。日産は方向性が正しく、あとは詰めの問題。ホンダは、方向性そのものがまだ定まっていない。この違いを一緒くたにしてはいけない。

    あなたの車の内装は、一つの哲学でできているだろうか。それとも、いい部品を寄せ集めただけだろうか。

    過去回をテーマ別にまとめたマガジン「TRUNK SPINE」、はじめました。第1弾は「顔」、第2弾は「誰がこの車の後ろにいるのか」――ディーラー資本構造をめぐる12本です。

    この記事に関連して

    マツダの内装がなぜここまで「型」として完成しているのか——その背景にある美意識を、実際にデザインを率いてきた本人が語っています。

    デザインが日本を変える 日本人の美意識を取り戻す(光文社新書、前田育男 著)

    ※本記事にはアフィリエイト広告が含まれます。

    #TRUNK #マツダ #日産 #トヨタ #ホンダ #スバル #内装デザイン #自動車デザイン

     
     

    TRUNK

     
     
    TRUNKです。車の"裏側"が好き。資本構造に気づくと調べてしまう性分です。 Car capital structures fascinate me. Started this with AI. For car lovers, a bit of fun reading.

    あなたへのおすすめ