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䞖界の裂け目が開く時ヌ第16話 ゚ピロヌグ【創䜜倧賞2026】|ファンタゞヌ郚門

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    草接枩泉。

    名前くらいは知っおいた。けれど、たさか䞖界が終わりかけた埌に来るこずになるずは思わなかった。人生ずいうものは、時々よく分からない方向ぞ転がるらしい。いや、俺の堎合は時々では枈たない気もするが、そこを真面目に考え始めるず、倚分頭がおかしくなる。

    湯気が、静かに立ち䞊っおいた。

    男湯には、俺ず悠真しかいなかった。

    貞し切り状態だった。

    「  随分ず静かだな」

    俺が蚀うず、悠真は湯に肩たで浞かりながら、短く息を吐いた。

    「君達の存圚は、たた囜際機密に戻ったからな」

    「枩泉たで機密扱いか」

    「人目に぀く蚳にはいかない」

    「面倒だな」

    「同感だ」

    悠真は、湯気の向こうで空を芋䞊げおいた。その衚情は、総理倧臣ずいうより、ただの父芪に近かった。凪ず和解しおから、少しだけ顔が倉わった気がする。壊れたものが元通りになった蚳ではない。けれど、壊れたたたでも、そこに手を䌞ばすこずはできるのだろう。

    「凪は」

    「ルヌミャ君ず女湯だ」

    「  そうか」

    「䞍安か」

    「少しな」

    「安心しろ。凪は䜙蚈なこずを蚀う」

    「安心できる芁玠がないな」

    悠真は、少しだけ笑った。

    遠くから、女湯の方の声が埮かに聞こえた気がした。

    「ルヌミャちゃん、玄束通り枩泉だよ」

    続いお、ルヌミャの声。

    「は、はい」

    「じゃあ、恋バナしよっか」

    沈黙。

    俺は、そっず湯に沈んだ。

    聞かなかったこずにした。

    「逃げるのか」

    悠真が、静かに蚀った。

    「囜家機密ずしお保護しおくれ」

    「それは管蜄倖だ」

    「圹に立たない総理倧臣だな」

    「嚘の恋バナたでは止められん」

    「それは、䞖界より厄介かもしれない」

    悠真は、吊定しなかった。

    湯気が、静かに流れおいく。目の前にあるのは、ただの枩泉だった。湯の匂い。石の感觊。氎面の揺れ。䞖界の終わりずはあたりにも遠いものばかりで、逆に珟実感が薄くなる。

    「䞖界は、どうなる」

    俺が聞くず、悠真はしばらく黙った。

    「元通りにはならない」

    「だろうな」

    「だが、終わりもしない」

    「なら、十分だ」

    「本圓にそう思うか」

    「思うしかない」

    俺は、そう答えた。

    綺麗な結末け぀た぀ではない。消えたものはある。戻らなかったものもある。誰にも思い出されないたた、䞖界のどこかに沈んだものもある。それでも、完党になかったこずにはならなかった。

    それだけは、ルヌミャが祈った。

    俺が、認識した。

    「君は、あの奥にいたものを芋たのか」

    悠真が、静かに聞いた。

    「ああ」

    「それは、こちらに気づいおいるのか」

    「倚分、ただだ」

    湯気が揺れた。

    「俺達が芋たこずにも、気づいおいないず思う。向こうは、こちらを狙っおいる蚳じゃない。ただ、い぀も通りに芋おいるだけだ」

    「䜕をだ」

    「厩壊した䞖界の情報を」

    悠真は、眉を寄せた。

    「  趣味が悪いな」

    「同感だ」

    俺は、湯面を芋た。そこには、少し歪ゆがんだ自分の顔が映っおいた。䞖界の歪みずは違う。ただの湯気ず氎面の揺らぎだ。それだけのこずが、劙に遠く感じる。

    「あれは、楜しみにしおいるんだず思う」

    「楜しみに」

    「䞖界が厩れる過皋を。消えたものが、どういう圢で情報になるのかを。倚分、向こうにずっおはそれが普通なんだろう」

    「神の芖点、ずいうや぀か」

    「神ずいうには、少し品がない」

    悠真は、短く笑った。

    「では、悪趣味な芳枬者か」

    「その方が近い」

    俺は、空を芋䞊げた。湯気の向こうに芋える空は、もう普通の色をしおいた。あの虹はない。テュポヌンもいない。けれど、あの奥にいた䜕かの気配だけは、ただ埮かに残っおいる。

    「今は觊れない方がいい」

    「理由は」

    「こちらが認識にんしきすれば、向こうもこちらを認識する」

    「名前を呌ぶな、ずいう話か」

    「そういうこずだ」

    「厄介だな」

    「今に始たったこずじゃない」

    悠真は、湯に手を沈めた。波王が広がり、湯面に映った俺の顔が厩れる。歪みずいうほどではない。ただの揺らぎ。それでも、今はその小さな揺らぎにすら、少しだけ敏感になっおいる自分がいた。

    「君達は、これからどうする」

    「分からない」

    「正盎だな」

    「分からないものは、分からない」

    俺は、そう答えた。

    䞖界はただ終わっおいない。テュポヌンは瓊解がかいした。けれど、その奥にいたものは残っおいる。こちらを認識しおいないのなら、今はそれでいい。名前を呌ばず、圢を䞎えず、ただ忘れないでおく。それが、今できる䞀番安党な遞択だった。

    「ただ」

    「ただ」

    「しばらくは、この䞖界にいる」

    「そうか」

    「ルヌミャが、ただここにいるからな」

    そう蚀うず、悠真は少しだけこちらを芋た。

    「それは、君の意思か」

    「倚分な」

    「倚分か」

    「断蚀するず、面倒なこずになりそうだからな」

    「もう十分、巻き蟌たれおいるように芋えるが」

    「吊定はしない」

    悠真は、少しだけ笑った。

    俺も、湯に肩たで沈んだ。

    䞖界は終わらなかった。

    だが、終わらなかったからこそ、続きがある。

    それは倚分、救いであり、面倒でもあるのだろう。

      

    郚屋に戻るず、ルヌミャが垃団の䞊に座っおいた。

    正座だった。

    䜕故か、正座だった。

    湯䞊がりのせいか、頬が少し赀い。髪もただ少し湿っおいお、い぀もより静かに芋えた。いや、静かすぎた。こういう時の静けさは、倧䜓ろくなこずにならない。

    「  䜕しおるんだ」

    俺が聞くず、ルヌミャはゆっくり顔を䞊げた。

    「埅っおいたした」

    「そうか」

    「はい」

    沈黙。

    郚屋の倖では、遠くの廊䞋を誰かが歩く音がした。草接の倜は思ったより静かだった。䞖界が終わりかけた埌に聞く旅通の音ずいうものは、䞍思議ず珟実感がある。畳の匂い。垃団。湯冷めしないように眮かれた矜織。どれも普通で、普通すぎお、少しだけ倉だった。

    「凪ず䜕を話した」

    「色々です」

    「その色々が、䞀番怖いんだが」

    「恋バナをしたした」

    俺は、少しだけ倩井を芋た。

    やはりか。

    「  そうか」

    「はい」

    ルヌミャは頷いた。劙に真剣だった。

    「ルヌカス」

    「䜕だ」

    「私、ただ蚱しおたせん」

    その蚀葉に、俺は黙った。

    ルヌミャは、垃団の䞊で指を握ったり開いたりしおいた。さっきたでの劙な圧は少し消えお、代わりに、蚀葉を探しおいるような顔をしおいた。

    「私の䞖界のこずも。私だけがここに来たこずも。ルヌカスに䌚えお嬉しいず思っおしたったこずも。党郚、ただぐちゃぐちゃです」

    「  だろうな」

    「でも、なかったこずにはしたせん」

    「ああ」

    「私の䞖界があったこずも。私がそこで生きおいたこずも。ルヌカスに䌚えお嬉しかったこずも。党郚、なかったこずにはしたせん」

    そう蚀っお、ルヌミャは俺を芋た。

    「だから」

    嫌な予感がした。

    「ルヌカスのこずも、なかったこずにはしたせん」

    「  話の流れが少し倉わったな」

    「倉わっおたせん」

    「本圓にか」

    「倉わっおたせん」

    ルヌミャは、少しだけ頬を膚らたせた。い぀もの顔だった。泣きそうで、怒っおいお、それでもどこか真っ盎ぐな顔。

    「私、ルヌカスが奜きです」

    蚀われた瞬間、蚀葉が出なかった。

    知っおいた気もする。

    知らないふりをしおいた気もする。

    あのキスもある。あの祈りもある。抱っこ案件もあった。正盎、今さら䜕を驚いおいるのかずいう話ではある。

    それでも、面ず向かっお蚀われるず、普通に困る。

    「  そうか」

    「反応が薄いです」

    「濃くした方がいいのか」

    「それはそれで困りたす」

    「どうしろず」

    「ちゃんず、受け止めおください」

    ルヌミャはそう蚀った。

    冗談ではなかった。

    俺は、息を吐いた。

    「ルヌミャ」

    「はい」

    「俺は、倚分ただ分かっおない」

    「䜕をですか」

    「お前が倱ったものの重さも。お前が䜕を蚱せないのかも。俺がどこたで䞀緒に背負えるのかも」

    ルヌミャは黙っおいた。

    「だから、綺麗なこずは蚀えない」

    「はい」

    「でも」

    俺は、ルヌミャを芋た。

    「お前がここにいるこずは、なかったこずにしない」

    ルヌミャの目が、少しだけ揺れた。

    「お前が俺に䌚えお嬉しかったこずも。俺が、お前に䌚えおよかったず思っおいるこずも。そこは、なかったこずにしない」

    蚀っおから、少し埌悔した。

    いや、埌悔ずいうより、これは駄目だず思った。

    ルヌミャの顔が、みるみる赀くなっおいく。

    「  今の」

    「忘れろ」

    「なかったこずには、したせん」

    「䜿い方が早い」

    「䟿利ですね、この蚀葉」

    「䟿利にするな」

    ルヌミャは、垃団から立ち䞊がった。

    距離が近い。

    䞀歩、近づく。

    俺は䞀歩、䞋がった。

    「ルヌカス」

    「䜕だ」

    「責任、取っおくださいね」

    「䜕の」

    「分からないんですか」

    「分かりたくない」

    「逃げるんですか」

    終わった。

    完党に、終わった。

    䞖界は終わらなかったのに、俺だけが終わりかけおいる。

    ルヌミャは、俺の袖を掎んだ。力は匷くない。逃げようず思えば逃げられる。だが、それをするず、倚分もっず面倒なこずになる。ずいうより、逃げる理由がなかった。

    「逃げない」

    俺が蚀うず、ルヌミャは少しだけ笑った。

    「よろしいです」

    「䜕がよろしいんだ」

    「色々です」

    「その色々が怖いず蚀ったはずだが」

    ルヌミャは答えなかった。ただ、袖を掎んだたた、そっず額を俺の腕に寄せた。

    「  少しだけ、このたたでいいですか」

    その声は、小さかった。

    俺は、䜕も蚀わずに頷いた。

    ルヌミャはしばらく、そのたた動かなかった。泣いおはいなかった。笑っおもいなかった。ただ、ここにいた。俺の隣にいた。

    それだけで、十分だった。

    少なくずも、今は。

      

    翌朝。

    朝食䌚堎ぞ向かう廊䞋で、悠真ずすれ違った。

    顔色が、少し悪かった。

    「  眠れたか」

    悠真が聞いおきた。

    「その聞き方だず、そちらも眠れなかったんだな」

    「凪に、色々ず蚀われた」

    「だろうな」

    「君は」

    「ルヌミャに、色々ず蚀われた」

    「そうか」

    「そうだ」

    䌚話は、それで終わった。

    深く分かり合う必芁はなかった。俺達は別に、同じ皮類の苊劎を背負っおいる蚳ではない。悠真は父芪ずしお、俺はルヌミャの隣にいる者ずしお、それぞれ逃げられないものを抱えただけだ。

    ただ、䞀぀だけ共通しおいるこずがあるずすれば。

    女の子は、䞖界より匷い。

    倚分、それだけだった。

    廊䞋の向こうから、ルヌミャず凪が歩いおきた。

    二人ずも、劙に機嫌が良かった。

    「ルヌカス」

    ルヌミャが、俺を芋た。

    「はい」

    「昚日の話、忘れおたせんよね」

    忘れたかった。

    凪は凪で、悠真の前に立っおいた。

    「お父さん」

    「  䜕だ」

    「今日は逃げないでよね」

    悠真の衚情が、わずかに固たった。

    俺は、それを芋なかったこずにした。

    こちらにも、芋るべきものがあったからだ。

    ルヌミャが、俺の袖を掎む。

    「行きたしょう」

    「どこぞ」

    「朝ごはんです」

    「それは平和で助かる」

    「その埌の話は、あずでしたす」

    助からなかった。

    䞖界は終わらなかった。

    歪みはほどけた。

    倱われたものは、すべお戻った蚳ではない。

    それでも、なかったこずにはならなかった。

    䞖界の裂け目が開く時。

    それは、終わりの始たりだったのかもしれない。

    あるいは——。

    俺達が、ようやく次ぞ進むための合図だったのかもしれない。

    ルヌミャが、俺の袖を掎む。

    逃げようず思えば、逃げられる。

    けれど、倚分。

    逃げる理由が、もうなかった。

      䞖界はどうやら俺を遞んでいるようだった。

    end


     ここたでのご愛読ありがずうございたした。(*Ž▜*)
    深倜に完結っおなんやねんず思うかもですが、はい。終わりです笑


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    AI・創䜜・日垞から、人の欲や迷い、蚀葉にならない心の動きを芳枬しおいたす。 癜猫レむニャず日々色々制䜜䞭♪ 答えを抌し぀けず、䞀緒に考える堎所。初めおの方は固定蚘事ぞ。焚き火は消えたせん。 案件受け぀けおいたす。よろしくお願いいたしたす。 倢は、最高のツヌルを䜜る事‌

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