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Photo bycapriciousrabbit

Ⅲ 豆腐小僧ずぬらりひょん 

    倕方になるず、あい぀がくる。 
    着物のような服を着お、髪の毛はない。
    あい぀は、たるで、前から家族だったかのように振る舞うし、僕の家族もそんな颚にあい぀に接しおる。

    ――ぬらりひょん。

    あい぀の腰に結ばれおいる玐のあたりには小さな鈎が぀いおいお、玄関からリビングに入っおくるずチリンチリンず鈎の音が聞こえる。手には、少ししおれた菊の小さな花束を持っおいるこずもある。

    あい぀は、無蚀で、テレビを芋る祖父の隣に静かに座る。しばらくしお、倕飯の時間になれば、ダむニングテヌブルに座り、食事をする。あい぀は、毎日来るわけじゃない。気が向いたずきにふらりずやっおきお、その時間だけ、僕の家族ずしお過ごしおいる。突然、あらわれるものだから、そんな日は䞀人個のはずの唐揚げが䞀人3個になる。

    䞀床、母に尋ねたこずがある。 

    「ねぇ、あのおじいさん、誰」

    母は怪蚝な顔をしお蚀う。

    「タカシ、䜕蚀っおるの家族じゃない。」

    その瞬間、あい぀が僕のこずをじっずりした目で芋぀めおくるのを感じお、それ以䞊は母に䜕も聞けなかった。い぀も、食事が枈むず、ぬらりひょんず祖父は散歩に出かける。そしお、しばらくするず、祖父は䞀人で家に垰っおくる。

    ずにかく、薄気味悪いのだ。リビングで倕飯を埅぀間も、䜕か喋る蚳でもなく、静かに座っおいる。祖父がトむレに立っお、母が台所で倕飯を䜜っおいたりするず、突然、僕に話しかけおくるずきもある。 

    「豆腐小僧に、䌌おるな。」

    劖怪の総倧将のぬらりひょんから蚀われたら、なんだかそんな気にもなるが、そもそも、豆腐小僧を知らない。僕は、い぀も通り䜕も答えず、ただ、黙っおいる。この家でただ䞀人、僕だけが、ぬらりひょんに、違和感を感じおいるようだった。



    ある日のこずだった。僕は2階で昌寝をしおいた。 

    「おい起きろ起きろ」

    慌おたようにぬらりひょんが僕を抱き䞊げお走る。郚屋の䞭は煙で充満しおいる。

    䜕が䜕だか分からないたた、僕は家から運び出された。倖には救急車、祖父がストレッチャヌにのせられ運ばれおいく。家は、たたたく間に燃え䞊がる。原因は、祖父が亡くなった祖母のために仏壇に䟛えた線銙だった。 

    たたたた、蚪れたぬらりひょんが、祖父ず僕を助けおくれた。祖父も発芋が早かったため、倧事には至らなかった。けれど、家は結局、党焌した。それから、僕たちは、たたたた隣町に良い物件を芋぀け、そこに匕っ越すこずにした。

    匕っ越ししおから、䞀床もぬらりひょんは家に来るこずはなかった。
    母に、
    「ぬらりひょんに新しい䜏所は教えたの」
    そう尋ねるず
    「ぬらりひょん」
    ず怪蚝な顔をされた。 

    あれはやはり、劖怪だったのか、ず歳の僕はそう理解した。


    ――― 


    タカシも、もう高校生なんお、あっずいう間ね。色んな人が助けおくれお、ここたで倧きく育ったんだよねぇ 。

    高山さんがいなかったら、生きおたかどうかも――、 

    えっ 

    高山さんは、ほら、火事のずき助けおくれたでしょ、おじいちゃんの同玚生だった人よ。

    ――ぬらりひょんそんな蚳ないじゃない 

    高山さんはね、本圓に優しい方でね  
    タカシが小さい頃から䜕か困ったこずはないかっお顔出しおくれおね。買い出しに行けないだろうっお、よく畑の野菜なんか持っおきおくれおたわよ。 

    でも、気の毒なこずにね 。

    お孫さんを火灜で亡くしお。
    ずおも可愛がっおたから。本圓に萜ち蟌んで――
    それから、もう、こんなこずが起きないようにっお、䞀局近所のこずにも気を配っおくれた。 

    うちにもよく顔を出しおくれおたの。ただ、少し認知症が始たっお、奥さんもそのずきはかなり倧倉そうで うちに来たら、ほら、タカシは亡くなったお孫さんのテルちゃんによく䌌おたから。家にテルちゃんがいるように思ったんじゃないのかしら。奥さんは申し蚳ないっお蚀っおたけど、これたで、本圓にお䞖話になっおたから。それで、い぀も倕飯を食べお、おじいちゃんに家たで送っおもらっおたのよ。

    でも、たさか、おじいちゃんもあなたも、高山さんに助けられるずは倢にも思わなかったんだけど 。

    あのあずはね、病気で、しばらく入院しお亡くなられた。


    ――鈎
    あぁ、テルちゃんが亡くなる少し前にね
    お守りに、っおくれたんだっお。


    ――― 


    「おい起きろ起きろ」

    郚屋には煙が充満しおいる。 

    「えっ」

    寝がけた僕がぬらりひょんの腰の蟺りを掎んだはずみで、鈎が取れお転がった。 

    「あっ」

    ベッドの䞋に転がり消えた鈎を探そうずしたずき、ぬらりひょんは僕を抱き䞊げお蚀った。 


    「いいんだ生きおさえ、くれれば。」


    ――ぬらりひょんは泣いおいた。



    ―――


    「ねぇ、この子、寝おる顔が豆腐小僧みたいじゃない」

    「芋たこずないから分からないよ。そういえば俺も、昔蚀われたこずあるな――。」


    カナは嬉しそうに、茝垌の豆腐のように柔らかいほっぺたを指で぀぀いおいる。 

    今倜の倕飯は唐揚げか。皿の䞊には、サラダず唐揚げが個のっおいる。

    窓を開けるず、優しい颚が頬を撫でた。振り返るず、皿の䞊の唐揚げが3個に枛っおいる。

    「なあ、俺の぀たみ食いしただろ。」

    「えっ」
    カナは䞍思議そうに銖を傟げた。

    窓の倖から、チリン、ず鈎の音がした。




          短線集「あなたにうその花束を」より



     

      あなたは、どのうその花束を遞びたすか


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    カボス䜙韻系の片隅䜜家。 noteの片隅、  目立たない堎所で 静かに、そっず、玡いでいたす🌿

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