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【遅すぎですよ彦星君】第1章 「優しさは逃げ道を塞ぐ」

    この物語は、5人のヒロインから1人を選ぶ企画恋愛シナリオ

    『報われなかった恋を読む場所』 

    第4弾 小森 日和(こもり ひより)の物語です

    このシナリオのメインヒロインは、各ヒロインのスキ❤の合計で決定します

    では、本編をどうぞ


    彦星:「ここ……で合っているはずだ」

    指定された場所で足を止め、私は周囲を見回した
    十五年前まで住んでいたらしい星渡村
    覚えていない景色の方が多いのに、この場所には妙な懐かしさがある

    彦星:「少し早く来たつもりだったんだけどな」

    約束の時間を確認する
    もう過ぎていた

    彦星:「日和さん……来ませんね」

    返事はない……当然だ
    だって日和さんはいないのだから

    彦星:「ここで、あの子と待ち合わせをしたていたのか?」

    口に出すと、胸の奥がわずかにざわついた

    目を閉じる
    何かないか
    景色でも、声でもいい

    十五年前の私が、ここにいた証拠

    すると……不意に幼い声が浮かんだ

    あの子:「彦星君」
    幼い彦星:「何?」
    あの子:「もし困っている人がいたら……一緒に助けてくれますか?」
    幼い彦星:「当たり前だろ」

    彦星:「……待ってくれ」

    目を開けた

    彦星:「続きは?」

    何も出てこない

    彦星:「顔は……駄目か。名前も……分からない」

    優しい子だった
    そう思いかけて、私は腕を組んだ

    彦星:「いや、待て。決めつけるのは早いか」

    分かったのは、困っている人を気に掛けていたこと
    そして私が、その言葉に迷わず答えたこと

    それだけだ

    彦星:「でも……私は、この子と普通に話していたんだな」

    その事実だけは、少し嬉しかった

    日和:「彦星君」
    彦星:「うわっ」

    振り向くと、日和さんが立っていた
    柔らかな金色の髪。穏やかな笑顔

    彦星:「日和さん。いつからそこに?」
    日和:「今来たところですよ」
    彦星:「そうですか」
    日和:「はい。遅れてすみません」
    彦星:「いえ、それは……」
    日和:「でも、少し待つくらいなら問題ありませんよね」
    彦星:「……はい?」

    日和さんは小さく首を傾げた

    日和:「あの子は、もっと長く待っていたのですから」
    彦星:「それを言われると……何も言えませんね」
    日和:「そうですか?」
    彦星:「そうですよ。私は今、待たされた側だったはずなんですが……」
    日和:「はい……そうですね」
    彦星:「なのに、なぜか私が文句を言ってはいけない空気になっています」

    日和:「私は文句を言ってはいけないとは言っていませんよ」
    彦星:「……なるほど」
    日和:「文句があるならどうぞ?」
    彦星:「言えるわけないじゃないですか」
    日和:「そうですか」

    また笑った
    声も柔らかい
    表情も穏やか

    それなのに、逃げ道だけが綺麗になくなっている

    彦星:「日和さんって、怒ることあります?」
    日和:「ありますよ」
    彦星:「今は?」
    日和:「どうでしょう?」
    彦星:「それが一番困ります」
    日和:「大丈夫ですよ」

    彦星:「何がですか?」
    日和:「それは……少し考えてみましょうか?」
    彦星:「……やっぱり怖いな、この人」
    日和:「何か言いました?」
    彦星:「いえ、何も」

    私は話題を変えることにした

    彦星:「そう……ですね……あっそうだ。私と日和さんの思い出の場所に行きましょう。何か思い出すかもしれません」
    日和:「ここですね」
    彦星:「……」
    日和:「彦星君?」
    彦星:「少し考えさせて下さい」
    日和:「はい」

    彦星:「ここは、あの子と待ち合わせをした場所なんですよね?」
    日和:「そう聞いています」
    彦星:「十五年前の約束に繋がる場所でもある」
    日和:「そうですね」
    彦星:「つまり……ここ以上の思い出の場所があるんですか?という意味ですか?」
    日和:「彦星君は、どう思います?」

    彦星:「少なくとも、別の場所へ行けば思い出せるかもしれないと言った私が、かなり間抜けだったとは思います」
    日和:「そこまでは言っていませんよ」
    彦星:「言われた方がまだ楽なんですが」
    日和:「大丈夫ですよ。私は待てますから」
    彦星:「……その言い方、絶対に別の意味がありますよね」
    日和:「どうでしょう?」

    まただ……この人は笑顔のまま、正確に痛いところを突いてくる

    日和:「冗談ですよ。ついてきて下さい。思い出すきっかけになるかもしれません」
    彦星:「……分かりました」
    日和:「では、行きましょうか」
    彦星:「はい」

    案内された先には、小さな集会所があり、その近くに花壇と古いベンチが並んでいた
    歩いている途中、日和さんが立ち止まる

    彦星:「どうしました?」
    日和:「少しだけ待って下さい」

    落ちていた紙くずを拾う
    数歩進む
    また止まる

    彦星:「今度は?」
    日和:「椅子が少しずれていますね」
    彦星:「……直すんですか?」
    日和:「はい。誰かが困るかもしれませんから」
    彦星:「なるほど」
    日和:「変ですか?」
    彦星:「いえ。ただ、よく気付くなと思って」
    日和:「そうですか?」

    本人は本当に分かっていないらしい

    村人A:「あら、日和ちゃん。ちょうどよかった」
    日和:「こんにちは。どうしました?」
    村人A:「今度の集まりなんだけどね。誰に声を掛ければいいか迷ってて」
    日和:「そうですね。来られる方は分かりますか?」
    村人A:「まだ全部は分からないねえ」
    日和:「では、先に人数を確認してみませんか? 役割はその後でも遅くないと思います」

    村人B:「日和ちゃん、こっちも少しいいかい?」
    日和:「はい。少し待って下さいね」
    小さな女の子:「日和お姉ちゃん!」
    日和:「待って下さい。順番に聞きますから」

    気付けば、人が集まっていた

    村人B:「じゃあ、先に人数を見た方がいいか」
    村人A:「そうだね。その方が困らないね」
    日和:「私は、その方が分かりやすいと思います」
    村人B:「じゃあ、それでいこう」

    彦星:「……日和さん」
    日和:「はい?」
    彦星:「いつも、こんな感じなんですか?」
    日和:「こんな感じ……とは?」
    彦星:「人が集まってきて、相談されて……最後は日和さんの話を基準に決まる感じです」
    日和:「……?ちゃんと皆さんで決めていますよ?」
    彦星:「……少し考えさせて下さい」
    日和:「はい」

    その時だった

    小さな女の子:「日和お姉ちゃん、こっちも見て!」
    日和:「今行きますね。転ばないように待っていて下さい」

    その声に、頭の奥が揺れた

    子供達の声
    小さな輪

    その中心にいる、一人の少女

    小さな男の子:「どうする?」
    あの子:「少し待って。みんなの話を聞いてから決めましょう?」
    別の女の子:「うん!」
    幼い彦星:「じゃあ、僕も待つ」

    彦星:「……今のは」
    日和:「彦星君?」
    彦星:「少しだけ……昔を思い出しました」
    日和:「どんなことですか?」
    彦星:「子供達が集まっていました。中心に女の子がいて……みんな、その子の話を聞いていました」
    日和:「そうですか」
    彦星:「私も、その輪の中にいました」
    日和:「その子のことは?」
    彦星:「……分かりません」
    日和:「そうですか」
    彦星:「でも、不思議なんです」
    日和:「何がですか?」
    彦星:「みんなその子の言葉を待っていたように見えました」
    日和:「きっと、皆さんが納得したかったんでしょうね」
    彦星:「日和さんは、その子を知っているんですか?」
    日和:「どうしてそう思うんです?」
    彦星:「今の言い方が、少し気になりました」
    日和:「そうですね……」

    日和さんは、小さく首を傾げた

    日和:「その子はきっと、誰かを従わせたかったわけではないと思いますよ」
    彦星:「では、なぜ?」
    日和:「誰か一人だけが困るのを、見たくなかったのかもしれません」
    彦星:「……そういう子だったんでしょうか?」

    日和:「そうですね……では、もう少し考えてみましょうか?」
    彦星:「またそれですか」
    日和:「嫌ですか?」
    彦星:「いえ。嫌ではありません。ただ……」
    日和:「ただ?」
    彦星:「日和さんにそう言われると、断れないんですよ」
    日和:「私はお願いしているだけですよ?」
    彦星:「それが一番不思議なんです」

    日和さんは、穏やかに笑った
    私はまだ、この人のことが分からない
    優しいのは、多分間違いない

    でも……優しい人というのは、もう少し逆らいやすいものだと思っていた

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    彦星:「日和さん、それ持ちます」
    日和:「え?」

    日和さんが珍しく目を丸くした
    集会所の前で、さっきまで使われていた椅子を戻そうとしていたらしい

    彦星:「一人でやるより二人の方が早いですよね?」
    日和:「そうですね。でも、彦星君はお客様ですよ?」
    彦星:「旅行者ではありますけど、椅子くらい運べます」
    日和:「……ありがとうございます、彦星君」
    彦星:「いえ」

    椅子を持ち上げた瞬間、あの声が蘇った

    あの子:「もし困っている人がいたら……一緒に助けてくれますか?」
    幼い彦星:「当たり前だろ」

    私は足を止めた

    日和:「彦星君?」
    彦星:「いえ……少し思い出しただけです」
    日和:「あの子のことですか?」
    彦星:「多分そうです……困っている人を一緒に助けてほしいって言われました」
    日和:「……それで彦星君は、何と答えたんですか?」
    彦星:「当たり前だろ、って」
    日和:「そう……ですか」
    彦星:「……どうしました?」
    日和:「いえ……少し安心しました」
    彦星:「どういう意味ですか?」

    その時、広場の端から声が上がった

    小さな男の子:「だから僕が先だった!」
    小さな女の子:「違うもん! ずっと待ってたもん!」
    日和:「どうしました?」

    日和さんは二人の前にしゃがんだ

    小さな男の子:「僕が先に使うって言った!」
    小さな女の子:「でも私、先に待ってた!」
    日和:「そうですね。二人とも、自分が先だと思っているんですね」
    小さな男の子:「僕が先!」
    日和:「分かりました。では、最初から聞いてもいいですか?」

    子供たちは日和に事情を説明した
    私は少し離れた場所から、そのやり取りを見ていた

    日和:「状況は分かりました……あなたは先に使うと言ったんですね?」
    小さな男の子:「うん」
    日和:「あなたは、その前から待っていたんですね?」
    小さな女の子:「うん」

    日和:「では、先に待っていた人が一度使って、その次に使うのはどうでしょう?」
    小さな男の子:「……でも」
    日和:「待っていたことに気付かなかったんですよね?」
    小さな男の子:「うん」
    日和:「それなら、悪いことをしようとしたわけではありませんね」
    小さな女の子:「じゃあ……終わったら貸す」
    小さな男の子:「……うん」

    日和:「大丈夫そうですね」
    彦星:「日和さん」
    日和:「はい?」
    彦星:「今の、最初からその答えが分かっていたんですか?」
    日和:「いいえ?」
    彦星:「でも、迷っていませんでしたよね」
    日和:「二人の話を聞いただけですよ」
    彦星:「それで全員が納得するんですか?」
    日和:「納得したのは、あの二人ですよ?」
    彦星:「……なるほど」

    少しだけ分かった気がした
    この人は、人を動かしているんじゃない
    誰か一人を悪者にしないから、皆が話を聞くのだ

    日和:「彦星君?」
    彦星:「前より少しだけ、日和さんが分かった気がします」
    日和:「それは困りましたね」
    彦星:「なぜですか?」
    日和:「私、そんなに難しい人でしょうか?」
    彦星:「……少し考えさせて下さい」
    日和:「はい」

    答えたら負ける気がした
    しばらく歩いた後、人の少ない場所で腰を下ろした

    日和:「彦星君」
    彦星:「はい」
    日和:「一つ、聞いてもいいですか?」
    彦星:「どうぞ」
    日和:「彦星君にとって……あの子との思い出は、簡単に忘れるほどのものなのですか?」

    すぐには答えられなかった

    日和:「責めているわけではありませんよ」
    彦星:「……分かっています」
    日和:「忘れることは悪いことではありません」
    彦星:「はい」
    日和:「でも、待っている人は、その間も待ち続けています」
    彦星:「……」
    日和:「彦星君は、どう思います?」

    私は腕を組んだ
    言い訳ならできる

    十五年前だった
    子供だった
    村を離れた

    でも……それを並べても、忘れた事実は変わらない

    彦星:「私は、忘れようと思ったわけではありません」
    日和:「はい」
    彦星:「でも、忘れたことは事実です」
    日和:「そうですね」
    彦星:「だから……少し考えました」
    日和:「何をですか?」
    彦星:「思い出せるなら、最後まで向き合いたいです」

    日和さんは黙って私を見る

    彦星:「すぐ全部思い出せるとは言えません。約束の内容も、あの子の名前も分からない」
    日和:「はい」
    彦星:「でも、逃げずに知ろうとすることだけは約束します」
    日和:「……約束……ですか」
    彦星:「まずかったですか?」
    日和:「いいえ」

    ほんの少しだけ、日和さんの表情が和らいだ

    日和:「では、覚えておきますね」
    彦星:「それ、かなり重くないですか?」
    日和:「約束は大切ですから」
    彦星:「……分かりました」

    別れ際、私は今日の出来事を思い返した
    すると、一瞬だけ光景が浮かんだ

    誰かを助けた後
    幼い少女が、安心したように笑っている

    あの子:「よかったですね、彦星君」

    彦星:「……」
    日和:「どうしました?」
    彦星:「また少しだけ、思い出しました」
    日和:「そうですか」
    彦星:「あの子、笑っていました。誰かを助けた後に」
    日和:「きっと、嬉しかったんでしょうね」
    彦星:「日和さんも、そう思いますか?」
    日和:「私はそう思いますよ」

    日和さんは、それ以上何も言わなかった
    その少女が誰なのかは、まだ分からない

    でも今日……一つだけ分かった

    日和さんの最初の印象は、笑顔なのに一番怖い人だと思っていた
    でも違った
    この人は、誰より人を気遣い、誰も置いていかない人だった

    彦星:「優しい人って、もっと近寄りやすいものだと思っていました」
    日和:「はい?」
    彦星:「でも日和さんは……優しいのに、妙に逆らいにくいです」


    小森 日和(こもり ひより)のイメージソング


    日和の物語はいかがでしたでしょうか

    下記リンクは日和の設定資料を元にした物語です
    日和についてさらに詳しく知りたい方はこちらでご確認下さい

    この物語も投票対象です
    その他投票対象は以下の通りです

    #こんなヒロインどうですか

    次回作に向けてのヒロイン選定を行います
    今回選ばれたヒロインは……
    小森 日和(こもり ひより)

    彼女への応援メッセージをレゾナンス・ハーモニクスの皆さんお願いします https://t.co/HRiQ2AEK5n pic.twitter.com/VtnwA2yIEe

    — 東堂迷言 (@MiTang92712) June 3, 2026

    #こんなヒロインどうですか

    26年第2クールの物語のヒロインを決める企画

    期間:3月15日―3月28日

    スキ❤の数が多いヒロインの物語を作成する予定です
    ご協力お願いします

    No.3 小森 日和(こもり ひより)
    物語テーマ【かわいいのに全員を支配している女】#小説好きさんと繋がりたい pic.twitter.com/gLDRr8ZgCx

    — 東堂迷言 (@MiTang92712) March 16, 2026

    #迷言さんの作品紹介#ChatGPT に聞いてみた

    チーム・が手掛けた
    本日の #KKNhttps://t.co/kFfzdu3A2a

    の作業風景を描いて下さい pic.twitter.com/BCoxYnO12L

    — 東堂迷言 (@MiTang92712) July 1, 2026


     
     
     
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