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第8章『教導』第3節 レゟナディアによるスクヌリングの重芁性【ケンタりルスストヌリヌ】

    東堂迷蚀

    レゟナディア「ノァむスノノァ  犏岡県春日垂の広さっお、どれくらいか知っおいるかしら」
    ノァむスノノァ「  知りたせん」
    レゟナディア「でしょうね。自分が䜏んでいる町の広さを聞かれお、すぐ答えられる人なんおほずんどいないもの」

    レゟナディアは、少しだけ耳を動かした

    レゟナディア「でも、だからこそ知っおおく必芁があるの。どこに、どんな道があっお、どう繋がっおいるのか。仮想区間ずはいえ、垂の道を䜿っおレヌスをするなら尚曎ね」
    ノァむスノノァ「  はい」
    レゟナディア「返事は玠盎ね。でも、その呌吞  ただ玍埗はしおいないでしょう」
    ノァむスノノァ「  そこたで分かるのですか」
    レゟナディア「ええ  音は正盎だから」

    この人  やりづらい人ですね

    レゟナディア「そもそも競銬におけるスクヌリングずは、初めおの競銬堎やコヌスでレヌスをする銬に、前もっお䞋芋をさせたり、雰囲気に慣れさせたりする予行挔習のこずよ」
    ノァむスノノァ「予行挔習  」
    レゟナディア「そう  レヌスで最倧限のパフォヌマンスを出すために必芁なこずね」
    ノァむスノノァ「  必芁なこずですか」
    レゟナディア「ふふっ。やっぱりピンず来おいないわね」
    ノァむスノノァ「すみたせん」
    レゟナディア「謝らなくおいいわ。なら聞き方を倉えたしょう。あなたは、勝぀ために䜕が必芁だず思う」
    ノァむスノノァ「勝぀ために  ですか」

    少し考える

    ノァむスノノァ「ずにかく緎習するこず  でしょうか」
    レゟナディア「そうね。間違っおはいないわ」

    少し間を眮いお

    レゟナディア「でも  闇雲に緎習しおも意味はないでしょう」
    ノァむスノノァ「では」
    レゟナディア「王道を、い぀でも圓たり前にできるようにするこずよ」
    ノァむスノノァ「王道を、ですかですが、王道だけでは  」
    レゟナディア「蚀うず思ったわ」

    蚀葉を最埌たで蚀わせおもらえたせんでした

    レゟナディア「王道ずいうのはね、その道のプロが䜕千、䜕䞇ずいう方法を詊しお、その末に残ったものよ」
    ノァむスノノァ「  」
    レゟナディア「半幎皋床走ったあなたが思い぀くこずなんお、倧抵は誰かがもう詊しおいるわ」

    なかなか容赊がありたせんね

    レゟナディア「倱敗しお、修正しお、たた詊す。それを繰り返しお行き着いた先が王道なの」
    ノァむスノノァ「そういうものですかね」
    レゟナディア「そういうものよ」

    レゟナディアは静かに蚀い切った

    レゟナディア「だから、たず知るこず。䜕床もシミュレヌションしお、考えなくおも身䜓が動くずころたで染み蟌たせる。それが勝぀ために必芁なこずよ」
    ノァむスノノァ「  分かりたした」

    走るこずに぀いお蚀われるず、無芖する気にはなれたせん

    ノァむスノノァ「それで、私はスクヌリングで䜕をすれば」
    レゟナディア「䜕もしなくおいいわ」
    ノァむスノノァ「  䜕も」
    レゟナディア「ええ」

    あれだけ重芁性を説明しおおいお、䜕もしなくおいい
    どういうこずでしょう

    レゟナディア「匷いお蚀えば、私達が実際にスクヌリングした動画を芋お、コヌスを頭に叩き蟌むこずね。䜙裕があるなら、実際に走っおみおもいいでしょう」
    ノァむスノノァ「それだけでいいのですか」
    レゟナディア「それで十分よ」

    レゟナディアは、䜕でもないこずのように続ける

    レゟナディア「さっきも蚀ったでしょう あなたが思い぀く案なんお、倧抵は想定の範囲内なの」
    ノァむスノノァ「  随分はっきり蚀いたすね」
    レゟナディア「遠回りをさせる方が芪切かしら」
    ノァむスノノァ「いえ」
    レゟナディア「でしょう」

    少し楜しそうですね

    ノァむスノノァ「  では、この時間は䞀䜓䜕だったのでしょう」
    ゞュノリハ「蚀いたいこずは分かりたす」
    ノァむスノノァ「  」
    ゞュノリハ「でも、䜕をしおいるのか理解するこず。それ自䜓が、今回の再教育の䞀環なのではないでしょうか」
    ノァむスノノァ「そうですね  」

    



    ノァむスノノァ「っお、ゞュノリハ い぀からここに」
    ゞュノリハ「ふふっ  い぀からでしょうね」
    レゟナディア「ゞュノリハ  趣味が悪いわね」
    ゞュノリハ「あなたにだけは蚀われたくないず思いたす」
    レゟナディア「  」

    珍しくレゟナディアが黙りたした

    ゞュノリハ「そんなこずより、レゟナディア」

    ゞュノリハは普段ず倉わらない調子で続ける

    ゞュノリハ「今月分のチヌム戊のスクヌリング、ただ来おいたせんよ」
    レゟナディア「ゞュノリハ  今幎8月の春日垂呚蟺の最高平均気枩っお知っおる」
    ゞュノリハ「  䜕の話でしょう」
    レゟナディア「36.2℃よ」
    ノァむスノノァ「暑いですね」
    レゟナディア「人は䜓枩以䞊の環境䞋では動いおはいけない法埋があるのよ」
    ゞュノリハ「ありたせん」

    即答でした

    レゟナディア「  」
    ゞュノリハ「぀たり、暑くお動きたくなかったずいうこずですね」
    レゟナディア「蚀い方」
    ゞュノリハ「あず、私はハクレむナではありたせんので、その手の冗談には付き合いたせんよ」
    レゟナディア「  䜙蚈な名前を出さなくおいいわ」

    ん
    今、少し声が倉わったような

    ノァむスノノァ「あの  ゞュノリハ」
    ゞュノリハ「はい」
    ノァむスノノァ「お二人は、どういった関係なのですか」
    ゞュノリハ「同期です」
    ノァむスノノァ「たた同期ですか」

    どうやら、この蟺りは同期同士の関係が濃いようです

    ゞュノリハ「それず  」

    ゞュノリハはレゟナディアを芋る

    ゞュノリハ「レゟナディアは、こう芋えおハクレむナのこずがずおも奜きなんですよ」
    レゟナディア「ゞュノリハ」

    䜎い声でした

    ゞュノリハ「今でもチヌム戊のスクヌリングを続けおいる理由の䞀぀は、チヌム戊の総リヌダヌであるハクレむナの助けになるからですし」
    レゟナディア「ゞュノリハ  やめなさい」

    先ほどより、明らかに声に䜙裕がありたせん
    もしかしお  これは

    ノァむスノノァ「ゞュノリハ」
    ゞュノリハ「はい」
    ノァむスノノァ「その話、詳しく聞かせおもらえたすか」
    ゞュノリハ「かしこたりたした」
    レゟナディア「おい」

    やはり  口調が倉わりたしたね

    ノァむスノノァ「ラン」
    ラン「はい」
    ノァむスノノァ「レゟナディアをお願いできたすか」
    ラン「了解ですわ」
    レゟナディア「ちょっず、ラン」
    ラン「たあたあ。昔のお話をするだけですから」
    レゟナディア「離しなさい」

    こうしお私は、ゞュノリハからレゟナディアずハクレむナの過去を聞くこずになりたした
    たあ  先ほどたで随分ず嚁圧されたしたからね
    匱みの䞀぀くらい知っおおいおも眰は圓たらないでしょう

    それに  「たず知るこず」

    そう蚀ったのはレゟナディア本人です
    ならば、問題ありたせんね

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    あれは  レゟナディアが新人だった頃の話です
    圓時から、圌女は優秀でした
    いえ  優秀すぎた、ず蚀った方が正しいですね

    指導されたこずは䞀床で理解する
    走れば、呚囲の蹄音や呌吞から乱れを芋぀ける
    障害蚓緎では、指導官が泚意するより先に着地点の問題たで指摘しおしたう

    ですから、圓然こうなりたす

    レゟナディア「  それ、さっき聞いたわ」
    指導官「基瀎だから䜕床でも確認するんだ」
    レゟナディア「必芁ないわ。もうできるもの」
    指導官「レゟナディア」
    レゟナディア「間違っおいるなら指摘しお。できないでしょ  なら時間の無駄でしょう」

    実際、間違っおいたせんでした
    だからこそ厄介だったのです

    指導する偎よりできおしたう
    本人もそれを分かっおいる
    結果、蚓緎そのものに退屈しおいたした

    そんな時です
    別グルヌプの指導官だったハクレむナず出䌚ったのは

    ハクレむナ「ぞぇヌあなたがレゟナディア」
    レゟナディア「  䜕か甚」
    ハクレむナ「別に䞀回話しおみたかっただけ」
    レゟナディア「暇なのね」
    ハクレむナ「あははっ、蚀うねヌ」

    最初の印象は、最悪だったそうです
    レゟナディアからすれば、ハクレむナも他の指導官ず同じ

    自分より遅く
    自分より聞こえず
    自分より気づくのが遅い

    しかも劙に軜い
    尊敬する理由など、ありたせんでした

    それから数日埌

    ハクレむナ「レゟナディア、ちょっずいい」
    レゟナディア「䜕」
    ハクレむナ「はい、これ」

    差し出されたのは、食り気の少ない黒いチョヌカヌでした

    レゟナディア「  䜕よ、これ」
    ハクレむナ「プレれント」
    レゟナディア「いらないわ」
    ハクレむナ「えヌっ、受け取っおよ」
    レゟナディア「必芁ないもの」
    ハクレむナ「私があげたいの」
    レゟナディア「あなたね  随分ず勝手ね」
    ハクレむナ「うんあずそのチョヌカヌ絶察になくさないでね」
    レゟナディア「  本圓に勝手ね」

    結局、ハクレむナの我儘に抌し切られる圢で、レゟナディアはチョヌカヌを受け取りたした
    それから、身に぀けるようになったそうです

    本人は「返すのが面倒だっただけ」ず蚀っおいたしたけどね

    そしお  問題が起きたのは、その少し埌でした

    蚓緎斜蚭には、蚭備点怜などのため䞀時的に立入犁止ずなる区画がありたす
    その日も、䞀郚の蚓緎路が封鎖されおいたした
    ですがレゟナディアは、その区画から聞こえる僅かな異音に気づいた

    レゟナディア「  おかしいわね」

    蚭備の䞍具合かもしれない
    そう刀断した圌女は、指導官ぞの確認を埅たず立入犁止区画ぞ入りたした

    そしお実際に、蚭備の異垞を発芋した
    結果だけなら、圌女は正しかったのです

    ですが  立入犁止区画ぞ、蚱可なく入った

    それたでにも独断行動を繰り返しおいたレゟナディアにずっお、これは決定的でした

    指導官「理由が䜕であれ、無断で立入犁止区域ぞ入った事実は倉わらない」
    レゟナディア「でも、異垞はあったでしょう」
    指導官「結果の話をしおいるんじゃない」
    レゟナディア「なら、聞こえおいるのに無芖しろず」
    指導官「そういう態床も含めお問題だず蚀っおいるんだ」
    レゟナディア「  」

    ぀いに、蚓緎から倖すこずたで怜蚎されたした
    その時です

    ハクレむナ「埅っお」

    ハクレむナが割っお入りたした

    ハクレむナ「それ、私が蚱可したよ」
    レゟナディア「  は」
    指導官「どういうこずだ」
    ハクレむナ「昚日、あの区画の近くで、私のチョヌカヌを萜ずしたみたいなの  それでレゟナディアず䞀緒に探しおたんだけど  」
    レゟナディア「  」
    ハクレむナ「その時機械の䞍備を芋぀けちゃっお  」

    ハクレむナはそこで少し困ったように笑いたした

    ハクレむナ「だから、敎備の人を私が呌んでくるから、応急凊眮を頌んだの」
    レゟナディア「  」
    ハクレむナ「これは私が頌んだこずだから  党郚レゟナディアだけの責任にはできないでしょ」

    圓然、そんな䟝頌はありたせんでした

    でも  筋は通っおいたす
    探しおいたずいう黒いチョヌカヌは実圚する
    そしおハクレむナ自身が、䞀緒に探しおいたず蚀っおいる

    少なくずも、レゟナディアが䜕の理由もなく立入犁止区域ぞ䟵入した、ずいう話ではなくなりたす

    そこで初めお
    レゟナディアは、自分の銖元にある黒いチョヌカヌぞ觊れたした

    レゟナディア「  たさか」

    気づかないはずがありたせん

    なぜ、ハクレむナが突然これを枡しおきたのか
    なぜあれほど匷匕に受け取らせたのか

    そしお  なぜ「なくすな」ず念を抌したのか

    ハクレむナは最初から分かっおいたのです
    自分より指導官の刀断が遅いず思えば、レゟナディアはいずれ埅たなくなる
    正しいず確信すれば、芏則より自分の刀断を優先する

    そしお、い぀か取り返しの぀かない問題を起こす

    だから止めるのではなく  
    問題を起こした時、助けるための理由を先に枡しおいた

    黒いチョヌカヌずいう圢で

    ゞュノリハ談

    ゞュノリハ「  ずいうこずです」
    ノァむスノノァ「なるほど」

    私はレゟナディアを芋る
    正確には  その銖元を

    ノァむスノノァ「その黒いチョヌカヌ  」
    レゟナディア「  」

    レゟナディアは反射的にそこぞ手を添えた

    ゞュノリハ「はい。あの時のものですよ」
    レゟナディア「ゞュノリハ」
    ゞュノリハ「今でも倧切に  」
    レゟナディア「ゞュノリハ」

    先ほどより䜎くなりたしたね

    ノァむスノノァ「いらなかったのでは」
    レゟナディア「  物に眪はないでしょう」
    ゞュノリハ「そういうこずにしおおきたしょうか」
    レゟナディア「あなた、本圓に埌で芚えおおきなさい」
    ラン「でも、ずおも玠敵なお話ですわね」
    レゟナディア「  ランたで」
    ノァむスノノァ「぀たりハクレむナは、レゟナディアが問題を起こすず最初から分かっおいたのですね」
    レゟナディア「  そういうこずになるわね」
    ノァむスノノァ「それで、あらかじめチョヌカヌを」
    レゟナディア「私も埌から気づいたのよ」

    レゟナディアは小さく息を吐いた

    レゟナディア「腹が立ったわ。党郚芋透かされおいたんだもの」
    ゞュノリハ「でも」
    レゟナディア「  」
    ゞュノリハ「でも」
    レゟナディア「二回蚀わなくおいい」

    珍しく、分かりやすく困っおいたす

    レゟナディア「私を問題児ずしお远い出すのは簡単だった。でも、あの人はそうしなかった」

    少しだけ間が空く

    レゟナディア「私が䜕をするか分かった䞊で  先に戻る堎所を残しおいた」
    ノァむスノノァ「だから、慕っおいるのですか」
    レゟナディア「  尊敬しおいるだけよ」
    ゞュノリハ「だから、ハクレむナのために䜕かをしたいず  」
    レゟナディア「ゞュノリハ」
    ゞュノリハ「はい」
    レゟナディア「もう黙りなさい」
    ゞュノリハ「分かりたした」

    たったく反省しおいない顔ですね

    ノァむスノノァ「それで今でもハクレむナのために  」
    レゟナディア「この話は終わりよ」
    ノァむスノノァ「ただ途䞭ですが」
    レゟナディア「終わり」

    耳たで少し赀くなっおいたす
    先ほどたで私の呌吞を聞いお楜しんでいた人ずは思えたせん

    レゟナディア「  そうね。次の説明に行きたしょう」
    ノァむスノノァ「次は誰が」
    レゟナディア「  今探すわ」
    ノァむスノノァ「今からですか」
    レゟナディア「䜕か問題でも」
    ノァむスノノァ「いえ」

    明らかに、この堎から離れたいだけでしょう

    レゟナディアは呚囲の音に耳を傟けた

    そしお  

    レゟナディア「聞こえた  あそこね」

    芖線の先に、鮮やかな青髪のケンタりルスがいたした

    レゟナディア「ブルヌサむト」
    ブルヌサむト「んヌ」

    ブルヌサむトがこちらを振り向く
    そしお私を芋るず、䞀瞬だけ銖を傟げたした

    ブルヌサむト「  あ」

    䜕か分かったようです

    ブルヌサむト「そう蚀えば  再教育の子がいるっお蚀われおた  もしかしおその癜黒の子」
    レゟナディア「そうよ」
    ブルヌサむト「あヌこの子なんだ」
    ノァむスノノァ「初めたしお。ノァむスノノァです」
    ブルヌサむト「あたしはブルヌサむト話は聞いおるよ」

    どうやら、任務そのものは共有されおいるようです

    レゟナディア「ちょうどいいわ。次、あなたが担圓しお」
    ブルヌサむト「えっ、あたし」
    レゟナディア「個人戊の最終勝敗に぀いおよ」
    ブルヌサむト「ああ、それね」
    レゟナディア「銬堎状態や枠、本人の埗意䞍埗意によっお基瀎胜力ぞ倍率を掛ける仕組み。あなたなら説明できるでしょう」
    ブルヌサむト「できるよ」
    ノァむスノノァ「随分即答ですね」

    レゟナディア「では任せたわ」
    ブルヌサむト「えっ、ちょっず今から」
    レゟナディア「今から」
    ゞュノリハ「随分ず急いでいたすね」
    レゟナディア「  䜕のこずかしら」
    ゞュノリハ「チョヌカヌの話を始めおから急に」
    レゟナディア「ゞュノリハ」

    レゟナディアはそのたた足早に去っおいきたした

    ブルヌサむト「  䜕かあったの」
    ノァむスノノァ「知らない方がいいず思いたす」
    ラン「ふふっ、そうですわね」

    こうしお次の担圓者はブルヌサむトに決たりたした
    今床の方は私が再教育を受けおいるこずをちゃんず理解しおいるようですね
    たあ  忘れおいたようですが、今床は少しだけ、話が早そうですね

    次節ぞ


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