
【連作詩】ワレモノ Ⅲ -心
こんな体に生まれたせいで。
脳が反応するたび、あちこちが光る。
脳の信号なんて全部、外から丸見え。
おまけに全身が透明。
私の存在は「研究対象」でしかない。
誰も私の心になんて興味を抱かない。
どれほど怯えたって人は寄ってくる。
私を人間だとは思っていないから。
この苦しみ、わかられてたまるか。
まあそもそも、
わかろうとする人間なんていないけど。
あそこでぼーっと立ってる男。
仕事できなさそうね。
声をかけたらビクッとしていた。
愚か者め。
研究者なら研究者らしく、
他の白衣のおっさんたちみたいに
ニヤニヤしながら私を見なさいよ。
私の苦しみなんてわからないくせに。
吐き出すものをなくした彼女は、
ひとり惨めさと羞恥に沈み
静かに涙をつたらせた。