父が残した「切手収集」アルバム。価値が上がらなかった切手のプライスレス
あなたの家に、今も眠っている古い趣味のコレクションはありますか?
捨てるに捨てられず、でも開けば懐かしさがこみ上げてくる、そんな箱がきっと一つはあるのではないでしょうか。
三連休の中日、重い腰を上げて古い箱の整理を始めました。
何年も置きっぱなしにしていた段ボールの中から、懐かしいものがいくつも顔をのぞかせます。
その中でひときわ存在感を放っていたのが、父の切手収集アルバムでした。
昭和の切手収集ブーム
昭和40〜50年代、切手収集はメジャーな趣味でした。
小学校には「切手ハカセ」と呼ばれる男の子がいて、くわしかったり、珍しい切手を持っている子は一目置かれる存在でした。
サラリーマンだった父も、発売日にシートで購入しては、几帳面にアルバムに収めていました。


当時はがきが7円、20gまでの封書(第一種郵便物)が15円だったそうです
親子で楽しんだ切手の世界
「買っておくと、将来価値が上がって高く売れるかもしれん」
父はそう言って、にこにこと笑っていました。
趣味半分、上がったらラッキー。そんな気持ちで続けていた収集だったのでしょう。
父がシートで集める横で、私は1枚ずつ、自分の小さな切手収集アルバムのポケットに大切に収めていました。
全国の郵便局で小学生のお小遣いでも買えて、手紙やハガキに貼って出すという実用性もありました。
珍しい切手なら将来値上がりするかもしれないという夢もありました。
外国の切手は世界への窓であり、歴史を物語る小さな芸術品でもありました。
趣味の雑誌には「文通してください」のコーナーがあり、国際文通も盛んでした。
街には「古切手商」の小さな店があって、一度か二度、父に連れられて足を向けたことがあります。
私は自分のお小遣いで、外国の使用済み切手が複数入ったセットを買いました。
集めた切手の中で、特に心に残っているのは「昔話シリーズ」と「日本の歌シリーズ」、そして「近代美術シリーズ」です。
子どもにも親しみの持てるテーマのものから、美しい絵画を再現したものまで、発行カレンダーを見ながら、「次はいつ? どんなの?」と発売を心待ちにしていました。
少しずつ集まっていくのがとてもうれしかったのを覚えています。


時代の変化と、残されたアルバム
時は流れ、「集める」という普遍的な趣味の対象は、いつの間にかポケモンカードやデジタルコンテンツに移っていきました。
切手収集はすっかり「レトロな趣味」になってしまいました。
私自身も大人になってからは、きれいな切手や地方切手を時々買っていたものの、手紙を出す機会がほとんどなくなってから足が遠のきました。
郵便料金の値上がりで、古い切手に1円切手を貼り足さねばならなくなると、切手本来の美学が損なわれるような気がして、なおさら使わなくなりました。
今、父はもういません。
切手アルバムは父の思い出の品となりました。
金銭的価値は出ませんでしたが、郵便局への支払いに使える貴重な金券ファイルでもあり、開くたびにさまざまな思い出が蘇る懐かしい品でもあります。
正直なところ、場所を取るので片付けたい気持ちもあります。
でも、いざアルバムを開くと、これを丁寧にファイリングした父の姿が目に浮かび、結局またそっとしまっています。

1972年2月1日に郵便料金が改定され、封書(第一種郵便物)の料金が15円から20円に、はがき(第二種郵便物)の料金が7円から10円になりました。
50円切手は、書留や速達、大型の封書の料金に充てられたと思われます

1976年1月25日に改定された郵便基本料金は、封書(第一種郵便物)が50円、はがきが20円
デジタル時代の、アナログな愛着
ですが今、思わぬ一つの転機がやってきました。
定形郵便物の料金が110円という、久々にキリのいい数字になったのです。
レトロ切手たちの出番が、もしかしたら増えるかもしれません。
メッセージやメールが主流の今だからこそ、物理的に存在して手に取ることができる、美しく懐かしい「レトロ切手」への愛着を感じます。
デジタル時代だからこそ際立つ、物理的で美しいものを大切にする心。
それは父から受け継いだ、小さな宝物なのかもしれません。
見やすく大切に保管されているアルバムを眺めながら、写真に収めました。
こういうものは、手間ひまかけてまとめたこのかたちが、なんか、いいんですよね。
少しずつ使いながら、また愛でていくのもいいかもしれません。
あなたは切手を集めていましたか?
今は、どんな時に切手を買っていますか?
「こんな切手、そういえば見たなあ」「うちにもあったわ」と思い出してもらえたら、うれしいですね。

紹介した中では一番古いもの。
はがき7円、20gまでの封書15円、高額用50円の切手がセットになっています
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