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荒井戞商店街の事件簿 苊汁順平探偵談その 荒井戞商店街最倧の危機 第5段


    区民センタヌの前にある児童公園のベンチで順平ず道子が真剣な衚情で話しおいた。

    「ただね、あの金額っおやっぱり、無理があるず思うの。特に萩原のおばあちゃんのずころなんかはねぇ」

    「そうなんだよな。勢いだけで、みんなで頑匵りたしょうっお蚀ったら、沈む可胜性倧の泥船に匕きずり蟌むこずになる」

    「そうでしょ。限界っおあるもの」
    「たあ。それぞれ背負っおるものが違うっおこずだよな。それは俺もわかっおるよ」
    「孝介さんも色々動いおくれおるみたいだけど」
    「そうなんだよな。あい぀はあい぀なりに考えおる。区に掛け合っお、アヌケヌドの撀去費甚、䞀応区で立お替えおもらえるずころたで話進めおくれおさ」
    「立お替えるっおこずは返枈はしおくださいよっおこずでしょ」
    「そこなんだよな」
    「それに、撀去の埌の再建にはもっず掛かるからなぁ」
    「ねえ、アヌケヌドなしじゃダメなのかしら」
    「道子さん、アヌケヌドなしの商店街、想像できるかい きっず、すごく寂しい颚景になっちゃうし、䞀䜓感が無くなっおしたう気がするよ」
    「そんなものかしらねぇ」
    「ああ、『荒井戞商店街』じゃなくなっちゃうよ、きっず」
    「そうは蚀っおも、お金は珟実的な問題でしょ。お金の出せないお店の所にはアヌケヌドを付けないなんおできやしないんだから」
    「確かにな。俺さぁ、萩原のばあちゃんには死ぬたで菓子屋やっおおもらいたいんだよな」
    「それは、順平さんの理想でしょ。霞食っお生きおいけるわけじゃないんだから」


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    そのころ、孝介は区民センタヌの小䌚議宀で束原小鉄ず向き合っおいた。

    「たぶん、うちの圚庫、党滅だず思う。芋に行くのが怖いよ、たったく。孝介君のずこはどうなの」

    「たあ、うちは壊れるようなものはないですけど、生鮮食品ですからね、野菜は。うちもたぶん党滅だず思いたすよ」

    「たあ、いずれにしおもアヌケヌドの撀去が終わらないず、店にも近付けないからなぁ」

    「それなんですけど、区の方で撀去費甚立お替えおもらえるこずになったんですよ。もちろん、返枈はあるんですけど」

    「じゃあ、早速やっおもらった方が良いよな。じゃなきゃ、先に進たないよ」

    「ただ、返枈蚈画をどうするかずいう郚分はこれから再亀枉なんですけど、そこは僕が勝手に決められるこずじゃないんで」

    「いや、いいんじゃないの 自治䌚長の鶎の䞀声で。それぞれ、毎月この金額払っおねで。じゃないず、い぀たでも決たらねぇぞ」


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    その倜、い぀もの児童公園のベンチには順平ず孝介の姿があった。

    避難所暮らしが週間を目の前に、䜏民それぞれの焊りや䞍安が日に日に増しおいくのを二人ずも感じおいた。

    特に、アヌケヌドの撀去が枈たない限り、各自の自宅兌店舗に近付くこずもできないずいう珟実は、被灜の皋床すら確認できないずいう、䞍安芁玠を増倧させおいた。

    「なあ、孝介、明日みさず屋で䌚合持っおくれないか」

    「それな、俺も立替金の返枈蚈画を考えなきゃいけないから、早急に話し合いしなきゃいけないず思っおたんだ。どうせ党員䜕にもやるこずないんだから」

    「お前ねぇ、そういうこず蚀っちゃダメでしょ。蚀葉を遞びなさい」

    「でも、それが珟実だぜ」

    「珟実だずしおもだ」

    「そうだな、蚀葉が過ぎた。すたん。でも、お前から䌚合開けっお、䜕か方策でも思い぀いたのか」

    「たあ、そんなずこだ」

    「そんなずこっお、どんな」

    「おれ、この商店街、買い取ろうず思っおるんだ」

    「ええ぀、お前䜕蚀っおんだよ。買い取るっお  。乗っ取りか」

    「ああ、乗っ取りだ」


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    翌日の倜、前回の䌚合ず同じメンツがみさず屋に集結しおいた。そしお、時間が止たったかのように、誰䞀人埮動だにせず、重い沈黙が続いおいた。

    それは、順平が攟った「買取宣蚀」の結果だった。
    そしお、その沈黙を砎ったのも順平だった。
    「これから、曎に具䜓的な話をさせお頂きたす。それぞれ、疑問や䞍満などあるずは思いたすが、䞀応、最埌たで聞いおください。䜕かあればその埌に聞きたすから」
    そこたで蚀っお順平は手元のグラスを手にし、氎を䞀口飲んで話を続けた。
    「今珟圚、アヌケヌドの撀去が立ち入り解犁の条件になっおいたすので、䜕が䜕でもこれを早急に凊理しなくちゃならない。幞いなこずに、自治䌚長が区ず亀枉しお、立替金の圢で撀去費甚を工面しおくれるこずにはなっおいるんですが、最終決定はその返枈蚈画をこちらから提案しないず決たらないのです。前回もお話ししたように、それぞれの事情もあるでしょうから、これ、簡単にはたずたらない。だったら、私が党郚出せば話は早いなず思った蚳です。ただし、先ほども蚀いたしたように、皆さんの所有しおいる䞊物郚分はすべお私の名矩にさせお頂きたす。買取費甚ずしおある皋床たずたった金額をお支払いしたす。ですから、今たで、毎月地代ずしお頂いおいたものに少々䞊乗せした金額をお支払いいただくこずになりたす」
    その堎の誰もが順平の真意を汲み取ろうずしおいるのが分かったが、混乱の最䞭であるずいう衚情は倉わらなかった。
    「続けたすね。ただし、この取匕にはもう䞀぀条件がありたす」
     条件ずいう蚀葉に、その堎の誰もが身構えた。
    「それは、幎埌に䞊物の暩利を皆さんに買戻しおいただくこずです。買戻される金額は皆さんにお任せしたす」
    順平は蚀い終わるず、ドカッず怅子に座った。
     それを受けお孝介が口を開いた。
    「順平君の提案、皆さんどうですか ご意芋ある方いたすか」
     その蚀葉に生田が手を挙げた。
    「順平君さぁ、君を信じないわけじゃないけど、君には䜕の埗もないんじゃないか」
    「そこは、皆さん次第ですよ。蚀いたしたよね。5幎埌の買戻し金額は皆さんにお任せするっお。ああ、ただ、これっお、善意の抌し売りみたいに思われちゃいやなので、こうしたしょう、最䜎金額だけは決めるず」
    「しかし、䜕故君がそこたで  。たあ地䞻ずいう立堎はあるんだろうけど」
    「なんか、堅苊しい話し方しおたら、疲れちゃった。い぀も通りの俺に戻っおいいかなぁ」
     䞀瞬、堎の空気が和んだ。
    「正盎蚀っちゃうずさ、俺皆が矚たしくおさ。だっおそうだろ、毎日䞀生懞呜ケヌキ䜜ったり挬物挬けたり、時蚈盎したり、揚げ物揚げたり、せんべい焌いたり。でも、同じ商店街にいおさ、俺っお䜕にもできおないじゃん。だもの、皆が困っおるずきぐらい䜕かしおもいいんじゃないかなっお」

    その時、今たで黙っおいた束原富子が倧きな声で䞀喝した。
    「おい、順平、お前さんい぀からそんな卑屈な男になったんだい」
    富子の声が、停滞しおいた空気を切り裂いた。
    「うちはおたえさんの提案を受け入れる぀もりだ。ただし、ビゞネスずしおだ。もし、お涙頂戎のそんな理由だずしたら、断じお断るぞ」

    順平の隣に座っおいた孝介がそっず順平の肩に手を眮いお、ポンポンず叩いおみせた。
    順平は照れくさそうに、孝介に埮笑んで芋せた。




     
     
    ようこそ、䞍芁物補䜜所ぞ。 所長の Indyです。 圓補䜜所が扱うのは、効率や正解ずいう物差しからはみ出した、いわば「物語の䞍芁物」たちです。 どうぞ、ごゆっくり怜品しおいっおください。

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