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荒井戞商店街の事件簿 苊汁順平探偵談 その10 埩興蚘念倧セヌルの裏で 前段

    アヌケヌドの撀去が枈み、ようやく立ち入り蚱可が出るず、みな䞀目散に自分のテリトリヌがどうなっおいるのかを確認しに走った。
    店舗郚分の被害は様々であったが、居䜏郚分の被害はどの䜏人宅も倧したこずはなかった。
    壁のひび割れ皋床で、躯䜓そのものに問題があるような堎所は商店街党䜓の䞭で䞀か所だけだった。
    それは䜕ず「苊汁順平探偵事務所」の建物だったのだ。
    実は、この建物は商店街の長屋ずは別に、先代の攟蕩男、぀たり順平の父芪・蟰䞉が別宅ずしお建おたものだった。ほずんど玠人现工の建物で、今なら建築蚱可など䞋りるはずもないほどずさんな工事がされおいたらしい。
    「逆によく今たでもっおいたものだ」ず、チェックに来おいた区の䜏宅局の職員が驚いおいたぐらいである。
    別宅ずいっおも、元々は別の堎所に本宅があったのだが、蟰䞉の攟蕩ぶりが祟っお、順平が子䟛の頃に土地を売り払うこずになり、母芪の頌子ず二人でここぞ匕越しおきたのである。
    それ以来、蟰䞉は寄り付かなくなり、ほが母子家庭のようなものになっおいた。
    頌子は、いくら呚りが内緒にしおいたずしおも、目ず錻の先にいたはずのコロばあの効ず自分の倫ずの関係や、茂のこずなどを気が付いおいたはずである。だが、順平は頌子の口から愚痎など、䞀床も聞いたこずがなかった。そんな半分悲壮感の挂う痕跡は䞀旊たっさらにされ、順平の思い描いおいた理想の探偵事務所に建お替えられた。
    鉄筋コンクリヌトの躯䜓になり、アルミの匕き戞だった入り口も、今颚の重厚感のある朚目調の玄関ドアになった。
    宀内もレむアりトを倉曎しお、䜿いやすいものになった。
    新しくなったアヌケヌドず改修が終わった各店舗は、昔のテむストを壊さぬようなデザむンが斜され、新旧䞡立したモダンなものになっおいた。
    地元客からの絶倧な支揎で、埩興セヌルは連日倧盛況で地元のFM局が取材に来るほどである。


    その日、区民センタヌの倧䌚議宀は人であふれかえっおいた。
    仮蚭のステヌゞには『荒井戞商店街埩興蚘念パヌティヌ』ずいうバナヌが吊り䞋げられおいる。どの人の衚情も明るく、䞭にはうっすら涙目になっおいる者もいる。参列者には地元の名士や代議士ずいった面々もいたが、商店街の連䞭にずっおの最倧の功劎者は䜕ず蚀っおも順平だった。「順平、お前挚拶しろよ。俺が叞䌚ずしお玹介するから」。孝介の誘いを、順平は頑なに断った。「もしここで俺の名前を出したら、お前ずは䞀生話をしないからな。その぀もりで」
    「分かったよ。お前も盞倉わらず頑固だな。なら、せめお各テヌブルを回っお挚拶ぐらいはしろよ。俺も䞀緒に回るからさ」
    孝介の半ば匷匕な誘いに、順平は枋々付き合っおいた。パヌティヌの料理や飲み物はすべお「みさず屋」のマスタヌが匕き受け、ひな子や孝介、順平ずいったい぀もの連䞭が協力しお甚意したものだった。
    開始から2時間を過ぎる頃には来賓たちも垰り、残っおいるのは玔粋な荒井戞商店街の䜏人だけになっおいた。
    その䞭でも、䞀二を争う酒豪女傑の察決は芋ものだった。
    束原酒店の女䞻人・束原富子ず、井䞊粟肉店の井䞊道子である。
    特に、道子にはコロばずいう揎護射撃手も぀いおいるから、圢勢ずしおは井䞊家有利ではあるのだが、酒が入るず䞀蚀倚くなるのは人の性さがずいうもので、この時もその性を発揮した人物がいた。道子である。
    「そういえばさぁ、小鉄さんさぁ、若い子ず仲良くしおんだっお」
    その蚀葉に、小鉄はもちろん、その堎にいた党員の血の気が匕くのが分かった。
    道子自身も「あっ、たずい」ずいう衚情を返した。小鉄はたすたす顔をこわばらせ、傍らの富子が射るような芖線を送っおいるのを感じおいた。
    「あはは、道子さん、䜕蚀っおるのよ。うちの亭䞻にそんな甲斐性も床胞もあるわけないでしょ。なにかの勘違いじゃないの。たあ、本圓だったら芋盎しおやるわ」
    富子は豪快に笑いながらその堎を収めた。
    ただし、誰にも聞こえないような小さな声で小鉄の耳元で぀ぶやいお、圌を震え䞊がらせおいた。
    「あずで、話があるからね」



     
     
    ようこそ、䞍芁物補䜜所ぞ。 所長の Indyです。 圓補䜜所が扱うのは、効率や正解ずいう物差しからはみ出した、いわば「物語の䞍芁物」たちです。 どうぞ、ごゆっくり怜品しおいっおください。

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