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起業のタイミングと事業の選択

これはよく聞かれるが、難しい話だ。

起業を考える時、最初から誰もしていない仕事を探す必要はない。

新しいように見える仕事でも、過去に誰かが始め、客がつかずに消えただけかもしれない。反対に、すでに繁盛している商売には、客がお金を払っているという確かな事実がある。

まず見るべきなのは、繁盛している理由だ。

何が売れているのか。
いくらなら買うのか。
どのような客が来るのか。
なぜ、もう一度来るのか。
人を雇っても利益が残るのか。

商品だけを似せても、繁盛店にはならない。客がお金を払う理由から、店が利益を残すところまで、商売全体を見る必要がある。

それが分かったら、最初は徹底して真似ればいい。

経験のない人が、初めから自分らしさにこだわれば、売れなかった時に何が悪いのか分からなくなる。すでに成功している形を使い、その中の一番大切なものを、少しだけ良くする。その方が、最初の失敗を減らせる。

もう一つ見るべきなのは、繁盛しているのに人が足りない仕事だ。

仕事はある。客もいる。それでも、きつい、汚れる、時間が不規則などの理由で、働く人が集まらない。

このような仕事は、人気のある仕事より競争相手が増えにくい。必要とする客がいる限り、長く残る可能性もある。

ただし、人手不足なら何でもよいわけではない。

利益が少なく、十分な給料を払えないために人が集まらない仕事もある。その商売を始めれば、自分が安い給料で働く人になるだけだ。

価格を上げられるのか。
作業を簡単にできるのか。
少ない人数でも回せるのか。
給料を払った後に利益が残るのか。

人が足りない理由を変えられるなら、そこには事業の余地がある。変えられないなら、避けた方がいい。

好きな仕事だけを見る必要もない。

好きで、多くの人も始めたがる仕事と、自分は興味を持てないが、客が多く、人が足りない仕事。その両方を並べ、十年後にも必要とされているのはどちらかを考える。

起業する時期を、経験年数だけで決めることはできない。

売れる見込みを確かめ、売上が安定するまでの資金を用意し、失敗した時に失ってもよい金額を決める。そこまでできたら、最初から大きく始めず、小さく売って確かめればいい。

情報を集めても、最後の答えまでは出してくれない。

成功した人と失敗した人では、言うことが違う。同じ数字を見ても、判断は分かれる。

だから、複数の意見を聞いたうえで、最後は自分で決める。

起業とは、未来を正確に当てることではない。

今、客がお金を払っている場所を見つけ、自分が引き受けられる勝負を選ぶことだ。

私の勝負は、パン作りを習い始めて、わずか15日後の起業だった。

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35年前、創業当日のメモ。

その後35年間の、商売人生の記録。

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