TTL #1 SUSUKINO | ここに来るとお金の流れが見える | 杏奈
TTL - Tokyo Triangle Love -
Episode1 – ANNA
SUSUKINO
ここに来るとお金の流れが見える
友人の阿部からのLINE。
「ラウンジ始めます(笑)」
「プレオープン来てくださいよー」
「ヒデさんの感想聞きたいので、ぜひ!🙏」
三週間後。
初夏の札幌。
ススキノ。
鮨屋。
神谷秀は一人、阿部を待っていた。
阿部からのLINE。
「すみません!🙇かなり遅れそうです。。」
「先に召し上がっててください!」
適当につまみを頼み、ビールを飲む。
しばらくして阿部が到着する。
「申し訳ない!」
「食べ終わりました?」
「じゃ、ラウンジ行きましょうか?」
秀 POV
……鮨は?(笑)
ススキノのラウンジ。
扉が開く。
きらびやかな世界。
シャンパン。
香水。
笑い声。
ソファに座った瞬間、
複数の女性の視線が秀に集まる。
秀が店内を見回す。
秀 POV
綺麗な子は揃えてるけど。
……まあ、どこも同じか。
その時。
一人の女性が秀の前に立つ。

夜のドレス。
黒。
華やか。
でも、
下品じゃない。
「こんばんは。」
微笑む。
「アンです。」
秀 POV
……ん?
この子、なんかオーラあるな。
「お隣、失礼します。」
自然な距離感で、
アンが秀の隣に座る。
「アンって本名?」
「アンナ。でもアンでいいよ。」
黒沢杏奈 。
ラウンジの中でも、
ひときわ目を引く存在だ。
「カミヤさん、ですよね?
さっきオーナーにお名前教えてもらいました。」
別の席で女性に囲まれる阿部と目が合う。
「下のお名前は?」
「ヒデ。」
「じゃ、ヒデさん、って呼んでいい?」
「どうぞ。」
「今いくつ?」
「いくつに見えます?」
アンの全身を見回す秀。
「うーん......当てにいっていい?」
「もちろん(笑)」
もう一度、じっくりとアンを観察する。

「......29?」
「えー、そんな若く見えます?
......36です。」
「お、意外と......
え、若く見えるね。」
「ありがとうございます(笑)
でも、私、若く見られるより、
大人っぽいって言われたいかも。」
「それは失礼しました(笑)」
秀 POV
この子、表面的には若く見えるけど、
案外しっかりしてるのか?
「ヒデさんは......」
「46。」
アンが笑い出す。
「話の流れ(笑)
当てにいこうと思ったのに......」
少し唇を尖らせる。
「失礼しました(笑)
あ、好きなシャンパン頼んで。
開店祝い。オーナーにも伝えておいて。」
シャンパンの残りが少なくなった頃。
「投資家さんって……」
アンが秀の目を見る。
「会社を見るとき、最初に何を見るんですか?」
秀が即答する。
「数字。」
アンが吹き出す。
「ウケる(笑) つまんない。」
秀も笑う。
「正解だろ。」
アンが首を傾げる。
「ほかには?」
秀 POV
……え、この子何者?
少し考えて答える。
「マーケット。」
「マネジメント。」
「ファイナンシャル。」
「プロダクツ。」
アンが嬉しそうに身を乗り出す。
「イエス! プロダクツ。」
少し間。
「商品力。大事ですよね?」
秀が少し驚く。
「……だな。」
アンが続ける。
「あと......マーケティング?」
秀がうなずく。
「それも大事。」
すっとアンが顔を近づける。
秀の耳元で、内緒話のようにささやく。
「ここに来ると……」
少し間。
「お金の流れが見えるんです。」

秀が一瞬固まる。
アンの顔を見る。
微笑んでいる。
秀 POV
……この子、ただのホステスじゃないな。
アンのおねだりで、
秀は二本目のシャンパンを入れる。
アンは興味の幅が広く、話題が豊富だ。
そして、秀と話があう。
最近行った旅行の話。
好きな料理やお酒の話。
感動した映画や本の話。
秀は、ときどき頷きながら、
穏やかな表情でアンの話を聞いている。
気づけば、
秀の周りの席には誰もいなくなっていた。
視界の中にいるのは、アン一人。
「お金、好き?」
少し酔った秀が聞く。
アンが即答する。
「好きですよ。」
秀が笑う。
「正直だね。」
秀 POV
やっぱり普通のホステスか......
アンが少し考えてから口を開く。
「でも……」
少し真面目な顔になる。
「“稼ぎたい” と “自由になりたい” は違うじゃないですか。」
秀が黙る。
「私は自由になりたいんです。」
少し間。
「お金が欲しいわけじゃない。」
沈黙。
秀 POV
……何者?
最後のシャンパンを飲み干す。
チェックする。
アンが言う。
「LINE交換、いいですか?」
「いいよ。」
秀が笑う。
「君って、いつもそんな感じ?」
アンも笑う。
「どんな感じ?(笑)」
店の外。
アンがお見送りに出てくる。
秀が立ち止まる。
「また、会える?」
アンが少し考える。
「メイビー。」
「どっち(笑)?」
アンが笑う。
「またお会いしましょ。初夏の札幌で。」
秀が首をかしげる。
「どういう意味?」
店内に戻りかけたアンが振り返る。
「私……」
微笑む。
「札幌にはベストシーズンしかいないんで(笑)
今日はありがとうございます。ご馳走様でした。」
アンが手を振る。
秀に背を向けて歩き出す。
秀 POV
……変な女。
でも……
また、会いたい。

To be continued...
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