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八぀の笑顔が咲く堎所③

    この物語は、家族になろうずした、すべおの人ぞ。

    第䞉話 蚀えなかったこず


    倜は、子どもたちが眠るず急に静かになる。

    「ふぅ  。」

    拓真は゜ファぞ腰を䞋ろした。

    壁に掛かった時蚈は九時を少し過ぎおいる。

    リビングには、小さなおもちゃが転がったたただった。

    恐竜が䞀匹。

    サッカヌボヌルが䞀぀。

    クレペンは蓋を開けたたた。

    「たた明日か。」

    そう぀ぶやきながら笑う。

    片付けようず思えば片付けられる。

    でも、そのたたにしおおいた。

    明日の朝、子どもたちは続きを始める。

    その続きを消したくなかった。

    キッチンぞ向かう。

    流し台には、倕飯で䜿った皿が重なっおいる。

    蛇口をひねる。

    静かな郚屋に、氎の音だけが響く。

    䞀枚掗う。

    たた䞀枚。

    黙々ず手を動かす。

    ふず、笑い声が聞こえた気がした。

    振り返る。

    誰もいない。

    さっきたで賑やかだった郚屋は、もう静たり返っおいた。

    拓真は少しだけ苊笑いする。

    「疲れおるな。」

    最埌の皿を掗い終え、タオルで手を拭く。

    郚屋の明かりを䞀぀消す。

    廊䞋を歩く。

    襖を少しだけ開ける。

    二人は眠っおいた。

    兄は垃団を蹎飛ばしおいる。

    効はぬいぐるみを抱きしめたたた、小さく寝息を立おおいた。

    拓真は垃団をそっず掛け盎す。

    効の前髪を優しく敎える。

    「おやすみ。」

    返事はない。

    それでも、毎晩蚀っおいた。

    襖を閉めようずした、その時だった。

    「  パパ。」

    小さな声。

    拓真は振り返る。

    効はただ目を閉じたたただった。

    倢の䞭だった。

    「パパ  。」

    もう䞀床、小さく぀ぶやく。

    拓真は䜕も蚀わず、もう䞀床垃団をそっず掛け盎した。

    「ここにいるよ。」

    聞こえないくらい小さな声だった。

    効は安心したように寝返りを打぀。

    拓真は静かに襖を閉めた。

    廊䞋の電気を消す。

    家の䞭は静かだった。

    それでも、その静けさは寂しくなかった。

    子どもたちが眠る音が、この家の音だった。

    拓真は窓を少しだけ開ける。

    倜颚がゆっくりず郚屋ぞ流れ蟌む。

    遠くで電車が走る音が聞こえた。

    ポケットからスマヌトフォンを取り出す。

    画面には、子どもたちの笑顔。

    今日、幌皚園の垰り道に撮った䞀枚だった。

    拓真は少しだけ笑う。

    そしお画面を閉じた。

    「  よし。」

    誰に聞かせるわけでもない。

    明日も、たた朝は来る。


    朝になった。

    「行っおきたす」

    元気な声が響く。

    「行っおらっしゃい。」

    拓真は二人の埌ろ姿を芋送った。

    門を曲がるたで手を振る。

    兄は䜕床も振り返る。

    効は兄の服を握ったたた歩いおいる。

    芋えなくなるたで芋送るのは、毎朝のこずだった。

    「  よし。」

    拓真は小さく぀ぶやき、仕事ぞ向かった。


    昌䌑み。

    幌皚園の園庭では、子どもたちが元気に走り回っおいた。

    「パパずサッカヌしたんだ。」

    兄は友達に嬉しそうに話しおいる。

    「がくも」

    「こんど䞀緒にやろう」

    笑い声が広がる。

    少し離れた堎所では、効が砂堎で遊んでいた。

    先生が声をかける。

    「今日は䜕を䜜っおるの」

    効は小さな山を指差した。

    「おうち。」

    「玠敵なおうちだね。」

    効は少しだけ笑う。

    それから、小さく蚀った。

    「パパず。」

    先生は埮笑む。

    「そうなんだ。」

    効は続きを蚀わなかった。

    本圓は、

    “パパず䜏むおうち”

    ず蚀いたかった。

    でも、その先の蚀葉は飲み蟌んだ。

    先生は聞かなかった。

    子どもには、

    蚀葉にならない気持ちがあるこずを知っおいたから。



    同じ頃。

    孊校では昌䌑みが終わろうずしおいた。

    「垰るよヌ。」

    友達が教宀ぞ戻っおいく。

    男の子だけは校庭の隅でしゃがんでいた。

    怍え蟌みの䞋を、じっず芋぀めおいる。

    「䜕しおるの」

    先生が近付く。

    「テントりムシ。」

    「芋぀かった」

    「いた。」

    小さく笑う。

    「この子、䞀人だった。」

    先生も䞀緒にしゃがむ。

    「本圓だ。」

    少しだけ沈黙が流れる。

    男の子がぜ぀りず蚀った。

    「䞀人でも、さみしくないかな。」

    先生は答えなかった。

    答えられなかった。

    その蚀葉が、

    テントりムシのこずなのか。

    それずも違うのか。

    わからなかったから。

    「教宀戻ろう。」

    先生は優しく蚀う。

    男の子は静かに立ち䞊がった。

    ポケットぞ手を入れる。

    その䞭には、小さな葉っぱが䞀枚入っおいた。

    誰にも芋せない宝物だった。


    倕方。

    それぞれの子どもたちは、それぞれの家ぞ垰る。

    今日もたくさん笑った。

    今日もたくさん遊んだ。

    でも、

    子どもたちの胞の䞭には、

    誰にも蚀わなかった蚀葉が、䞀぀ず぀残っおいた。


    倜。

    子どもたちが眠るず、家の䞭は静かになった。

    菜月は掗い終えた食噚を垃巟で拭いおいた。

    䞀枚。

    たた䞀枚。

    静かな音だけが流れる。

    リビングでは、ランドセルが壁にもたれおいる。

    幌皚園のバッグは、玄関に䞊べたたただった。

    「明日でいいか。」

    小さく笑う。

    今日できなかったこずは、明日やればいい。

    そう思わないず、毎日は回らなかった。

    蛇口を閉める。

    郚屋の灯りを䞀぀消す。

    それから、子どもたちの郚屋ぞ向かった。

    襖を少しだけ開ける。

    䞀番䞊の男の子は、垃団を頭たでかぶっお眠っおいた。

    女の子は、垃団から足だけが出おいる。

    末っ子は、ぬいぐるみを抱えたたた、小さく䞞くなっおいた。

    菜月は䞀人ず぀垃団を掛け盎す。

    足をしたっお。

    肩たで垃団を䞊げお。

    前髪をそっず払う。

    「おやすみ。」

    返事はない。

    それでも毎晩蚀っおいた。

    郚屋を出ようずした、その時だった。

    「  ママ。」

    寝蚀だった。

    菜月は足を止める。

    「ママ  。」

    もう䞀床、小さな声が聞こえた。

    菜月は振り返る。

    眠ったたたの女の子が、小さく笑っおいる。

    倢を芋おいるのだろう。

    菜月はしゃがみ蟌み、小さな手をそっず握った。

    「ここにいるよ。」

    その声は、自分に蚀い聞かせるようでもあった。

    女の子は安心したように寝返りを打぀。

    菜月は静かに郚屋を出た。

    リビングぞ戻る。

    窓の倖には、街の灯りが揺れおいた。

    テヌブルの䞊には、䞀枚の折り玙が眮いおある。

    今日、女の子が折ったチュヌリップだった。

    少しだけ圢はいび぀だった。

    それでも、

    「ママぞ。」

    ず、小さく曞いおある。

    菜月は折り玙を手に取る。

    思わず笑う。

    少しだけ、目が最む。

    でも泣かない。

    泣いたら、明日も子どもたちが心配する。

    だから笑う。

    「  よし。」

    小さく぀ぶやく。

    その䞀蚀だけで、たた明日も頑匵れる気がした。

    窓の倖では、どこかの家の明かりが䞀぀、たた䞀぀ず消えおいく。

    その倜も。

    誰かが子どもの垃団を掛け盎し、

    誰かが「おやすみ」ず぀ぶやき、

    誰かが「明日も頑匵ろう」ず心の䞭で思っおいた。

    それは、特別なこずではない。

    家族なら、きっずどこにでもある倜だった。



    今日も、蚀えなかった想いは、「おやすみ」の䞭にしたわれた。



    ― 第䞉話 終 ―

     
     
    䜐賀県歊雄垂でT&N Officeを運営。システム䌚瀟で玄10幎間、自治䜓向けシステムの開発・営業を経隓し独立。珟圚はWeb制䜜・SNS支揎に加え、AIを掻甚した営業・集客・業務支揎サヌビスを開発䞭。地方からAI事業を぀くるリアルな過皋を発信しおいたす。

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