「早くして」を、こう変えてみたら ― 声かけ、ちょっと変えるだけ実例集
前回は、朝の支度における「見通しを持たせる工夫」について書きました。急かすより、見通しと少しの遊び心で動く方がうまくいく、という話でした。
今回はその延長で、「声かけ、ちょっと変えるだけ実例集」です。強い言葉が先に出てしまいそうな場面を、少しだけ言い換えてみる。そんな実例を集めてみました。
▼ 前回の記事はこちら
言葉ひとつで、伝わり方が変わる
イライラした瞬間、つい強い言葉が先に出てしまう。そんな経験は、誰にでもあると思います。
「早くして」「何回言ったらわかるの」「ちゃんとして」。どれも、こちらの気持ちはよく伝わります。でも、子どもに「次に何をすればいいか」までは、案外伝わっていません。
頼んでいる内容は同じでも、言葉の選び方ひとつで、子どもの受け取り方は変わります。今回は、そのための小さな言い換えを、いくつか並べてみます。
声かけ、5つの言い換え
① 「早くして」→「あと5分で出発するよ。準備できるかな?」
「早く」だけでは、どれくらい急げばいいのかが分かりません。時間や区切りを添えるだけで、子どもの中に見通しが生まれます。
② 「何回言ったらわかるの」→「さっき言ったこと、覚えてる?」
問い詰める言葉は、子どもを責める方向にしか進みません。「覚えてる?」と一度立ち止まって聞くだけで、責めるより思い出す方向に会話が進みます。
③ 「ちゃんとして」→「今できてるのはここまでやね。次はここをやってみようか」
「ちゃんと」は、大人にとっても具体的に説明しづらい言葉です。今できているところと、次にやることを分けて伝えるだけで、子どもにとっての「やること」がはっきりします。
④ 「静かにして」→「小さい声で教えて」
「静かに」は禁止の言葉です。何をすればいいかまでは示していません。「小さい声で」と望ましい行動そのものを伝えると、子どもは次の行動を選びやすくなります。
⑤ 「なんでできないの」→「どこが難しかった?」
「なんで」は、原因を子ども自身の中に探させる問い方です。「どこが難しかった?」に変えるだけで、責める言葉ではなく、一緒に原因を探す言葉になります。
共通しているのは、この3つの言い換え
5つを並べてみると、やっていることは共通しています。
禁止 → 望ましい行動。「静かに」ではなく「小さい声で」。何をすればいいかを、具体的に渡す。
抽象 → 具体。「ちゃんと」ではなく「ここまでできてる、次はここ」。何を指しているのかを、はっきりさせる。
詰問 → 確認・問いかけ。「何回言ったら」ではなく「覚えてる?」。責める代わりに、一緒に振り返る形にする。
強い言葉のほとんどは、この逆をやってしまっています。禁止だけ、抽象的なまま、問い詰める形で。だからこそ、少し言い換えるだけで、伝わり方がまったく変わってくるのだと思います。

学び
全部を完璧に言い換えられる必要はないと思っています。とっさに強い言葉が出てしまう瞬間は、これからもあります。私自身、うまく言い換えられない日の方がまだまだ多いです。
それでも、5つのうちどれか1つでも、頭の片隅に置いておくと、ふとした瞬間に思い出せることがあります。言葉の引き出しは、少しずつ増やしていけば十分だと思っています。
今日からできること
小さく試せることを、3つだけ。
① 自分がよく使う強い言葉を、1つだけ思い浮かべてみる。「早くして」でも「ちゃんとして」でも構いません。
② その言葉を、「予告・具体・問いかけ」のどれかに言い換えるとしたら、どんな言い方になるか考えてみる。
③ 次にその場面が来たら、1回だけ試してみる。うまくいかなくても、試したこと自体が収穫です。
まとめ
頼んでいる内容が同じでも、言葉の選び方で子どもの受け取り方は変わる
「早くして」→「あと5分で出発するよ」など、見通しを添えるだけで伝わりやすくなる
声かけの言い換えは、「禁止→望ましい行動」「抽象→具体」「詰問→確認」の3パターンに整理できる
全部を完璧にやる必要はない。1つ覚えておくだけでも十分
強い言葉が出てしまう瞬間は、これからもなくならないと思います。それでも、言葉の引き出しをひとつずつ増やしていく。そんな積み重ねを、これからも続けていきたいと思っています。
次回は、「聞いてないようで聞いている子どもの耳」について書いてみようと思います。
今回並べた5つは、あくまで私の家での言い換えです。同じ場面でも、ご家庭によってしっくりくる言葉は違うと思います。
もしよかったら、あなたなりの「言い換え」や、「うちではこう言ってる」という工夫があれば、コメントで教えてください。逆に「これがなかなか言い換えられない」という声も大歓迎です。
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