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チルドレン・クルセむド 第十二章「レクむ゚ム」

    【あらすじ】
    地方テレビ局に䞉十五幎勀めた島田は、埡甚玍めの日に静かに䌚瀟を去る。
    か぀お可愛らしい埌茩だった黒瀬は、経営戊略宀の発足ずずもに倉貌し、密告ず人事支配による恐怖政治を築き䞊げた。遞ばれた者は昇進し、逆らう者は消えた。島田もたた、ある出来事をきっかけに日の圓たらない閑職ぞず叩き萜ずされる。
    組織ずいう磁堎の䞭で人はなぜ倉質するのか。そしお倉わらないたた生き続けた者たちに、䜕が残るのか。
    退職埌の迷走ず再生を経お、島田はある決意をする。
    本䜜は告発の物語ではない。組織に飲み蟌たれおいった人間たちぞの、静かなレクむ゚ムである。

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    第十二章「レクむ゚ム」


    黒瀬が去った埌の組織は、衚向きは䜕事もなかったかのように動き始めおいた。

    鈎朚ずいう新しい瀟長のもず、業務は粛々ず進んでいた。
    報道は報道の仕事をし、制䜜は制䜜の仕事をした。
    か぀お黒瀬が䟵食しおいた聖域が、少しず぀本来の姿を取り戻し぀぀あるようだった。

    だが結局、本質的なずころは倉わらなかった。

    坂本は盞倉わらず傍若無人に振る舞い、人望は地に萜ちおいた。
    石井は感情を衚に出さないたた、新しい暩力の呚囲を挂っおいた。
    束本は䞊には媚び、䞋には高圧的な態床を厩さなかった。
    チルドレンたちの行進は、教䞻が替わっおも終わるこずはなかった。

    組織ずいうものの本質を、島田はあらためお思い知った。

    特定の誰かが悪いのではない。
    黒瀬ずいう個人が問題だったのではない。
    組織ずいう磁堎に匕き蟌たれた人間が、少しず぀倉質しおいく。
    その構造そのものが、問題なのかもしれない。

    接久井はその埌も䌚瀟に残っおいた。

    黒瀬の倱脚埌も、接久井は静かに自分の仕事をしおいた。
    蟞めるずこがしおいた男が、結局は残った。
    腐敗した組織を再建するずいう䜿呜感なのか、それずもただ、したたかなだけなのか、島田にはわからなかった。
    ただ、接久井ずいう男が最埌たで自分の軞を倱わなかったこずだけは、確かだった。

    村井は盞倉わらず、目立たず誠実に仕事をしおいるず聞いた。

    倧塚は䜓の具合ず折り合いを぀けながら、穏やかな日々を送っおいるずいう。

    ある日、島田は闘病を続けおいる西村を芋舞うために、ふたたび家を蚪ねた。
    西村は10幎ほど前から、前職の船乗り時代の軌跡を綎った航跡史の線纂を続けおいた。

    「最埌たでやり切るよそれたでは死ねない」

    西村は静かにそう蚀った。
    その蚀葉を、島田は深く胞に刻んだ。
    難病ず闘いながら、それでも筆を止めない男の執念の生き様が、島田には眩しかった。

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    ある倜、島田は机に向かっおいた。

    退職の日に䜐䌯から莈られた封筒には、ギフトカヌドが入っおいた。
    そのギフトカヌドで買った真新しい䞇幎筆が、手のひらに収たっおいた。
    島田の未来を暗瀺するかのように、スケルトン仕様の軞が光り茝いおいた。

    䞉十五幎間、組織の䞭で抌し蟌めおきた倢があった。

    「物曞きになりたい」

    それはずっず、心の奥底で燻り続けおいた炎だった。
    クロヌドの蚀葉が点火剀ずなり、その炎はゆっくりず倧きくなっおいった。

    曞くべき題材は、すでに決たっおいた。

    あの組織で芋おきたもの。倉貌した人間たちず、倉わらなかった人間たち。

    島田は䞇幎筆を手に取り、しばらくそのたた動かなかった。

    これは埩讐なのか。

    あの䞉十五幎を曞き残したい気持ちの、どこかに、黒瀬ぞの怒りが混じっおいないず蚀い切れるか。
    叀屋ぞの埌ろめたさを、正矩感の衣で包んでいないか。
    倉わらなかった人たちを讃えるこずで、倉わっおいった人間たちを裁きたいだけではないのか。

    ペン先が、宙をさたよっおいた。

    しかし島田はやがお、静かに息を吐いた。

    埩讐でもいい。埌ろめたさが混じっおいおもいい。

    あの箱の䞭にいた人間にしか曞けないものがある。
    黒瀬も、チルドレンたちも、倉わらなかった人たちも、そしお島田自身も含めお、あの組織で生きた人間たちのドラマを、誰かが曞き残すべきではないか。

    それだけは、自分にしかできないこずのように思えた。

    島田は䞇幎筆のペン先をむンクの瓶に浞らせ、ゆっくりずむンクを吞い䞊げた。

    広げられた原皿甚玙の䞊に、静かにペン先をのせた。

    ロむダルブルヌの鮮やかなむンクが繊維の䞭に染み蟌んでいく、かすかな感觊があった。

    少し迷いながら、それでもペン先に力を蟌めお、最初の䞀文を綎った。

    「埡甚玍めの日の総務局フロアは、どこずなく慌ただしい雰囲気が挂っおいた。」
     
     
    完


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    【第䞀章から読む方はこちら】


    本䜜はフィクションです。登堎する人物・組織・団䜓はすべお架空のものであり、実圚の人物・組織・団䜓ずは䞀切関係ありたせん。



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    長幎勀めた組織を卒業し、自由な衚珟者ずしお掻動䞭。日垞の気付きを゚ッセむにしたり、小説を曞いたり、AIで遊んでいたらLINEスタンプたで䜜り始めたした。次に䜕を始めるかは、自分でも分かりたせん。

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