見出し画像

掌編|あの橋の上、指先に残るもの

群青色。
深くて、暗い、重い空。

橋の上を歩いていた。
テールランプの光が、やってきては、遠ざかる。

黄色い光の残像が、線になって残る。
見るともなしに、しばらく眺めた。

欄干に、そっと、手をかけた。

落ちたら、痛い。
冬の加古川の水の中は、冷たい。

ひっそりと
そう思うのに、
握った手のひらは、
鉄の冷たさを感じている。

生きている。

ふと、そう思った。

吐く息は、白。
途端に、寒さが、身に染みる。

家に帰ろう。

欄干の冷たさと、
水面に浮かんでいた月が
見ていた。

冷たいけれど、
澄んで、美しい
あの水色の月に、

触れなくてよかったと、
今は思う。

月の代わりに、この掌は
確かな温もりに、触れている。

まだ、指先に
あの冷たさは、
ひそかに
残っているけれど。


_______________

苦しみから、抜けたら。
▶曇りガラスの冬

確かな温もりに触れたい方は
▶ふーちゃんの特別な花

この余韻をもう少し。
▶花弁の悪戯
_____________

もう少し、さまざまな景色を見たい方は
▶ようこそ!つはるの世界へ

いいなと思ったら応援しよう!