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Photo byuno36

ダマハラ

    めぐみティコ

    䞖の䞭の男性ず括られるカテゎリの人々の䞭には、どうも某ラヌメン店の信奉者が数倚朜んでいる気がする。
    わたしの身近で蚀えば、倫を筆頭ずしお匟、同僚の数名がCM゜ング通り「癖になる味」の虜になっおいる。

    䞀方で、女性の方はずいうず、「臭すぎお無理」ず評䟡は芳しくないようである。
    わたしも店の前を通りかかるだけで気分が滅入り、入っおみようずいう気分にならない。

    ここたで男性ず女性で評䟡の分かれるものずいうのも珍しいのではないだろうか。
    倫ず匟がわたしの実家などで顔を合わせるず、結構な頻床で「麻薬が入っおいる」ず評される(もちろん比喩衚珟である)そのラヌメンに぀いお熱く語り合っおいる。
    コロナ犍前の飲み䌚では、2次䌚の終わった埌「ラヌメン食べに行こう」ずいうお決たりの流れになったのだが、男性陣が「狞小路にあの店がある」ず赀い看板に癜い屋号を掲げたそのラヌメン店を挙げるず、女性陣が䞀斉に「無理」「この時間にそれはダメだわ」ずブヌむング。
    そのたた解散ずなり、女性だけで3軒目のカフェバヌに流れたこずもあった。
    わたしは垭に぀いおすぐにカフェオレずカタラヌナを頌み、軜食を぀たみながら喋り、結局シメにレギュラヌサむズのパフェを食べたので、どちらが眪深いかは再考の䜙地がある。

    わたしの倫も匟も、結婚前は自由にそのラヌメン店に行き、気たたに麻薬入りラヌメンを堪胜しおいたずいう。
    しかし今は、奥さんがいるので行けない、぀いおきおくれないし提案しおも华䞋されるず勝手な蚀い分で嘆いおいる。
    矩効はこれたで匟の誘いを頑なに断り続け、未だ「癖になる味」凊女を守っおいるずいう。玠晎らしい貞操芳念だ。

    わたしはずいうず、結構ゆるゆるな方なので、䞀床倫の「お願い 䞀回でいいから 本圓に1回行っおくれたらこれで最埌にするから」ず別れ際になっお「最埌に1回抱かせお」ず懇願する男のような口説き文句でほだされおしたい、自宅最寄りの店に連れお行かれたこずがある。
    車を駐車堎に停めお降りた瞬間に、嗅芚が他の四感を支配する勢いではたらき始める。
    ずうずう来おしたった。
    ここたで来おしたったら、もう匕き返せない。
    そんな悲壮な芚悟を決め、倫の埌ろに぀いお赀いのれんをくぐった。
    店の䞭に入るずたすたす嗅芚が暎れたが、もはや意識的にシャットダりンしようずいう気力さえなく、流されるたたに黒いTシャツの背䞭に屋号を掲げたお姉さんに案内される。
    客垭ぞ䞀歩螏み出した瞬間に芚える違和感。
    なんだ、この床。滑る。䞀䜓どういうこずなの。
    昔遊んだドラク゚のダンゞョンに滑る床ずいうものがあったが、その仕掛けがたさかこんな垂内にあったずは。
    密かに感動しおいたら、倫が
    「床、油で滑るから気を぀けお」
    ずなぜか嬉しそうに蚀った。
    䜕もないずころでも転ぶわたしは恐怖を芚え、倫の手を握り、小䞊がり垭にたどり぀くたでよちよち歩いた。

    運ばれおきたラヌメンから湯気がたちのがっおいないこずも衝撃だった。
    倫がたた、
    「油膜が匵っおお湯気出おないけど、めちゃくちゃ熱いから気を぀けおね」
    ず嬉しそうに蚀った。
    わたしはその時には既に舌を火傷しおいた。遅いわ。
    正盎、「麻薬が入っおいる」ず評されるラヌメンの味は芚えおいない。わたしには効かないタむプの麻薬だったのかもしれない。
    暎れ倒した嗅芚によっお胞がいっぱいになり、完食できなかったこずだけは芚えおいる。

    それ以来、倫があのラヌメン店に誘っおくるこずはなくなったが、なんずなく倫婊の間にそのラヌメン店を話題に出すのがはばかられる雰囲気も挂い始めた。
    わたしは倫の愛するものを受け入れられず、倫はわたしに愛するものを受け入れおもらえなかった。
    そんな気たずさを抱えおわたしたちは今日も共に生きおいる。
    「最埌に1回」ず蚀われたら、ほだされおしたうような残念な女だったず、もずもずさしお高くはなかった自分ぞの信頌床がガタ萜ちしたのもこの時期である。
    どうでもいいか。

    倕食は倫婊揃っお食べるこずにしおいるので、再び倫のい぀終わるずも知れないシャブ抜き期間が始たった。
    しかし、圚宅で働く倫の仕事が終わらず、わたしが床に぀く頃たで仕事をしおいる時が幎に数回ある。
    そんなずき、倫は気分転換がおら、わたしが寝静たっおから倖食に行く。
    あるずき、わたしは再び嗅芚が暎れ狂うあの感じを芚え、飛び起きた。
    自分でもわかるほどの勢いで䞊半身を起こしたのが、なんずなく蚘憶にある。
    食事から垰っおきおこれから寝るのだろう倫に、䜕か文句を蚀った気がするが、それは芚えおいない。

    翌朝、倫はなかなかトむレから出おこなかった。
    倜䞭に飛び起きたわたしに、
    「くっさ いやくっさ ブレスケアひず壜食いな」
    ず怒られ、コンビニに行き、蚀われた通りにしたのだずいう。
    わたしは倫に察しおキレた埌、たたすぐに眠っおいたずいうから、ほずんど無意識で叫んでいたのだろう。
    倫は飲むブレスケアの飲み過ぎでお腹が緩くなり、トむレずお友達ずなっおいた。
    死ぬかず思ったずは蚀っおいたが、倫はただ存呜である。
    「ティコを気遣っおにんにくは入れなかったのに」
    そんなふうにがやいおもいたが、にんにくの問題ではないずわたしは断蚀する。
    あの店のラヌメンのかほりの口臭をさせながら劻の隣で眠ろうずいう行為自䜓が、もはやハラスメントなのだ。

     
     
     
    わたしに降りかかる党おを面癜がっお生きお逝きたい。 いにしえよりの腐女子(39)が、䜕の圹にも立たないこずを䞀方的に語っおくる堎所。 げんちょんちょんGP初代優勝者。文筆家。リヌディングラむタヌ。 別通→ https://note.com/tico_reading

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