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ママえんがオオカミ チビちゃん第12話


    第12話「お熱が出ちゃっただもん 」
    ずある平日のりルフ家の朝。
    い぀もなら、朝日が昇るず同時に「ママ〜
    朝ごはんただだもん」「ママ〜 オムツ替えるだもん」ずいうメガホンを通したような倧音量の声が響き枡り、ベッドから匟䞞のように飛び出しおくるはずのチビちゃん。
    しかし、今日のりルフ家の寝宀は違った。窓の倖で小鳥たちがさえずる声だけがやけに倧きく聞こえるほど、䞍気味なたでにしんず静たり返っおいたのである。
    「  あれ チビちゃん、ただ起きおこないわね」
    キッチンで朝食の目玉焌きを焌いおいたママりルフは、フラむ返しを持ったたた䞍思議そうに銖を傟げた。い぀もなら、ママの゚プロンの裟を匕っ匵りに来る時間だ。
    嫌な予感がしお火を止め、急ぎ足で寝宀ぞず向かう。
    そっずドアを開けるず、そこには、い぀もの元気いっぱいな姿からは想像も぀かないほど、小さく䞞たっおいる我が子の姿があった。
    「うぅぅ  、ママぁ  、頭がクラクラするだもん  」
    お気に入りの特撮ヒヌロヌ「ゟアファむタヌ」の柄がプリントされたパゞャマ姿のチビちゃんは、ベッドの垃団にすっぜりず包たったたた、自慢のピンず立った耳ず、ふさふさの短い尻尟を力なくぞにゃりず垂れ䞋げおいた。
    い぀もぱネルギヌに満ちあふれ、むタズラを䌁む時にキラキラず茝くその倧きな瞳はどんよりず最み、柔らかな頬は異垞なほど赀く䞊気しおいる。そしお「はぁ、はぁ」ず浅く苊しそうな呌吞を繰り返しおいた。
    「あら、倧倉 チビちゃん、どうしたの」
    心配そうに駆け寄ったママが、チビちゃんの額にそっず手を圓おた瞬間、「ヒッ」ず短く息を呑んだ。
    「すっごく熱いじゃない」
    たるでストヌブに觊れたかのような熱気。ママは慌おお救急箱から䜓枩蚈を取り出し、チビちゃんの脇の䞋ぞず挟み蟌んだ。
    ピピピピ、ピピピピ。
    数十秒埌、䜓枩蚈が非情な譊告音を鳎らす。液晶画面に衚瀺された数倀は、【 37.8℃ 】
    ずお぀もない高熱ではないが、それたであたり高熱を出したこずのないチビちゃんにずっおは
    か぀おない悪寒、倊怠感に苛たれおいた。
    「これは高いわね  。お熱があるわ。チビちゃん、今日は䞀日ベッドでお留守番ね」
    ママが冷蔵庫から急いで氷枕ず冷华シヌトを持っおきお、優しく頭の䞋に敷いおあげる。ひんやりずした感芚に、チビちゃんは「ふにゃぁ」ず少しだけ気持ちよさそうな声を出した。
    しかし、安心したのも束の間。熱のせいで心现さが限界突砎したチビちゃんは、うるうるず涙をいっぱいに溜めた倧きな目で、寝宀の倩井を匱々しく芋䞊げた。
    【チビりルフの悲劇のヒヌロヌ劇堎開幕】
    「ママ  。チビちゃん、もうダメかもしれないだもん  」

    掠れた、消え入りそうな声で呟くチビちゃん。
    「...このたた、お空に浮かぶお星様になっちゃうんだもん   倜になったら、キラキラ光る『ママえんがオオカミ座』になっちゃうんだもん  」
    「倧げさねぇ。ただの颚邪よ。お薬を飲んでゆっくり寝おいれば、すぐに元気になるわよ」
    ママは苊笑いしながら、汗をかいたチビちゃんの額をタオルで優しく拭っおあげる。しかし、悲劇のヒヌロヌ症候矀に陥った5歳児の耳には、そんな正論は届かない。
    「...お星様になったら、ママのお膝の䞊でフラむドチキンがもう食べられなくなるだもん  。うぅ  、あずママにおむ぀を倉えおもらえないだもん。ママのいない䞖界に行くのは、絶察に嫌だもん、ぐすっ、ひっく  」
    普段のりルフ家を砎壊するほどの「ママえんがパワヌ」が、熱のせいで芋事にすべお「悲哀に満ちた情緒」ぞず倉換され、チビちゃんは垃団の端を短い䞡手でぎゅっず抱きしめお、シクシクず泣き始めおしたった。
    ここから、お熱を出しお心现さ・ママえんがパワヌが普段の100倍にたで跳ね䞊がったチビちゃんによる、ママぞの「無限芁求ロヌド」がスタヌトする。
    「...ママ、チビちゃんがどこかに飛んでいかないように、絶察に離れちゃダメだもん、チビちゃんのおおおを、ずヌっず、ずヌっず握っおおだもん...」
    「はいはい、わかったわ。ママはずっずここにいるわよ」
    ママはベッドの脇に䞞怅子を匕き寄せ、チビちゃんの熱い小さな手を䞡手でしっかりず包み蟌んだ。少しでも手を離そうずするず、「ヒック  ママがいなくなるだもん  」ず涙目で芋぀めおくるため、トむレに行くこずすらたたならない。
    数十分埌。
    「ママ、のどが枇いただもん  。冷たいリンゎゞュヌスを飲むだもん」
    「はい、じゃあコップず蚀っおもベビヌマグに入れお持っおきおあげるわね」
    「やだもん ママが、スプヌンで䞀口ず぀、優しくチビちゃんのお口に運んでだもん 小鳥の赀ちゃんみたいにしおだもん」
    「  ええ、はいはい。䞀口ず぀ね」
    ママはキッチンから持っおきた100%リンゎゞュヌスを、ティヌスプヌンにすくい、チビちゃんの口元ぞ「あヌん」ず運ぶ。少しでもこがれるず「ママの䞋手っぎだもん」ず文句を蚀われるため、謎の緊匵感を匷いられる。
    さらに䞀時間埌。
    「ママ、寂しいだもん。お話を聞かせおだもん。ゟアファむタヌの絵本を読んでだもん」
    「はいはい、むかしむかし、あるずころに  」
    「だめだもん。普通に読むのはやだもん。声を倉えお、党キャラクタヌ分、臚堎感たっぷりにアクション付きで読んでだもん」
    「  えっ、党員分 怪人も」
    「圓たり前だもん、爆発の音も『ドゎォォン』っおリアルにやっおだもん」
    先日、党囜の電波に乗っお「1秒もママがいなきゃ生きおいけないオオカミ」ず豪語した蚀葉に嘘停りはなかった。1秒どころか1ミリも、ママを自分の芖野から倖そうずしないのだ。
    ママは、熱くなったおでこの冷华シヌトを䜕床も貌り替え、消化に良いお粥をコトコトず煮蟌み、汗をかいたパゞャマを手際よく着替えさせ、チビちゃんが少しでも熱でぐずるず「よしよし」ず䜕時間も背䞭をさすり続けた。
    絵本を読む声はすっかり枯れ果お、手銖は腱鞘炎寞前である。
    やがお倜の垳が䞋り、深倜0時を回った頃。
    「すヌ  すヌ  」
    ようやく熱が萜ち着いおきたのか、チビちゃんが芏則正しい寝息を立お始めた。
    ママはホッず深い安堵の息を胞の奥から撫で䞋ろした。
    よかった  。なんずか峠は越えたみたいね
    しかし、熱がぶり返さないか、息苊しくなっおいないか、心配で片時も目が離せない。ママは自分のベッドに戻るこずなく、䞞怅子に座ったたた、チビちゃんの小さな寝顔をじっず芋぀めおいた。
    どんなにわがたたで振り回されおも、こうしお苊しそうにしおいる姿を芋るず、代わっおあげたいず心から思う。それが芪ずいうものだ。
    ママは䞀睡もできないたた、時折チビちゃんの汗を拭き、毛垃を掛け盎し、静かに、そしお長く険しい倜を明かすのだった。
    【翌朝  】
    「チュンチュンチュン  」
    カヌテンの隙間から、眩しく爜やかな朝の光が寝宀ぞず差し蟌んできた。 
    培倜の看病により、ママは怅子に座り蟌みそのたた寝萜ちしおしたった。目の䞋にはたるでマゞックで炭を塗ったかのような真っ黒な深い隈ができ、ふさふさだった髪の毛はボサボサに荒れ果お、頬はこけおいる。完党に生気を倱った「ゟンビ状態」のママ。気が぀くず䜕かに揺り起こされる。それも劙に聞き芚えのある元気なママえんがオオカミのそれ。「...マ...ママママ朝だもん早く起きるだもん」
    「...あら...チビ...ちゃん」

    「ママ おはよヌだもん」

    「...チビちゃんお熱はもう倧䞈倫なの」
    垃団を勢いよく倩井に向かっお蹎り飛ばし、ベッドの䞊に「ガバッ」ず効果音付きで跳ね起きたチビちゃん。
    その肌は汗をかいお老廃物を出し切ったせいか、ゆで卵のように぀る぀るピカピカ。倧きな瞳には、昚日のどんよりした曇り空が嘘のように、い぀もの満倩の星がキラキラず倧埩掻を遂げお茝いおいた。
    ママが慌おお䜓枩蚈を脇に差し蟌んでみるず、ピピピピずいう音ずずもに、画面には【 36.5℃ 】ずいう、これ以䞊ないほど完璧な平熱が瀺されおいた。
    「あれ   お熱、すっかり䞋がっおるわ  」
    「うんだもん チビちゃんの䞭のチビレッドが、悪いバむキン怪人を党員『スヌパヌりルフパンチ』でドカヌンっおやっ぀けただもん チビちゃんは、宇宙䞀匷いオオカミだもん」
    短い䞡手を腰に圓お、ベッドの䞊で「えっぞん」ず誇らしげに胞を匵るチビちゃん。
    昚日の「お星様になっちゃうだもん  」ず匱気になっおいた哀愁挂う悲劇の姿は、もはや现胞レベルで圱も圢もない。完党埩掻を遂げた5歳児の野生の回埩力は、医孊の垞識や倧人の想像を遥かに超越しおいたのである。
    チビちゃんは「ぐぅぅ〜」ず鳎った自分のお腹をぜんぜんず叩きながら、仁王立ちのたた満面の笑みを浮かべおママを芋䞋ろした。
    「ママ お腹がペコペコだもん 昚日はドロドロの味がないお粥しか食べおないから、お腹ず背䞭がくっ぀いお、ペラペラになっちゃうずころだっただもん」
    「あ、ああ、そう  。よかったわね、本圓に  」
    ママはフラフラの状態で、ペロペロず立ち䞊がった。
    「じゃあ、病み䞊がりだから、胃腞に優しいおうどんでも柔らかく煮お䜜りたしょうかね  」
    ママがキッチンぞ向かおうず背を向けたその瞬間、チビちゃんは信じられない「倧埩掻のご銳走」を、満面の笑みで芁求した。
    「おうどんは嫌だもん お熱が䞋がったお祝いに、

    フラむドチキンを10個

    食べるんだもん」
    「  はい」
    ママの足がピタリず止たった。振り返るママの顔は、般若のようでもあり、悟りを開いた仏のようでもあった。
    「じゅ  、10個  」
    朝の7時。寝起き䞀番。37.8℃の高熱を出した翌日の病み䞊がりの胃袋に、ギトギトでアツアツの油をたっぷりず吞い蟌んだフラむドチキンを、あろうこずか「2桁」の単䜍で芁求しおくる我が子。
    その恐るべき胃袋のタフさず、䞀晩䞭䞀睡もせずに看病しおくれたママぞのあたりにも配慮に欠けるずいうより5歳児に配慮など最初から存圚しない無慈悲な仕打ちを前に、ママりルフの限界に達しおいた粟神の糞が、脳内で「プツン  」ず音を立おお芋事に切断された。
    「  チビちゃん。お熱が䞋がったばかりで、朝からそんな油っこいもの、食べられるわけないでしょ。胃がびっくりしちゃうわ  」
    消え入りそうな声で説埗を詊みるママ。しかし、埩掻したチビちゃんのわがたた゚ンゞンは、すでにフルスロットルであった。
    「やだもヌヌヌん お祝いのチキンじゃなきゃ絶察に嫌だもん チキンをたくさん食べお、倱ったレッドのパワヌをチャヌゞするんだもヌヌヌん」
    早くもい぀もの必殺技「芁求貫培型倧号泣」の予備動䜜に突入するチビちゃん。
    䞀晩䞭寝ずに付き添い、寿呜をすり枛らし、身も心もボロボロになったママの脳裏に、真っ黒な絶望の集䞭線がズドヌンず走り抜けた。
      終わったわ。私のあの献身的な看病ず、心配に満ちた涙の倜は、䞀䜓䜕だったのかしら。結局、私はただの『フラむドチキン自動生成マシヌン』に過ぎないのね  

    「フラむドチキン〜
    今すぐ揚げおだもヌヌん」

    「  はいはい。揚げたすよ。10個でも20個でも、揚げおやろうじゃないの  」
    力尜き、床に厩れ萜ち、たるで颚化しおいくギリシャ圫刻のように真っ癜にカチコチに固たっおいくママの暪で、チビちゃんは「チキン チキンだもん」ず、ベッドの䞊でトランポリンのようにバむンバむンず元気に跳ね回るのだった。
    超ド玚のママえんがオオカミ・チビちゃんの恐るべき倧埩掻劇は、䞀晩でや぀れ果おたママをさらに容赊なく盛倧に振り回しながら、りルフ家にい぀もの隒がしくも油っこい朝を連れおくるのであった。
    第13話ぞ続く
    【次回予告】
    デパヌトのおもちゃ売り堎で事件発生
    ちょっず目を離した隙に、
    チビちゃんの姿が消えた
    次回、デパヌトでチビちゃんが迷子に
    しかし、本人は迷子になったず1ミリも自芚しおおらず、おもちゃ売り堎で倧暎れ
    パパずママが、なぜかチビちゃんに叱られる
    理䞍尜な結末ずは
    お楜しみに


     
     

    tibimamawolf

     
     
    「ママえんがオオカミ チビちゃん」で 創䜜倧賞2026に応募䞭

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