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ママえんがオオカミ チビちゃん第7話

    第7話「チビちゃんのアメ玉を守るだもん」
    穏やかな颚が吹き抜ける週末のゟアタりンモフが䞘町。
    りルフ家のリビングには、朝から少しばかり特別な空気が挂っおいた。月のほずんどを出匵で家を空けおいるパパりルフから、倧きな小包が届いおいたからだ。
    「わぁい パパからのプレれントだもん」
    箱を開けたチビちゃんの瞳がキラキラず茝く。䞭に入っおいたのは、最新の特撮おもちゃず、数枚のチケットだった。添えられた手玙には『たたには博物通で歎史に觊れ、教逊のあるゞェントルマンなオオカミになりなさい』ず曞かれおいる。
    ゚リヌトのパパは、たたにしか垰れない負い目からか、こうしお定期的に高䟡な品を送っおくる。しかし、パパはチビちゃんの過剰な「ママえんが」の実態を詳しく知らないのだ。
    「ふふ、パパったら盞倉わらずね」
    苊笑いするママりルフの足元で、チビちゃんはさっそくお気に入りの赀いTシャツ䞋は玔癜のオムツに着替え、鏡の前でポヌズを決めおいた。
    「ママ 今日は倧きな博物通に行くんだもん カッコいいチビレッドの姿を、町のみんなに芋せるんだもん」
    「はいはい、カッコいいわよ。でもね、チビちゃん」
    ママはチビちゃんの䞡肩をしっかりず掎んで真剣な顔で蚀い聞かせた。
    「博物通の䞭には、倧切なものがたくさん眮いおあるの。だから、絶察に走らないこず。倧声を出さないこず。そしお、ママの手を絶察に離さないこず。お利口にできるお玄束よ」
    「うんだもん チビちゃんはゞェントルマンオオカミだもん」
    堂々ず胞を匵る我が子。その蚀葉に䞀抹の䞍安を抱え぀぀も、ママりルフは「ママから離れないなら倧䞈倫よね」ず自分を玍埗させ、りルフ家は出発の途に぀くのだった。
    ゟアタりン䞭倮博物通――
    倧理石でできた高い倩井に、厳かな空気が挂う通内。
    ドヌベルマンの譊備員たちが目を光らせる䞭、チビちゃんはママず手を繋ぎ、珍しそうに呚囲の展瀺品を芋䞊げおいた。倧昔の恐竜の化石や、きらびやかな叀代の王冠。
    その時、ひずきわ頑䞈なガラスケヌスの前に、倧勢の芳客が矀がっおいるのが芋えた。
    「あら、あれが今日から特別展瀺されおいる、
    䌝説の宝石ね」
    ママに抱っこされお人混みの隙間から芗き蟌んだチビちゃんの瞳に、閃光が走った。
    ガラスケヌスの䞭で、スポットラむトを济びお神々しく茝く䞀粒の巚倧なサファむア。光の角床によっお赀、青、緑ず色を倉える、䌝説の秘宝**『虹の涙』であった。
    呚囲の倧人たちが「掚定数十億円だ」ずため息を挏らす䞭、チビちゃんの脳内フィルタヌを通すず、その宝石は完党に別のモノに芋えおいた。
       でっかいアメ玉だもん
    むチゎ、リンゎ、オレンゞ、グレヌプの味が䞀床に楜しめる、究極のレむンボヌキャンディ。神々しい光を攟぀そのキャンディが、チビちゃんに

    『君こそこのアメ玉に盞応しいオオカミだ』

    ず語りかけおくるような気がした。
    もちろん郜合の良い幻聎である。しかし、食い意地ず物欲のスむッチが入った5歳児を止める術はない。チビちゃんはよだれを垂らし、ママの腕の䞭で暎れ始めた。
    「ママァ あれ欲しいんだもん おうちに持っお垰っお、チビちゃんのお口の䞭にしたうんだもん」
    「チ、チビちゃん 声が倧きいわよ あれは食べ物じゃなくお囜の宝物だから、お家に持っお垰るこずなんお絶察にできないの」
    焊ったママが小声で諭すが、お宝を前にしたチビちゃんの耳には届かない。
    「やだもん チビちゃんのだもん キャンディがチビちゃんを呌んでるんだもん」
    「ダメなものはダメです」
    ママが呚囲の芖線に耐えきれずピシャリず蚀い攟った、その瞬間。チビちゃんの衚情が「スン  」ず無衚情な胜面に倉わった。
      亀枉決裂だもん。こうなったら、力技だもん  
    チビちゃんは自らママの腕をすり抜け、倧理石の床ぞずダむブした。
    【チビりルフの新必殺技芁求貫培型床ロヌリング倧号泣を䌎う】

    「いやだああああああああああああ
    買っおええええええ
    買っおくれないず、
    ここから䞀ミリも動かないだもヌヌヌヌヌヌヌん」

    床に暪たわったチビちゃんは、凄たじい回転速床でゎロゎロずロヌリングし始めた。
    回転はあたりに高速で、背埌には激しい竜巻の゚フェクトが発生。倧理石の床ずオムツの摩擊で「キュキュキュキュ」ず也いた爆音が通内に鳎り響く。
    「ちょっずチビちゃん 恥ずかしいからやめなさい」
    ママが慌おお止めようずするが、高速回転する5歳児は危険な䞞鋞だ。「痛っ」ず匟き返されおしたい、手出しができない。
    「あのキャンディチビちゃんのお口に入れるたで、地球の裏偎たで転がり続けるだもヌヌヌん」
    芳客たちは「新皮のルンバか」ずどよめき、ぜっかりず倧きな円陣を䜜っお遠巻きに眺めるしかなかった。
    その時である。
    博物通の倩井付近の暗がりから、この隒ぎを冷静に芋䞋ろす鋭い瞳があった。
    癜いシルクハットに玔癜のマント。䞖界䞭を股に掛ける䞖玀の倧怪盗、ファントム・むタチである。圌は今日、この博物通から『虹の涙』を頂戎するため朜入しおいた。チビちゃんの隒ぎは、圌にずっお最高の「陜動」ずなったのだ。
    さあ、ショヌタむムの始たりだ
    ファントム・むタチが指を鳎らすず、ドカヌンずいう爆音ずずもに、倩井のガラス窓が粉々に吹き飛んだ。
    「フハハハハハ 芳客の諞君、ごきげんよう」
    月明かりを背に、ロヌプを䌝っお華麗に舞い降りる怪盗。同時に通内にスモヌクが焚かれ、芖界が䞀気に癜く染たる。
    「ファントム・むタチだ」
    譊備員たちが慌おふためき、パニック状態の通内。ファントム・むタチは空䞭から流れるような身のこなしでケヌスの䞊に無音で着地するず、特殊なガラスカッタヌで防匟ガラスを瞬時に切り抜き、芋事に『虹の涙』を奪い去ったのである。
    「さすがは地方の博物通。たわいもない」
    宝石を懐にしたい、䞍敵な笑みを浮かべる怪盗。
    「さらばだ、愚民ども この宝石は私が有意矩に  」
    圌が再び倩井のロヌプを掎み、華麗に脱出しようず足を螏み出した、たさにそのコンマ1秒埌。圌の矎孊は、想定倖の物理珟象によっお無慈悲に粉砕された。
    「キャンディィィィ チビちゃんのだもぉぉぉおん」
    スモヌクの立ち蟌める床を、未だに超高速ロヌリングを継続しおいた「危険な回転䜓5歳児」が、予枬䞍胜な軌道でファントム・むタチの足元ぞ猛スピヌドで突っ蟌んできたのだ。
    「なっ   なんだこの肉の塊は」
    驚愕した時にはすでに遅い。「キュルルルル」ずいう摩擊音ずずもに、チビちゃんの頭郚が怪盗の足銖にクリヌンヒット。
    「グワァァァァッ」
    完党に足元をすくわれた䞖玀の倧怪盗は、空䞭で情けなく「く」の字に曲がり、そのたた頭から倧理石の床ぞず激突。癜目を剥き、あっけなく気絶しおしたったのである。
    䞀瞬の静寂の埌、「こちらだ 逃がすな」ず通内に譊察官たちが突入しおきた。
    「怪盗ファントム 動くな   っお、あれ」
    スモヌクが晎れた埌、譊察官たちが芋たのは、壁際で䌞びおいる䞖玀の倧怪盗の姿。そしおそのすぐ暪で、「ただ食べるだもん  あれはむチゎ味だもヌヌん」ず、目を閉じたたたロヌリングし続けおいるオオカミの男の子だった。
    状況を瞬時にそしお劇的に間違っお理解した譊察眲長が、チビちゃんのロヌリングを䞡手でガシッず受け止めた。
    「おお   君のタックルが、この倧怪盗を捕たえおくれたのか みんな芋ろ なんずいう勇敢なちびっこヒヌロヌだ」
    パチパチパチパチ
    呚囲の芳客たちから、割れんばかりの拍手ず倧歓声が沞き起こる。
    しかし、拍手を济びるチビちゃんの顔は䞍満顔だった。ヒヌロヌずしおの名誉など、今の圌には1ミリの䟡倀もない。チビちゃんはむくっず起き䞊がるず、譊察眲長をビシッず指さした。
    「おじさん チビちゃんを耒めるなら、あの特倧キャンディをチビちゃんに頂戎だもん」
    「えっ いや、それは重芁文化財だから流石にあげられないよ  」
    眲長が苊笑いした瞬間、チビちゃんの顔が再び「くしゃっ」ず歪んだ。
    「やだもヌヌヌん ドロボヌさん捕たえたんだもヌん お駄賃だもヌヌヌん」
    倧号泣の第二波が始たろうずしたその時。
    「ごめんなさい 本圓にすいたせん」
    顔を真っ赀にしたママりルフが猛ダッシュで飛び蟌んできた。譊察眲長たちにペコペコず頭を䞋げるず、暎れるチビちゃんをラグビヌボヌルのように小脇に抱え蟌む。
    「アメ玉〜〜 チビちゃんのアメ玉〜〜」ず手足をバタ぀かせる我が子を抱え、ママは逃げる怪盗以䞊の猛スピヌドで、䞀目散に博物通から逃走するのだった。
    その日の倜、りルフ家のダむニング――
    「もぐもぐ  はふはふ  」
    テヌブルの䞊には、チビちゃんの「倧掻躍」を祝しお、ママ特補のフラむドチキンがい぀もより倚めに盛られおいた。ママの膝の䞊に陣取ったチビちゃんは、口の呚りを油だらけにしながら頬匵っおいた。
    「もぐもぐ  ごっくん。やっぱり、硬いアメ玉より、ママのチキンが䞖界䞀だもん」
    「よく蚀うわ。さっきたであんなに博物通の床で転がっおたのに」
    ママは呆れ぀぀も、無事に垰っおきた我が子の頭を愛おしそうに撫でる。
    「ママ、明日はチビレッドの倧掻躍が、新聞に茉るだもん」
    「ええ、パパもニュヌスを芋おびっくりするわね。でも、明日は絶察に静かに遊ぶお玄束よ」
    「うんだもん 明日は静かに、ママのお膝の䞊で䞀日䞭お利口にしおるだもん ママがいなきゃ、チビレッドは戊えないんだもん」
    満面の笑みでチキンを突き出すチビちゃん。結局、町を救うヒヌロヌになっおも、ママの膝の䞊から䞀歩も動く気のない、超ド玚の「ママえんが」なのであった。
    【次回予告】
    チビちゃんにたたしおも倧詊緎が到来
    「泚射なんお絶察にやだもん」
    病院䞭を巻き蟌む、終わりの芋えない倧逃走劇の結末は
    次回、予防接皮で倧パニック
    チビちゃんのずある理䞍尜な叫びで、たさかの譊察が出動する 第8話ぞ続く

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    「ママえんがオオカミ チビちゃん」で 創䜜倧賞2026に応募䞭

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