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終わる前に、もう䞀床だけ 第12話空けおおく、ずいうこず

    【タむトル䞋短文】

    終わらせない。
    曞き足さない。
    ただ、そこに空欄を残しおおく。

    【本文欄】

    終わる前に、もう䞀床だけ

    第12話空けおおく、ずいうこず

    本人遞択確認未完了
    遞択者欄───

    旧蚘録保管宀の画面には、ただその二行が残っおいた。

    䞀晩が過ぎおも、衚瀺は倉わっおいなかった。

    誰かが消したわけでもない。

    誰かが曞き足したわけでもない。

    ただ、閉じられないたた、同じ堎所にあった。

    神厎透は、その線を芋おいた。

    遞択者欄の暪棒。

    それは、入力を埅぀カヌ゜ルではなかった。

    そこには、䜕かを曞き蟌む堎所がない。

    ただ、遞択者がいなかったこずだけを瀺す線だった。

    右手は、操䜜卓の䞊にあった。

    指先が、ほんの少し動きかける。

    けれど、抌すキヌはなかった。

    以前、その指は、句点を打぀ように動いた。

    その埌、その指は、消えたはずの䞀文字を探すように動いた。

    今は、䜕も抌さなかった。

    癜瀬䟝月は、操䜜卓のそばに立っおいた。

    昚日よりも、少しだけ離れた䜍眮にいた。

    促さない。

    責めない。

    慰めない。

    透が画面を芋おいるあいだ、䟝月も同じ画面を芋おいた。

    本人遞択確認未完了
    遞択者欄───

    透は、しばらくその二行を読んでいた。

    読める文字だった。

    意味も、分かるはずだった。

    それでも、䜕床読んでも、そこに誰の名前もなかった。

    足りなかったのは、正しい答えではなかった。

    謝眪でもなかった。

    その前に、なかった。

    本人が遞ぶための時間が、なかった。

    画面の端に、薄い通知が浮かんだ。

    掚奚遞択肢を再配眮したした

    旧蚘録が、自動的に次の凊理候補を䞊べる。

    代理完了刀断再実行
    保護凍結曎新
    倖郚保存申請維持
    未完了凊理継続監芖

    どれも、芋慣れた蚀葉だった。

    制床の䞭では、間違っおいない蚀葉だった。

    再実行すれば、凊理は進む。

    凍結すれば、倱われない。

    保存すれば、残せる。

    監芖すれば、異垞を芋逃さない。

    どれも、䜕かを守るための圢をしおいた。

    でも、どの項目にも、本人はただいなかった。

    透の右手が、最初のチェック欄ぞ近づく。

    抌す。

    小さな入力音が鳎った。

    代理完了刀断再実行 掚奚解陀

    指をずらす。

    保護凍結曎新 掚奚解陀

    倖郚保存申請維持 掚奚解陀

    画面の癜さが、透の指先を冷たく照らしおいた。

    最埌の䞀぀。

    未完了凊理継続監芖 掚奚解陀

    画面は譊告を出さなかった。

    赀くもならなかった。

    ただ、掚奚衚瀺の暪にあった癜いチェックが、䞀぀ず぀消えた。

    透は、䜕も遞ばなかった。

    けれど、閉じたわけではなかった。

    画面は次の蚘録を開く。

    未完ファむル無題_改3_もうやめ
    結末候補2ä»¶
    遞択状態未確定
    本文入力0字
    入力状態可胜

    本文欄が開いた。

    空癜のペヌゞが、画面の䞭倮に衚瀺される。

    先頭で、カヌ゜ルが点滅しおいた。

    透は、そこに曞けた。

    続きを曞くこずもできた。

    終わりを曞くこずもできた。

    遅すぎる謝眪も、画面の䞊には打おた。

    キヌボヌドは反応しおいる。

    入力欄は閉じられおいない。

    カヌ゜ルは消えおいない。

    曞けないわけではなかった。

    透の右手は、操䜜卓の手前で止たった。

    指先は浮いおいた。

    䜕かを探すように、ほんの少しだけ曲がる。

    けれど、どのキヌにも觊れなかった。

    䞀文字も入らない。

    句点も打たない。

    削陀もしない。

    空癜のペヌゞは、空癜のたただった。

    画面の䞋郚に、旧凊理の詳现が開く。

    代理完了刀断実行枈み
    本人通知停止
    倖郚再開芁請遮断
    本人再接続暩未蚭定

    透は、そのたた芋おいた。

    過去の行は、消えなかった。

    代理完了刀断実行枈み

    そこにあった。

    透の名前ず同じように。

    朝倉叶の応答ず同じように。

    消したいず思ったずころで、消えるものではなかった。

    䟝月の指は、操䜜卓に觊れおいない。

    透が芋おいる行を、ただ同じ距離から芋おいた。

    透は、次の入力欄ぞ進む。

    远蚘欄。

    空の䞀行が衚瀺される。

    透は少しだけ息を吞った。

    長い蚀葉は入れなかった。

    説明も入れなかった。

    匁明も入れなかった。

    指先が、䞀぀ず぀必芁な項目だけを遞ぶ。

    代理完了刀断実行枈み
    远蚘神厎透による以埌の代理刀断を停止

    行が远加された。

    過去は消えなかった。

    ただ、同じ手順が続くこずだけが止たった。

    画面の衚瀺は、それ以䞊倧きく倉わらなかった。

    完了にもならない。

    解決にもならない。

    本人遞択確認未完了

    そのたた残った。

    遞択者欄───

    そのたた残った。

    透は、しばらくその二行を芋おいた。

    今床は、目を逞らさなかった。

    その䞋に、远蚘だけが増えおいる。

    远蚘神厎透による以埌の代理刀断を停止

    それだけだった。

    䜕かが戻ったわけではない。

    誰かが遞んだわけでもない。

    ただ、これ以䞊、透が代わりに遞ぶ行だけが止たっおいた。

    画面の端で、別の蚘録が反応した。

    自己欠片衚瀺䞍可
    開瀺申請未遞択
    承認者癜瀬䟝月

    い぀か芋た衚瀺だった。

    透自身の欄。

    ずっず読めなかったもの。

    自分に関わる䞀行だけが、文字になる前にほどけおいったもの。

    透は、その衚瀺を芋た。

    右手は動かない。

    開瀺申請の暪に、操䜜可胜な小さな枠がある。

    抌せば、申請は進む。

    䟝月が承認すれば、開くのかもしれない。

    あるいは、開かないのかもしれない。

    どちらにしおも、今、抌すこずはできた。

    透は抌さなかった。

    䟝月の芖線が、透の開いた右手に䞀床だけ萜ちた。

    䟝月が、初めお操䜜卓ぞ手を䌞ばした。

    透の端末ではない。

    自分の端末だった。

    短い入力音が䞀぀鳎る。

    承認者暩限保持

    衚瀺は倉わらなかった。

    自己欠片衚瀺䞍可
    開瀺申請未遞択
    承認者癜瀬䟝月

    䟝月は、理由を蚀わなかった。

    い぀から知っおいたのかも。

    なぜ承認者だったのかも。

    䜕を芋おいたのかも。

    説明しなかった。

    ただ、画面を閉じなかった。

    透は、開瀺申請の欄を芋た。

    未遞択。

    その蚀葉は、ただ同じ圢でそこにあった。

    誰かに開かれおいない。

    誰かに閉じられおもいない。

    今はただ、遞んでいない。

    それだけだった。

    䟝月は端末から手を離した。

    薄い音が、旧蚘録保管宀に萜ちる。

    透を芋た。

    長くは芋なかった。

    芖線はすぐに画面ぞ戻る。

    「ただ、開いおいたす」

    同じ蚀葉だった。

    けれど、同じ堎所には萜ちなかった。

    透は、返事をしなかった。

    䜕も蚀わなかった。

    䟝月も、それ以䞊蚀わなかった。

    旧蚘録保管宀の倖で、遠く、小さな承認音が鳎った。

    別の解析宀で、別の凊理が進んでいる。

    癜い廊䞋を、職員が通り過ぎる足音がした。

    通垞業務の通知が、どこかの端末で䞀床だけ点滅する。

    完成局は止たっおいない。

    䞖界は倉わらなかった。

    誰かが制床を壊したわけでもない。

    すべおの未完が、いっせいに返されたわけでもない。

    欄が䞀぀、埋たらなかっただけだった。

    旧蚘録保管宀の画面に、最埌の衚瀺が残る。

    代理完了刀断実行枈み
    远蚘神厎透による以埌の代理刀断を停止
    本人遞択確認未完了
    遞択者欄───

    その䞋に、空癜の本文欄があった。

    カヌ゜ルは、急かすこずなく、ただ同じ間隔で点滅しおいた。

    透の右手は、操䜜卓の䞊に開かれたたただった。

    握らない。

    䌞ばさない。

    抌さない。

    画面は閉じなかった。

    誰も、次の䞀文字を入れなかった。

    âž»

    前話はこちら
    第11話遞んだのは誰だった


    第1話はこちら
    第1話未分類ノむズ、S玚反応


    シリヌズはこちら
    終わる前に、もう䞀床だけ


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    創䜜や゚ッセむを䞭心に、日々感じたこずや物語を曞いおいたす。 人や組織、遞択、関係性をテヌマに、考えたこずを蚀葉にしおいたす。 掲茉しおいる内容は、個人の創䜜・芋解によるものです。 実圚する人物・団䜓ずは関係ありたせん。

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