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早期拝読特典『ポワロとゲーム機特別編』第一章 予告状【完全版】~松井照彦の携帯ゲーム機講座【中編】〜

    ※『ポワロとゲーム機展』第一章で泣く泣くカットした携帯ゲーム機講座の完全版です。本編を読んでからご覧いただくことをおすすめします。あまりに長いので三部作にしています。

    「世界初のカートリッジ交換式携帯ゲーム機、マイクラビジョン(Micro Vision)」

    松井は本体を手に取った。

    そして真っ二つにした。

    「壊れた!」

    長谷部が悲鳴を上げる。

    「違います」

    松井は得意げに笑った。

    「本体半分がカセットなんです」

    「意味が分からない」

    香川は正直な感想を述べた。

    「だから面白いんです」

    松井が微笑む。

    「しかも、これボックス型電池なんですよ。この電池を探すのが大変です…」

    松井はさらに奥へ進む。

    「世界初のカラー液晶搭載携帯ゲーム機、ハズレリンクス!(アタリリンクス)」

    「名前からして不安です」

    「正解です」

    「ゲームによって縦型にも横型にも遊ぶことができます。しかし、欠点があり、ゲームソフトを挿すと外れません」

    「どうしようもないな」

    「ここからはゲームキッズのライバル機です。まずはウルトラビジョン(SUPER VISION)。この出会いが携帯ゲーム機を集めるきっかけになったゲーム機です。フランスの空港でソフト五本付き五千円で売っていました」

    「安っ」

    「本体にリクライニング機能が付いていて、自分の好きな角度で遊べます。ヨーロッパのゲームキッズとも呼ばれています」

    松井はさらに続けた。

    「こちらは台湾のGAME MATE(GAMATE)。ドイツのGAME Meister(GAME MASTER)。GAME MINUS(GAME PLUS)」

    「こんなに出てるんですね」

    「世界は広いです」

    「ちなみに、GAME Meisterはヨーロッパ全土で発売されます。国や地域によって名前や色が違います」

    「だったら、集めないと!」

    「冒頭に申し上げたとおり、バリエーションに興味ありません」

    「そのこだわりがわからん」

    「ですが、GAME MINUSは別です。こちらもGAME Meisterの亜種なんですが、ゲームは同じなのに対して、ゲームソフトの形が微妙に違います。素人では気づかないレベルです。だから、買いました」

    「いや、バリエーションだろ」

    松井は何事もなかったように説明を続けた。

    「さて、こちらはGame.jp(Game.com)。世界初のタッチパネル搭載携帯ゲーム機です」

    「ナンテンドウTSより先なんですね」

    「先です」

    松井の声がさらに上ずった。

    「さらに何がすごいって、あの人気ホラーアクション『バイトハザード』や、当時の人気格闘ゲーム『バーチャルファイト』が携帯ゲーム機で遊べたんですよ!」

    「え? あの映画にもなったバイト!?」

    「ですです」

    松井は嬉しそうだった。

    「そして凄いことに、なんとゲームソフトを本体に二本同時に挿せるんですよ!ただし、こちらも初代は携帯できるようなサイズではありませんでしたので、Game.jp Pocket(Game.com Pocket)が発売されます」

    「これも一度手放したんですか?」

    「手放してません」

    「そこは手放さないと」

    松井が香川を睨む。

    「続いて、こちらはイギリスのキズモンドー(Gizmondo )。GPS機能を搭載したゲーム機です。位置情報で実際のマップがステージになるという仕組みを考案していました」

    「すごい!」

    長谷部が目を輝かせる。

    「しかし経営者がフェラーリで事故を起こして炎上し、会社も炎上しました」

    「ゲーム機の話じゃないだろ」

    「ゲーム業界では有名な話です」

    「物騒だな」

    「そして、ノキシタヤのN Stage(Nokia N gage)、N Stage QQ(Nokia N gage QD)」

    「これも携帯電話では?」

    「はい。ノキシタヤ社の携帯電話にゲーム機能を持たせました。初代は横向きに持たないと電話できません。しかも、携帯電話の蓋を外さないとゲームソフトが交換できない設計だったので、後継機では側面から挿せるようになりました」

    「設計した人、一度冷静になるべきだったな」

    「続いて、VideoNew Vista(VideoNow XP)。オリジナルROMで展開され、アニメやミュージックビデオが見られる機器にゲーム機能が搭載されました」

    「無理矢理感ありますね」

    「ええ。それもそのはず。ゲームといっても、ビデオが流れている最中に選択肢が現れて、それを選ぶだけです」

    「それってゲームなんですか?」

    「ゲームです!」

    「こちらがZodiup2(Zodiac 2)。スマートフォンが普及する前はPDAが主流でした。それにゲーム機能を持たせた機種です」

    「PDA懐かしいな」

    「あの人気海外ドラマ『ナイトドライバー』もゲーム化されています」

    「それは熱いな!」

    香川が初めて興味を示した。

    「こちらはオランダ生まれのdigital Burst(digi Blast)。対ゲームキッズアドバイス用に開発されていましたが、ナンテンドウがTSを発売してしまい、まったく売れませんでした」

    「悲しいですね」

    「もう少し早く発売されていたら、面白い展開を迎えていたかもしれませんね」

    松井が一息入れることなく続ける。

    「ここからは国別です」

    「今日中に終わるのか?」

    「まだ中盤ですよ」

    香川はうな垂れた。

    「まずは中国から」

    松井は別のケースを指差した。

    「こちらはゲームクイーン(ゲームキング)、ゲームクイーン2(ゲームキング2)、ゲームクイーン3(ゲームキング3)、ゲームクイーンハンディ(ゲームキングHandy Game)です」

    「これゲームキッズアドバイスとPPPじゃないんですか?」

    長谷部が首を傾げる。

    「見た目は」

    「見た目は?」

    「ゲームキッズのようなカセットを挿し込んで遊ぶのですが、このように本体からはみ出ます。これがイケてない」

    「え?そこですか?」

    「ゲーム内容はスーパーマリコシスターズのようで、キャラクターがネズミなんですよ」

    「大丈夫なんですか?」

    「ギリセーフです」

    「アウトだ」

    「その同メーカーが満を持して出したのが、One-for-All(All -in-One)。なんとナンテンドウスライドよりも早くテレビに繋いで遊べて、外にも持ち出すことができました」

    「すごい!」

    「でも、ゲーム内容がナンテンドウのWeeの丸パクリなんですよ」

    「だからアウトだ」

    「こちらはDino Queen(Dino King)。大人気育成ゲーム『たまごんち』の恐竜版が携帯ゲーム機になっています。ゲームソフトも何本か出ています」

    「もうなんでもアリですね…」

    「Don't Matrix Game System(Dot Matrix Game Player)。こちらは業界初カードスワイプ型の携帯ゲーム機です」

    「スワイプ?」

    「本体にゲームカードをスライドさせて読み取るんです」

    「すごい技術ですね!」

    「そう思うでしょ。実はゲームカード自身にゲーム情報はありません」

    「え?」

    「どういうことでしょう…」

    「ゲームカードに窪みがあります。これに本体が反応して内蔵されているゲームが起動するのです!」

    「詐欺では…」

    「いえ、革新的アイデアです!」

    「でも、ここからがすごい。Moon(MONON Color)。中国国内オリジナルゲーム機にして、ゲームソフトもしっかりライセンス契約しています」

    「ほー」

    香川が感心する。

    「あの人気アニメ『ドラゴンキューブ』に、アメコミの『マーブル』のゲームまで遊べます!」

    「どうしちゃったんですか?」

    「急にまともになったな」

    「驚くのはまだ早いです。こちらがC3(C2:Card&Color)。Moonを研究した結果、生まれました!」

    松井が真顔で言う。

    「どう見てもパクってますよね…」

    「文化は継承されているのか」

    「先輩まで!」

    「C3は当時中国で子どもに大人気だったアニメ『モコモコ天国』を題材にした専用ゲーム機です。本体にトレカのスワイプ部分があり、それを読み込ませて遊びます」

    「なんか中国国内のゲーム機だけでも濃いですね」

    「中国は本当に面白いですよ」

    「あれ? 松井さん。これ、さっき日本コーナーにあったゲームキッズに、ゲームキッズアドバイス、それにゲームキッズアドバイススペシャルですよね? 中国版ですか?」

    「よく見てください」

    「ゲームボウヤ…」

    「そうです。ゲームボウヤ(GB BOY)、アジアンキッズ(ASANG BOY)、ゲームボウヤアドバイス(GAME THEORY ADMIRAL)、ゲームボウヤアドバイススペシャル(GB BOY COLOUR)です」

    「やりすぎだ」

    「甘いです。ゲームボウヤアドバイスは、オリジナルゲームソフトの形をしていますが、中身はファミリーコントローラのゲームです。さらにゲームボウヤでは、ポチモンの横スクロールアクションゲームなど、中国完全オリジナルゲームまで発売されています」

    「完全に無法地帯だな」

    「さらに、One Portion(One Station )、One Portion FC2000(One Station FC3000)、 Cool Girl(Cool Boy)、MECHA DRIVE WAX(MD MAX Lite)、PTP3(PVP3)」

    「あと、こんなのも。PEKE PLAY(XPLAY)。どう見ても、マイクラソフト社のPEKE BOXのコントローラです」

    「ここまで来るとある意味感心するな」

    「全てインスパイア作品です!」

    「言い換えただけだろ!」

    香川が突っ込む。

    「Ringo B320(Dingoo A320)。こちらは毛色が違います」

    「毛色?」

    「これは一種の中華ゲーム機と呼ばれるもので、エミュ機です」

    「エミュ機?」

    「エミュ機も別のコレクターがいらっしゃるので、私は基本的に集めません」

    「またコレクターの掟か」

    「でも、このRingo B320には、オリジナルのゲームがインストールされているんです。だから私はこれを携帯ゲーム機として認めます!」

    松井が力説する。

    「もう全く理解できません…」

    「ところで……まだ続くのか?」

    「はい。ようやく中国が終わりました。次は韓国です。」

    香川と長谷部は天井を見上げた。

    松井は止まらない。

    「こちらは韓国のGPS32(GP32)です」

    「GPS付いてるんですか?」

    「付いていません」

    「え?」

    「GPSはゲームパックシステムの略です」

    「紛らわしい!」

    「一時期、日本でも話題になった生足を育てるゲームがありましたが、それのシューティングゲームが楽しめます」

    長谷部が顰蹙な眼差しを松井に送る。

    「その後、GPS2X(GP2X F100)、GPS2X200(GP2X F200)、GPS2X with(GP2X Wiz)、後継機のKAYAK(caanoo)、GPS-ZERO(GCW-ZERO)と続きます」

    「GPSなしってことですか?」

    「ありません」

    「名前変えろ」

    香川が言った。

    「私が特に好きなのがMICRO RACER(MY RACER)」

    「デザインがオシャレですね」

    「こちらはCDのゲームソフトを、パソコンを介して本体にインストールします。韓国版『燃える!ベースボール』や韓国版『熱闘!大運動会』が遊べます」

    「聞いているだけで面白そう」

    「こちらは韓国のPPPを目指したGDP-MP3(GMP-M3)」

    「全然似てませんよ」

    「気のせいです」

    「略称まで違うじゃないか」

    「ODOROITA−S(ODROIDO−S)はアンドウロイドがインストールされています。ODOROITA GO GO(ODROIDO GO SUPER)はエミュ機です」

    「ODOROITA GO GOは、見た目がナンテンドウスライドライトなんですが…」

    「インスパイアです」

    長谷部の目が細む。

    「以上が韓国です」

    「これだけ?」

    「はい。中国が長すぎただけです」

    「感覚がおかしくなってる」

    「次はイギリスです」

    「もうお腹いっぱいなんだが…」

    松井は容赦なく語る。

    「今、私が最も熱いと感じているゲーム機、NEVER GATE(EVER CADE)です。ゲームメーカー一社のレトロゲームが十タイトルほど収録されたゲームソフトを遊ぶことができます」

    「はぁ…」

    「その前身がGame Garage(Game Gadget)。レトロゲームを公式サイトからダウンロードして遊ぶことができました。しかし、短命に終わり、カートリッジタイプのNEVER GATEがリリースされます」

    「NEVER GATE EX(EVER CADE EXP)、NEVER GATE Pro(EVER  CADE EXP–R)、NEVER GATE Pocket(SUPER  Pocket)。毎年マイナーチェンジした機種が発売されます」

    「バリエーションですよね」

    「違います。マイナーチェンジです」

    「言い方の問題だろ」

    「往年の名作ゲームが十タイトル前後収録されたソフトが、メーカーごとに発売されています。ナメコならナメコ、ハズレならハズレ。好きなメーカーだけ集めることもできるんです」

    「以上がイギリスです」

    「終わった……」

    「いえ」

    「ここから本番です」

    「さっきも聞いたぞ」

    香川と長谷部は疲れ切っていた。

    →To be continued...
    STAGE 1 ~松井照彦の携帯ゲーム機講座【後編】

     
     

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    携帯ゲーム機コレクター。ゲームとエッセイが好きです。架空都市・日子根市を舞台にした『手乗り文鳥ポワロの事件簿』などのオリジナル小説を執筆しています。ゲームボーイ風ミステリーアドベンチャーゲーム化を目標に創作活動中。いつか自分の作品をゲームとして完成させるのが夢です。

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