メインコンテンツへスキップ
見出し画像

手乗り文鳥ポワロの事件簿③『ポワロと皿屋敷』【エピローグ 五枚目】

    「新開発白紙!商店街存続決定や!」

    鳥栖江の声が会議室に響いた。

    拍手喝采。

    銀座商店街理事会は歓喜に包まれていた。

    「お化け屋敷効果で来街者数は前年比三百二十パーセント増!」

    「空き店舗への出店希望も来ています!」

    「市も商店街活性化事業への支援を検討しているそうです!」

    鳥栖江は満足そうに頷いた。

    「言うたやろ」

    誰も反論しなかった。

    結果だけ見れば大成功だった。

    もちろん三件の殺人事件は悲劇だった。

    だが事件解決後も、お化け屋敷は日子根の新たな観光資源として語り継がれることになる。

    特に人気となったのは、お菊だった。

    「会長!」

    「なんや!」

    「お菊ちゃんグッズが完売しました!」

    「なんやて!?」

    銀座商店街の公式キャラクター。

    お菊ちゃん。

    皿を持った可愛らしい女の子のイラストは子どもたちにも大人気だった。

    さらに。

    「会長!」

    「なんや!」

    「井原さんのお店の皿が売り切れです!」

    「なんでや!」

    「ひび割れた皿風デザインが人気らしいです!」

    「意味分からん!」

    さらにさらに。

    「会長!」

    「なんや!」

    「レストラン・フライヤーに行列ができています!」

    「それもなんでや!」

    「お菊皿大(サラダ)がSNS映えでバズっているようです!」

    「意味分からん!」

    鳥栖江は天を仰いだ。

    「お菊さんありがとう!」

    誰もツッコまなかった。

    *

    数か月後。

    銀座商店街。

    休日の昼下がり。

    香川と長谷部は見回りを兼ねて歩いていた。

    ポワロも一緒だった。

    「結局、商店街は元気になりましたね」

    長谷部が言う。

    「ああ」

    香川は頷く。

    「複雑だけどな」

    「でも、金虎商事は再開発中止で不満らしいですよ」

    「そうか」

    香川はどこか引っ掛かるものを感じていた。

    その時だった。

    ポワロが何かを見つけた。

    「ピヨッ!」

    バサバサバサ!

    突然飛び立つ。

    「あっ!」

    ポワロは一直線に器屋へ向かった。

    店頭には新商品の皿が並んでいる。

    そして。

    ゴン!

    見事に一枚の皿へ激突した。

    ガシャン!

    皿が砕け散った。

    店主が飛び出してくる。

    「あーーーっ!」

    香川は頭を抱えた。

    長谷部は真顔だった。

    「五枚目……」

    香川は空を見上げた。

    「お菊さん、やっと成仏できるな」

    ポワロは何事もなかったように香川の肩へ戻る。

    「ピヨッ」

    香川は大きくため息をついた。

    「お前が一番の問題児だな」

    振り返ると、井原が鬼の形相で睨みつけていた。

    「ちょっと刑事さん!お代は頂戴しますかね!」

    「げっ、井原さん」

    銀座商店街には今日も賑やかな笑い声が響いていた。

    →To be continued...
    BONUS あとがき

    ━━━━━━━━━━━━━━
    手乗り文鳥ポワロの事件簿
    シリーズはマガジンにまとめています。
    過去作・最新話はこちらからどうぞ。

     
     

    TEHRU

     
     
    携帯ゲーム機コレクター。ゲームとエッセイが好きです。架空都市・日子根市を舞台にした『手乗り文鳥ポワロの事件簿』などのオリジナル小説を執筆しています。ゲームボーイ風ミステリーアドベンチャーゲーム化を目標に創作活動中。いつか自分の作品をゲームとして完成させるのが夢です。

    あなたへのおすすめ