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手乗り文鳥ポワロの事件簿③『ポワロず皿屋敷』【第䞉章 䞉枚目】

    平野綟子の死によっお、捜査本郚の芋方はさらに固たり぀぀あった。

    戞田貎之。

    平野綟子。

    二人の遺䜓の傍らには、いずれも皿が眮かれおいた。

    捜査本郚では井原秀暹の名前が䜕床も挙がっおいた。

    「反察掟。噚屋。アリバむなし」

    長谷郚がホワむトボヌドを指差す。

    「これだけ揃えば十分でしょう」

    銙川はコヌヒヌを飲んだ。

    「状況だけ芋ればな」

    翌日。

    井原は再び事情聎取を受けおいた。
    二件目の事件に぀いおも、自宅にいたず䞻匵しおいた。しかし、蚌人はいない。
    井原はしばらく黙っおいた。

    やがお芳念したように口を開く。

    「刑事さん。本圓のこずを話したす」

    「䞀件目の日も、二件目の日も  私は自宅にはいたせんでした」

    井原は真っ赀だった。

    「ホテルです」

    長谷郚が固たった。

    「ホテル」

    「クラブ浜蟺のママずです  」

    「  ママず」

    「劻には内緒にしおください」

    その瞬間、捜査本郚の空気が劙な方向ぞ凍り付いた。

    井原は行き぀けのクラブのママず䞍倫をしおいたのだ。
    銙川は深いため息を぀いた。

    アリバむ成立。

    井原は容疑者から倖れた。

    ポワロが銙川の肩で鳎いた。

    「ピヌ  」

    呆れおいるように聞こえた。

    捜査は振り出しに戻った。

    その頃。

    銀座商店街は、か぀おない熱狂に包たれおいた。

    『銀座商店街のお化け屋敷には、本物のお菊が出る』

    その噂は瞬く間に党囜ぞ拡散された。

    その䞭心で。

    名波矎玲は今日もお菊を挔じおいた。

    いや――。

    その頃にはもう、挔じおいるのかどうかさえ分からなくなっおいた。

    営業終了埌。

    最埌の客を芋送り、スタッフたちも垰路に぀く。

    「お疲れ様でした」

    「お先です」

    スタッフたちが次々ず挚拶をする。

    「はい。今日は私が斜錠圓番だから、埌片付けはやっおおくね」

    名波はそう答えた。

    スタッフたちの姿が芋えなくなるず、名波は堎内の照明を䞀぀ず぀消しおいった。

    静寂が戻ったお化け屋敷。

    お菊の井戞の前で、名波は癜装束のたた営業で䜿った皿を片付けおいた。

    「名波さん」

    埌ろから声がした。

    「久保くん」

    「今日も凄かったです」

    「ありがずう」

    久保は少し照れながら笑う。

    「やっぱり名波さんがお菊圹で正解でした」

    「そう思う」

    「はい」

    迷いのない返事だった。

    「やっぱりオヌディションの結果は間違いでしたね」

    矎玲は苊笑する。

    「ありがずう」

    久保は続ける。

    「名波さんは別栌でした」

    矎玲は䜕も答えなかった。

    しばらく沈黙が流れる。

    しかし久保の様子がおかしい。

    䜕か蚀いたそうだった。

    「どうしたの」

    「実は  」

    久保は呚囲を芋回した。

    「誰にも蚀っおないんですけど」

    矎玲の胞がざわ぀く。

    「䜕を」

    「戞田さんが亡くなった倜です」

    矎玲の衚情が固たる。

    「名波さんが  」

    久保は蚀葉を遞んだ。

    「戞田さんず䞀緒にいるずころを芋たした」

    

    名波は䞀人、お菊の井戞の前に立っおいた。

    昌過ぎに届いたSNSのメッセヌゞにはこう曞かれおいた。

    『お菊圹に぀いお再床盞談したいこずがある』

    『営業終了埌、井戞の前で埅っおいおくれ』

    差出人は戞田貎之。

    今さら䜕の話だろう。

    もしかするず――。

    胞が高鳎る。

    しばらく埅っおいるず戞田が珟れた。

    「埅たせたな」

    「いいえ」

    「なぜ平野が遞ばれたか知りたいか」

    戞田はスマホの画面を名波に向けた。

    そこには戞田に抱き寄せられた平野の姿が映っおいた。

    平野は戞田の胞に顔を埋めおいる。

    名波の衚情が凍った。

    「君の方が挔技は䞊だった」

    「だったらなぜ」

    戞田は笑った。

    「芞胜界は挔技だけじゃない」

    嫌な予感がした。

    「平野は身䜓を売った」

    「嘘です」

    「本圓だよ」

    戞田はゆっくり近付いおきた。

    「でも今からでも遅くない」

    「䜕蚀っおるんですか」

    「芞胜界で女優になるのが倢なんだろ」

    戞田は名波の肩に手を眮いた。

    名波は振り払う。

    「やめおください」

    「最初はみんなそう蚀うんだ」

    「最䜎です」

    激しい口論になった。

    そしお。

    名波は思い切り戞田を突き飛ばした。

    戞田は埌ろによろめく。

    足元には小道具の石。

    䜓勢を厩した戞田は、そのたた井戞の瞁ぞ頭を匷打した。

    鈍い音が響く。

    「痛っ  」

    戞田は厩れ萜ちた。

    「戞田さん」

    返事がない。

    頭郚から血が流れ出しおいた。

    救急車。

    譊察。

    芞胜界。

    将来。

    様々な蚀葉が頭の䞭を駆け巡る。

    その時だった。

    名波の芖線が、お菊の井戞の暪に眮かれた皿ぞ向く。

    皿屋敷。

    お菊。

    幜霊の仕業にすれば――。

    名波は震える手で皿を䞀枚手に取った。

    そしお戞田の傍らぞそっず眮いた。

    

    「事故だったんですよね」

    矎玲は答えない。

    「戞田さんは事故だった」

    久保の衚情が少し緩む。

    「やっぱり」

    しかし。

    次の蚀葉が続かなかった。

    名波の肩が震えおいた。

    「でも  」

    久保が顔を䞊げる。

    「でも」

    名波は消え入りそうな声で蚀った。

    「平野さんは違うの  」

    「  ひ、平野さん」

    久保の顔色が倉わった。

    「え  」

    「ど どうしお平野さんの名前が出るんですか」

    名波は俯いた。

    「私ね  」

    久保は黙っお耳を傟ける。

    「知りたい」

    

    お化け屋敷の資材眮き堎。

    壁際には予備の皿や小道具が積み䞊げられおいた。

    名波はそこに平野を呌び出しおいた。

    「戞田さんず付き合っおいたの」

    平野の衚情が固たる。

    「関係ないでしょ」

    「私には関係ある」

    「あなたに䜕が分かるのよ」

    口論は次第に激しくなった。

    「戞田さんが亡くなった日、あなた、最埌に䌚っおいたんでしょ」

    平野が蚀う。

    名波の呌吞が乱れる。

    「䜕を蚀っおるの」

    「戞田さんのスマホを芋たの」

    平野は真っ盎ぐ芋぀める。

    「譊察に話した方がいいず思う」 

    その瞬間だった。

    名波の䞭で、最埌の理性が切れた。

    芖界の端に皿が映る。

    䌞びる手。

    平野が埌ずさる。

    ガゎッ

    也いた音。

    平野は厩れ萜ちた。

    

    久保は蚀葉を倱っおいた。

    「そんな  」

    名波は涙を流しおいた。

    「ごめんなさい  」

    「名波さん  」

    「私  」

    久保は銖を振る。

    「倧䞈倫です」

    「え」

    「僕は蚀いたせん」

    名波が顔を䞊げる。

    「譊察にも蚀いたせん」

    「  」

    「誰にも蚀いたせん」

    久保は真っ盎ぐだった。

    「これは二人だけの秘密にしたす」

    「だっお名波さんは日本いや䞖界で掻躍する倧女優になる人だ」

    「僕はその姿を芋おみたい」

    久保は照れたように笑った。

    「嬉しい  ありがずう」

    久保は真っ盎ぐな目で蚀った。

    「名波さんはそんなこずする人じゃないです」

    その蚀葉が胞に突き刺さった。

    事故だった。

    最初は。

    だが、今は違う。

    平野綟子の顔が脳裏をよぎる。

    皿。

    血。

    もう埌戻りはできない。

    「久保くん」

    「はい」

    矎玲は小さく埮笑んだ。

    「私はね」

    「はい」

    「あなたのこず、嫌いじゃなかった」

    久保は照れたように笑った。

    「ありがずうございたす」

    「むしろ奜きだった」

    「えッ」

    久保の顔が赀らむ。

    耳たで真っ赀だった。

    たるで子どもみたいだず、矎玲は思った。

    「そ、それっお  」

    矎玲は優しく埮笑む。

    「バカな子  」

    久保は銖を傟げた。

    次の瞬間だった。

    ガゎッ

    鈍い音が倜のお化け屋敷に響く。

    久保は䜕が起きたのか理解できなかった。

    そのたた厩れ萜ちる。

    矎玲は立ち尜くしおいた。

    癜装束の袖から、䞀枚の皿が滑り萜ちた。

    そしお動かなくなった久保。

    「どうしお知っおしたったの  」

    その声は、誰にも届かなかった。

    名波は震える手で、井戞の暪に残されおいた皿を䞀枚手に取った。

    翌朝。

    お菊の井戞の傍らには、䞉枚目の皿が眮かれおいた。

    →To be continued

    STAGE 4 四枚目

     
     

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    携垯ゲヌム機コレクタヌ。ゲヌムず゚ッセむが奜きです。架空郜垂・日子根垂を舞台にした『手乗り文鳥ポワロの事件簿』などのオリゞナル小説を執筆しおいたす。ゲヌムボヌむ颚ミステリヌアドベンチャヌゲヌム化を目暙に創䜜掻動䞭。い぀か自分の䜜品をゲヌムずしお完成させるのが倢です。

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