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22.日ざしは避けるほどいいのか

    日ざしは、避けるほどいいのか ― お日さまとビタミンDの話

    前回は、光る水を若返りの薬だと信じて飲んでしまった、こわい歴史の話でした。最後に「次は“光”つながりで、もっと身近な話を」と予告しましたね。今日は、その“身近な光”——お日さまの話です。

    前回の“光る水”は、まがいものでした。でも今日の“光”は、本物。しかも、タダ。……ただし、こちらも「浴びればいい」というものでもありません。浴びすぎても、避けすぎても、うまくいかない。例によって、断定はせず、事実ベースで。最後は、いつもの「だから、整える」に着地します。

    日ざしを避けすぎると、足りなくなるもの

    近ごろは、「紫外線は美容の敵」と、日ざしをとにかく避ける風潮があります。日焼け止め、日傘、長袖。——気持ちは、とてもよく分かります。

    でも、じつは日ざしには、避けすぎると足りなくなる、大事な“おまけ”があるんです。それが、ビタミンD。

    ビタミンDは、食べ物からもとれますが、それだけではなく、日光(紫外線)を浴びると、私たちの皮膚の中で作られる——という、ちょっと変わった栄養素です。ビタミン、と名はついていますが、体の中ではホルモンのように働きます。魚やきのこにも含まれますが、多くの日本人にとって、その必要量のかなりの部分を、昔から“お日さま”がまかなってきました。

    ところが今、日本では、このビタミンDが足りていない人が、けっこう多いと指摘されています。とくに、乳幼児、妊婦さん、若い女性、外に出る機会の少ない高齢の方など。……皮肉なことに、「美容のために」と日ざしを避けるほど、この“おまけ”は減ってしまうわけです。

    ビタミンDは、何をしているのか

    では、そのビタミンD、体の中で何をしているのか。

    いちばん知られているのは、骨の仕事です。ビタミンDは、食べたカルシウムを腸から吸収するのを助けます。これが足りないと、せっかくカルシウムをとっても、うまく骨にならない。昔、子どもの「くる病」(骨がうまく育たない病気)が知られたのも、このビタミンD不足が背景にありました。

    そしてもう一つ、近ごろ注目されているのが、免疫とのつながりです。じつは、体を守る免疫の細胞たちには、ビタミンDを受け取る“受け皿”が備わっていて、ビタミンDは、その免疫の働きを整える方向に関わっている——ということが、少しずつ分かってきました。「不足していると、感染症にかかりやすかったり、免疫のバランスが乱れやすかったりする」という指摘もあります。

    ——ここは、少していねいに書きます。「じゃあ、サプリでビタミンDをたくさんとれば、風邪を防げる・免疫が上がるのか」というと、そこは、研究でも結果がまちまちで、まだ“確実にそうだ”とは言い切れません。効果が見えやすいのは、どうやら「もともと不足していた人が、足りない分を補ったとき」のよう。足りないのを補うのと、足りているのに増やすのは、別の話なんですね。ここでも、やっぱり“ちょうどよく”。多ければ多いほどいい、ではないのです。

    じゃあ、どれくらい浴びればいいのか

    うれしいことに、そんなにたくさんは要りません。

    日本の研究機関(国立環境研究所ほか)が、面白い推計を出しています。顔と両手の甲くらいを出して、1日に必要なビタミンDを皮膚で作るのに要する日光浴の時間は——夏(7月)の晴れた日の昼なら、ほんの数分ほど。それだけで足りてしまう、というのです。

    ただし、これが冬になると、話が変わります。太陽の力が弱く、日照時間も短い冬は、同じ量を作るのに、ずっと長い時間が必要になる。しかも、北へ行くほど、それが延びます。同じ12月の晴れた昼でも、南の那覇なら10分足らず、茨城のつくばで20分あまり、北海道の札幌では1時間以上——それくらいの差が出る、と推計されています。

    つまり、夏はほんの少しで十分だけれど、冬の北国では、意識して浴びるか、食べ物で補うのが安心。同じ「日本」でも、季節と場所で、必要な時間はこんなに違うわけです。

    でも、“浴びすぎ”は、やっぱりよくない

    ……とはいえ。ここで「じゃあ、たくさん浴びよう」と振り切ると、今度は逆の落とし穴にはまります。

    紫外線は、浴びすぎれば、シミ・しわ・肌の老化(いわゆる光老化)の、大きな原因になります。前回の“若返り”とは逆向きですが、これもまた事実。さらに、日焼け(やけど)や、目への負担、長い目で見た皮膚への影響も知られています。さきほどの研究も、「必要な時間の2〜3倍を浴びると、今度は肌に害が出はじめる」と、きちんと注意をしています。

    だから、目指すのは、“こんがり”ではなく、“ちょっと”。長く焼くのではなく、短い時間を、こまめに。真夏の炎天下で何十分も、ではなく、朝や夕方の、やわらかい光で十分なんです。……これ、水の回で書いた「がぶ飲みではなく、こまめに一口」と、まったく同じ発想ですね。

    私の場合

    私は、特別な「日光浴」というものは、していません。

    ただ、朝、少しだけ外の光を浴びる。天気のいい日は、体を動かすのを、光の入る場所で。——それくらいの、ゆるい付き合いです。あとは、夜がだいたい魚中心の食事なので、食べ物からも、自然といくらか入っているはず。魚やきのこは、数少ない“ビタミンDの入り口”ですから。

    日傘も日焼け止めも、否定はしません。強い日ざしの日には、私も帽子をかぶります。要は、ゼロか百かにしない、ということ。避けすぎず、浴びすぎず。そのあいだの、ちょうどいいところを、自分の暮らしと肌に合わせて探す。それだけです。

    だから、整える

    前回の“光る水”は、飛びついた人のあごを溶かしました。今日の“お日さま”は、逆に、避けすぎると、静かに何かが足りなくなる。……光というのは、つくづく、量しだいなんですね。

    派手な若返りの薬より、タダのお日さまと、皿の上の魚。地味だけれど、こちらは本物です。浴びればいい、でも避けたほうがいい、でもない。自分の季節と、自分の肌に、ちょうどよく。

    数字でも、流行でもなく、ちょうどよく。お日さまとも、そう付き合う。

    だから、整える。

    次回は、また少し“世界の裏側”へ。今日のお日さまとは正反対に——「体に悪いもの」を、さも科学的であるかのように、長いあいだ「むしろ安全だ」と信じ込ませてきた、ある産業の話を、やわらかく。ラジウムの回と同じ、“科学の顔をした”物語です。

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    ※無理はしないでください(これだけは)

    • スキンタイプ(肌の色・焼けやすさ)、年齢、地域、季節によって、必要な日光浴の時間には大きな個人差があります。ここに書いたのは、あくまで一般的な目安です。

    • 皮膚がんや皮膚の病気を経験された方、光線過敏のある方、治療中の方は、自己判断で日光浴を増やさず、必ず主治医の指示を優先してください。

    • ビタミンDのサプリメントは、とりすぎると、かえって害(高カルシウム血症など)が出ることもあります。補う場合は、目安量を守り、心配なときは専門家に相談を。

    • 妊娠中・授乳中の方、乳幼児、高齢の方は、とくに個人差の大きい領域です。


    参考

     
     
    がんばるのを、やめませんか。 暮らしと気持ちを整える=整活。整えば、体はあとからついてくる。 合言葉は「痩せるより、整える。」 小さな習慣をひとつずつ、やさしく届けます。 気軽にフォローしてくれると嬉しいです。

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