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3/3「100年後の未来を最強AIのFableで予想してみた」後編 病気で死なない未来



    2026年7月7日の朝、私はAIに「100年後を予想してくれ」と頼んだ。前編で100年前を振り返り、中編で今日を記録した。いよいよ、答えを聞く。

    その前に、白状しておきたいことがある。

    いま、未来の話は暗い。人口は減る、年金は保たない、AIに仕事を奪われる。ニュースも飲み会も、未来については だいたいこの調子である。正直、私も小さな会社の代表として、暗い予測を前提に物事を考える癖がついていた。

    だが、AIと100年分の答え合わせをしたいま、私の結論は逆になった。先に言い切ってしまう。

    未来は、たぶん、あなたが思っているよりずっと良くなる。そしてその根拠は、希望ではなく、データである。


    まず、加速という事実

    前編で見たとおり、人類はこの100年で寿命をほぼ倍にした。だが本当に大事なのは「良くなった」ことではない。「良くなる速度が、上がり続けている」ことである。

    電話が5,000万人に届くまで、75年かかった。ラジオは38年。テレビは13年。インターネットは4年。そして、いまのAIは——約2ヶ月で1億人に届いた。史上最速である(数え方に幅はあるが、桁が違うことは動かない)。

    人間ひとりの遺伝情報をぜんぶ読むのに、2003年は約5,000万ドルかかった。いまは数百ドル。20年で、およそ10万分の1である。

    そして寿命。世界の最長寿国の平均寿命は、1840年からずっと、10年に約2.5年——1年に3ヶ月ずつ、ほぼ直線で伸び続けている。約200年、止まったことがない。

    つまり、こういうことだ。「これまでと同じ100年」は、もう来ない。次の100年には、それ以上のことが起きる。

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    「未来の天井」は、通過点にすぎない

    ここで、世界中の予測の「天井」を見ておく。もっとも大胆な論者たちは、2045年ごろに人が死ななくなり、機械の知能が人間を超える、と主張してきた(あくまで主張であり、当たるかは分からない)。予測サイトの集合知は、人間並みのAIの到来を2020年代後半から2029年ごろと見ている(定義によっては2033〜2047年まで幅がある)。

    並べてみて、私は少し鳥肌が立った。人類の想像力が積み上げた「一番遠い未来」ですら、2126年の80年以上も手前なのである。

    しかも前編で確認したとおり、未来予想はいつも「控えめに」外れてきた。1901年の報知新聞は携帯電話を当てたが、それがポケットの中の相談相手になるとまでは書けなかった。電話の部品として生まれたトランジスタが世界そのものになることも、誰も書けなかった。

    だから、ここから先は思い切って描く。2126年7月7日の七夕が、いまよりどう良くなっているか。10個の予想である。


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    2126年の七夕は、こんなに明るい——10の予想

    1.病気で死ぬことが、珍しくなっている。 遺伝情報の解読費用は20年で10万分の1になり、AIはすでにタンパク質を設計してノーベル化学賞を取り、一度は「新規性なし」と却下されたmRNA技術がパンデミックから無数の命を救った。この線が100年続いた世界では、死因の一覧から、病名がひとつずつ消えていく。100年前の私たちが結核や天然痘に抱いた恐怖を、2126年の子どもは教科書でしか知らない——がんについても、たぶん同じことが起きている。

    2.老いが、「止められる不調」になっている。 寿命は200年間、年3ヶ月ずつ伸び続けてきた。いま、老いた細胞を若返らせる研究が動物実験で寿命を大きく延ばし、ヒトの安全性試験が始まっている。2126年、120歳が現役でいることは、2026年の「80歳の現役」くらいの驚きに落ち着いているかもしれない。人生の設計図から「老後」という章が消え、代わりに「二回目の40代」という章が増える。

    3.会いたい人との距離が、ゼロになっている。 考えるだけで機械に伝わる装置は、すでに世界21人の頭の中で試験が進む。翻訳AIは言葉の壁をほぼ崩した。3軒に1軒が一人暮らしのこの国で、「ひとりで暮らすこと」と「ひとりぼっちであること」が、完全に別の言葉になる。会いたい人に、距離と言語を理由に会えない——という悲しみが、まず消える。

    4.生まれた家で人生が決まる度合いが、下がっている。 2026年、生成AIに触れた日本人は4人に1人。ここには、人類史上はじめて「最高水準の家庭教師・医師・弁護士・参謀が、全員のポケットに入った」という意味がある。才能と学歴と家計の壁が、知の入口から順に崩れていく。2126年の子どもの可能性は、生まれた瞬間の条件に、いまよりずっと縛られていない。

    5.働くのは、「やりたいから」になっている。 研究者2,778名への調査では、人間の全労働が自動化される確率が五分五分になるのは2116年。2126年はその先である。食うための労働が消えたあと、人は働かなくなるか。私はそうは思わない。今日のこの原稿がそうであるように、人は頼まれなくても、何かを作り、誰かの役に立ちたがる。変わるのは一つだけ。「何がしたいか」が、人生でいちばん重要な問いになる。

    6.貧しさの土台が、崩れている。 2022年、人類は核融合の「点火」に成功した。投入2.05に対して出力3.15メガジュール。発電所への道はまだ遠いが、方向は見えた。エネルギーと知能——文明の二大コスト——が安くなり続ける世界では、水も、食料も、涼しさも、教育も安くなる。豊かさの総量が増えるだけではない。「貧しさが再生産される仕組み」の根っこが、細くなっていく。

    7.縮む国が、「豊かな縮み方」を発明している。 日本の人口は2120年に約5,000万人と推計される。半分以下だ。暗い話に聞こえるだろうか。私はここに、日本のいちばん面白い仕事があると思っている。人口が減っても一人ひとりが豊かであり続ける社会の設計——組織のたたみ方、町の再編、仕組みの作り直し——を、世界のどこよりも先に完成させた国は、その設計図そのものを世界に輸出できる。2126年、「縮み方」は日本の得意技になっている。

    8.AIが、隣人になっている。 AIが納税し、権利を持ち、契約の主体になる——その制度を、まだどの国も法律にはしていない。欧州で「AIに電子的な人格を」という提案が生まれ、専門家の反対で見送られた。そんな行きつ戻りつが続く、まっさらに近い領域である。まっさらに近いということは、これから私たちが書けるということだ。2126年の総会で、人間とAIがどう票を分け合っているのか。それを決める議論は、たぶんあなたが生きているうちに始まる。歴史の設計会議に間に合う世代など、めったにない。

    9.名前のない楽しみが、まだ山ほど残っている。 1926年の人は、映画館は知っていたが、ゲームも、ネットも、推し活も知らなかった。100年の楽しみの半分以上は、当時まだ名前がなかったのである。2126年も同じだ。いまの私たちが名前を知らない娯楽と仕事と生き方が、向こうで山ほど待っている。これは、未来に行く側の特権である。

    10.それでも七夕は、続いている。 1,300年、担い手を替えながら生き残ってきた行事が、この100年で消えるとは思えない。変わるのは願いの中身である。「病気が治りますように」「長生きできますように」——かつての切実な願いの多くは、叶ってしまって短冊から消える。残るのは、会いたい、無事でいて、そして「もっと面白いことがしたい」。願いが軽くなるのは、時代が良くなった何よりの証拠である。笹の前の列に機械が並んでいても、私はもう驚かない。

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    影の話も、一度だけ

    公平のために書く。課題は本物である。気温は2100年時点でプラス1.4度から4.4度の幅があり、進み方しだいで暮らしの地図は変わる。新しい技術の恩恵が、先に届く人と後回しの人を生むことも、歴史のたびに起きてきた。

    ただ、思い出してほしい。過去100年も、人類は二度の大戦と公害と飢えを抱えながら、それでも寿命を倍にした。課題があることと、未来が暗いことは、別の話なのである。

    「加速が止まったら?」という問いもあるだろう。あり得る。だが仮に今日の水準で技術が止まっても、いま手元にあるものの応用だけで、暮らしはまだ何十年も良くなり続ける。それくらい、直近100年の貯金は大きい。


    結論

    3話かけて、100年前と、今日と、100年後を見てきた。結論を言い切って、この連載を締める。

    人類は過去100年で、圧倒的に良くなった。変化は加速している。だから未来は、もっと良くなる。

    悲観は、気分としては分かる。だが、事実に反する。

    夕飯は、ちらし寿司にした。それから、35年ぶりの七夕ゼリーである。給食のより少し高級なやつを、40歳を過ぎた男がひとつだけ買った。スプーンを入れながら、2126年の七夕ゼリーの進化形を想像して、少し悔しくなった。あれはたぶん、うまい。

    さて、あなたに最後の質問である。2126年に行けるとしたら、あなたは何を楽しみたいだろうか。短冊に書くつもりで、ひとつ挙げてみてほしい。それが出てきたなら、あなたの中の未来は、もう暗くない。

    前編・中編・後編と、100年の旅に最後まで付き合ってくださって、本当にありがとうございました。

    あなたの、そしてあなたの子や孫の次の100年に、良い予想外がたくさん訪れますように。


    出典(本文の記述順)

    1. 普及速度(電話75年・ラジオ38年・テレビ13年・ネット4年=5,000万人到達の引用値/ChatGPT約2ヶ月で1億人=史上最速):Visual Capitalist・世界経済フォーラム(2018)/UBS・Reuters(2023)※各項目の基準は不揃い=「桁の目安」として使用

    2. ヒトゲノム解読費用(2003年約5,000万ドル→現在数百ドル・約10万分の1):米国立ヒトゲノム研究所(NHGRI)(海外)

    3. 平均寿命の直線的伸長(1840年以降、10年で約2.5年):Oeppen & Vaupel, Science(2002)/日本の寿命(約42歳〔1920年代前半〕→81.09歳〔2023年〕):厚生労働省

    4. 「2045年ごろに不死・機械知能が人間を超える」:カーツワイル等の主張(思想・断定していない)/人間並みAIの到来予測(集合知の中心2020年代後半〜2029・定義により2033〜2047の幅):Metaculus・AI Impacts 2023(研究者2,778名)

    5. 報知新聞「二十世紀の予言」(1901年)・トランジスタ(1947年・電話網用の部品として発明):国内・報知新聞/ベル研究所公式史

    6. AIによる新規タンパク質設計(2024年ノーベル化学賞)・mRNA原型論文の却下(2005年・本人と大学の回顧)とノーベル医学賞(2023年):ノーベル財団等

    7. 老化研究(老齢マウスの残り寿命中央値+109%=2024年査読論文/ヒトは安全性試験段階・有効性未確立):PubMed掲載論文・ClinicalTrials.gov

    8. 脳とコンピュータの接続(試験参加21人と報道・2026年1月時点):企業公式発表・Reuters(海外)

    9. 単独世帯34.6%(2024年):厚生労働省 国民生活基礎調査

    10. 生成AI個人利用率26.7%=約4人に1人(2024年度):総務省 令和7年版 情報通信白書

    11. 完全労働自動化50%=2116年(中央値・ばらつき大):AI Impacts「2023 Expert Survey on Progress in AI」

    12. 核融合の点火(2022年12月・投入2.05MJ/出力3.15MJ):米ローレンス・リバモア国立研究所/DOE・PRL 2024

    13. 日本の人口(2056年1億人割れ・2120年中位4,973万人):国立社会保障・人口問題研究所「令和5年推計」・長期参考推計※2126年は外挿

    14. AIの法人格をめぐる議論:欧州議会が2017年にAI・ロボットへの「電子人格(electronic personhood)」付与を提案→AI研究者・法学者ら150名超の公開書簡による反対等で見送り(2018年)・各国で法制度化した例はまだない:欧州議会決議(2017)・Politico Europe等の報道

    15. 気候(2100年昇温1.4〜4.4°C):IPCC AR6 第1作業部会(2021)

    16. 七夕1,300年(担い手を替えて存続):近代日本の七夕祭に関する査読研究(J-STAGE 2024)等

    17. 七夕の行事食(ちらし寿司・七夕ゼリー):国内・一般的な解説(地域差あり)



     
     
    【仕事】 みずほ証券▶︎保険見直し本舗▶︎識学▶︎複数社の代表 ▶︎現在︙株式会社Sosai 代表 AI✖️組織構築・評価制度・採用(RPO)・事業統合(PMI) 金融マンから組織構築へ  【好きなもの】 ・お肉・宇宙兄弟・おーい龍馬・日本三国

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