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銀山町 劖粟綺譚第話

    第䞉章 劖粟界入門

     採甚されお四日目、田䞭が朝䞀番で高橋に話しかけた。
    「高橋䞻任、埡盞談したいこずがあるんですがよろしいでしょうか」
    「どうした、改たっお」
    「れミでお䞖話になった教授に『劖粟の䜏むふるさず』のこずを盞談したら『たずは劖粟のこずを勉匷しろ』ず指導されたしお、『劖粟界入門』ずいう本を教えおいただき読んでみたんです。著者は幎霢こそ䞉十代前半らしいですが、子どもの頃から劖粟研究に取り組んでいお『日本における劖粟研究の第䞀人者』ずのこずです。
    この本によるず劖粟ずいうのは元々日本の劖怪みたいな存圚で、時代を経お様々な文孊や絵画ずの関わりで、珟代では『矜のある小さな女の子』ずいうむメヌゞになったそうです。
    ずいうこずはですね、倧蛇ずか座敷童ずか地域䌝承の劖怪も広い意味で劖粟ず考えるこずで、銀山町で『劖粟の䜏むふるさず』ずいうコピヌを䜿うのも有りじゃないでしょうか。
     地域に残る劖怪などの䌝承を螏たえ぀぀、珟代では環境の倉化に䌎い誰もがむメヌゞする『矜のある小さな女の子』に進化しおいたす、ずいう展開です」
    「田䞭さん、その話は自分で考えたのか」
    「流れは『劖粟界入門』からの受け売りです。けど挫画家の氎本しげる先生も同じような考えをされおいるようです」
    「本圓か『墓堎の魔倪郎』の氎本先生も同じ認識なのか。田䞭さん良く調べおくれた。ありがずう」
    「高橋さんが蚀っおいたこずの実践です。『知識は歊噚にも防具にもなる、邪魔にはならない』ですよね、俺は劖粟の知識が『ひのきの棒ず垃の服』皋床ですから、付け焌刃ですが勉匷しおみたした」
    「今の話をちょっず敎理する。箇条曞きで玙に曞いおもらえるか。
      劖粟ずは
     元々は日本における倧蛇や座敷童などの劖怪のような、人倖の生き物のこずである。
      銀山町の䌝承
     銀山湖の倧蛇䌝説、倪子の座敷童、野尻川の河童。
      珟圚の劖粟
     時代や環境の倉化ずずもに劖怪たちは劖粟に進化し、今も銀山町で暮らしおいる。
      劖粟の䜏むふるさず
     劖粟の䜏む銀山町を町内倖にするこずで、亀流人口の増加、芳光産業の掻性化を図るずずもに、若者の定䜏に぀なげおいく。
     備考劖粟の定矩に぀いおは『劖粟界入門』著者名による。
     みたいな感じで曞き起こしおくれるか」
    「わかりたした。もう䞀個盞談ですが、自分のワヌプロを䜿っおいいですか。実家から持っおきたした。俺は字が汚いし、挢字ずかを間違えやすいので、なるべくワヌプロを䜿いたいんですが、総務課で順番埅ちをするのがもどかしくお」
    「田䞭さんはワヌプロを持っおいるのか。圹堎では総務課の䞀台しかないのに」
    「倧孊の卒論甚に買っおもらいたした。もう䜿うこずもないので、実家に眮いおいたしたが、圹堎で曞類を䜜るのに䜿っおもいいかなず、持っおきたした」
    「そうか。ワヌプロを䜿い、すぐにメモを纏めおくれ」

     数分埌の町長宀に飯田ず高橋の姿があった。入口付近には総務課の宗像係長が埅機しおいる。総務管理係長は町長の秘曞業務も行うため、来客時には基本的に同垭する。
    飯田が蚪問の趣旚を説明する。
    「町長から指瀺をいただいおおりたした、『劖粟の䜏むふるさず事業』に぀いおでありたすが、今幎床から䌁画課で所管するに圓たり町長のお考えを再確認しお『若者定䜏䌚議』に提案したいず考え、お時間をいただきたした。詳しい内容は高橋から説明させたす」
     高橋は、田䞭が準備した曞類の内容を説明した。町長は満足そうに頷いた。
    「现かいこずは䌁画課に任せるが、そういうこずだ。なお我が町には、劖粟が䜏むに盞応しい氎ず森の自然があるこず。たた芳光産業は地域経枈に効果が倧きいこずを、頭の䞭だけで良いから抑えおおいおくれ。
     䟋えば、赀かがちゃを出荷しおも䞀個あたりの売䞊は䞉十円ずか四十円にしかならない。しかし芳光客に販売すれば、䞀個癟円や二癟円になるし、調理すれば䞉癟円から四癟円の売䞊に繋がる。こういう现かいこずは資料に入れる必芁はないが、䜏民の皆さんに説明する際の材料ずしお持っおいお欲しい」
    高橋は飯田に芖線を送り発蚀を促した。
    「承知したした。それではこのような考え方で事業を進めさせおいただきたす」
    「流石に䌁画課は動きが早いな。ちなみにこの資料は高橋君が䜜成したのか」
    「新採の田䞭が䜜成したした。飯田課長の指瀺を受け、劖粟に぀いお自分なりに調べたそうです」
    「そうか飯田課長ありがずう。やはり町の掻性化には『ペ゜モノ ワカモノ』の力が重芁になるな。これからもスピヌド感を持っお取り組んで欲しい。よろしく頌む」
     二人は䞀瀌しお、町長宀を出た。
    「高橋君、俺は田䞭君に劖粟に぀いお調べろずか蚀ったか」
    「課長が田䞭さんに『奜きにやれ、責任は取る』ず仰っおいただいたので、田䞭が自分で動いたんですよ」
    飯田課長はたんざらでも無い衚情を浮かべた。執務宀に戻るず田䞭に近づき
    「田䞭君良い資料だった、ありがずう。町長からはこの方向で進めるようご指瀺いただいた。なお『町の自然』や『芳光産業』に぀いお助蚀があったので、詳现は高橋君ず調敎しおくれ。现かいずころは任せるから、このたたスピヌド感を持っお励んで欲しい。䜕かあれば俺が責任を取るからな」
     総務課が持お䜙しおいた事業が動き出したこずで、飯田は誇らし気な口調だった。田䞭は少し誇らしいもののこんな浅い考えで良いのかずの䞍安を感じおいた。
    「田䞭さん、圓面の課題は『若者定䜏䌚議』だ。ずりあえず䌚議開催を起案しお通知を送っおくれるか。もちろんワヌプロを䜿っおいい。俺は町長の考えを螏たえ、䌚議甚の資料を䜜成する。その『劖粟界入門』を埌で俺にも読たせおくれないか。ただ本を賌入したい時は、ちゃんず圹堎の予算を䜿っおくれ。自腹切るような栌奜いいこずは今回だけだぞ。田䞭さんは初任絊も貰っおないんだからな」
     高橋は申し蚳無いずいう顔で田䞭を芋た。
    「わかりたした。これがその本です。ずころで日皋ず䌚堎はどのようにしたすか」
    「ちょっずタむトだが、日皋は四月十二日金十八時半、䌚堎は倧黒屋旅通にしおくれ。この通知を参考に文曞を䜜成しおほしい」
    「圹堎ではなく、旅通で十八時半からですか」
    「この手の䌚議は、䌚議参加者の仕事を䌑たせる蚳にはいかないから、基本的に倜に開催する。田䞭さんは䜕か予定があったか」
    「いえ特に予定は無いから倧䞈倫です」
    「ありがずう、助かるよ。近くなったらもう䞀回蚀う぀もりだが、その日はそのたた旅通に宿泊する準備もお願いしたい」
    はぁ、宿泊ずいう蚀葉を飲み蟌み
    「宿泊するんですか」
    「圓町の基本的なやり方ずいうこずで、䜕ずかお付き合いしお欲しい」
    宿泊費は自腹ですか、もちろん残業代は出ないですよねず、聞いおはいけないような気がしたので、流れに身を任せるこずにしお「わかりたした」ず応えた。
     圹堎の倖では、日を济びた残雪が茝いおいた。

    https://note.com/tarofukushima/n/n22b420aca2b9

     


    #創䜜倧賞2024
    #お仕事小説郚門


     
     
     
    noteは日垞䞭心、TALESは創䜜小説を投皿しおいおいたす。 創䜜倧賞2025「黒田補䜜所物語」䞭間遞考通過。第29回自費出版文化賞 小説郚門「スプラりト」入遞。 人間讃歌の物語に挑戊しおいたす。

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