
【 100人に仕事を教える、派遣社員 ⑥ 】 ~誰がどう引き継ぐ⁉️~
【前回のお話はコチラ】
大阪から岡山に仕事を持ち帰り、ライン立ち上げに奮闘した派遣社員のお話です。
前回は、人手が足りない事で、岡山に移住してまで付き合ってくれた老夫婦のお話でした。
しかし、その技術をいつまでも頼るわけにはいません。
その仕事を誰が引き継ぐのか・・・。
工場長からの招待状
仕上げ工程で奮闘する、私の元へ、工場長から呼び出しがかかりました。
『何事かな🤔』
と思いながら向かうと、そこには、
工場長、チームリーダー、大阪から来てくれていた老夫婦が待っていました。
呼び出されたのは、正社員の男性(40代前半)と、パートの女性(40代後半)と、44歳の私です。
全員が揃った所で、工場長が話し始めました。
『”インクタンク工程”を長年支えて下さっていた、〇〇ご夫妻が、大阪に戻られることになりました。
その引き継ぎを、あなた達にやってもらいたい。
仕事を正確に教わって、そこで教わったことを手順書にして残したい。指一本の動きまで分かるように、手順書を作ってください。』
その瞬間、私の頭の中に浮かんだのは、
『えっ……そこまで?😱』
という言葉でした。
長年、職人として積み重ねてきた技術を、数ヶ月で覚えなければならない。
しかも、それを誰が見ても同じ作業ができるように文章化する。
これまでまったく関わった事がないインクタンク(インクを溜めておく部品)工程。
さらに詳しく聞くと、多くの機種や寸法違いの部品を扱っている工程でした。
『……この工場長は、きっと悪魔😈に違いない😭』
職人から受け継ぐ、技術
お父さんの受け持つ前半工程は、男性社員が引き継ぐことになりました。
パートさんと私は、お母さんから教わります。
普段はあまり喋らないお父さんが、男性社員に教える姿は、この仕事に対する誇りと、後継者へ技術を伝えようとする責任感が伝わってきました
そしてお母さんは、とりあえず私たちに『飴ちゃん』を渡し、『頑張りや😊』と言ってくれました🤭
その瞬間、少し緊張していた私たちの空気が、ふっと和らいだことを覚えています。
正解は1つじゃなかった
お母さんは、お父さんが持ってきてくれたインクの染み込んだものを、1個ずつ重さを測り微調整をして、複雑なカセットケースに組み込む仕事でした。
蓋を溶着(熱で部品同士を接合する作業)したり、仕上げをするのは2人の共同作業です。
ここからが、手順書作りの苦労した所なんですが…
カセットに組み込む時の、手の動かし方、やりやすさが、パートさんと私で違う‼️
でも、手順書には手の動きまで書かなくてはならない。
私はお母さんに相談しますが、お母さんは
『やりやすい方でやればええ😊』
としか言ってくれません😅
職人にとっては、
長年かけて身につけた『自然な動き』
だから、お母さんにとってはどちらも間違いではなかったのです。
でも、私たちが作ろうとしているのは、誰でも同じ品質で作れる手順書です。
ここで初めて、私は『教わったことを書く』のではなく、『誰かに伝わる形に変える難しさ』を知りました。
結局、私たちは何度も作業を繰り返しながら、誰が見ても分かりやすい方法を探していきました。
数ヶ月後、ほとんどの機種を覚え、手順書が次々に出来上がっていくと、少し気持ちに余裕ができてきました。
私たちを信頼して仕事を任せてくれた、悪魔のような工場長😈と(笑)、我が子のように可愛がって下さった、お父さんとお母さんに、感謝できるようになったのです🥹
私たちは、職人さんから大切な技術を受け継ぐことができました。
でも、工場の仕事は『良いものを作れる人』がいるだけでは回りません。
必要な部品を準備すること。
作る順番を考えること。
納期に間に合わせること。
次に私たちが向き合うことになったのは、技術を『安定して生産できる仕組み』に変えていく仕事でした。
そこで初めて、私は『作る仕事』の裏側にある、もう一つの大切な仕事を知ることになります。
『次回予告』
【100人に仕事を教える派遣社員⑦】
~作る前に、考える仕事があった~
お楽しみに🎶

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