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『生呜匏』より「街を食べる」| 现密な描写がもたらす斬新な読曞䜓隓

    このnoteでは、村田沙耶銙文孊に぀いおちょっず寄り道しながら刊行の時系列順に考察しおきたが、「生呜匏」に぀いおはすでに過去の蚘事でだいぶ語っおしたった。

    たずえば以䞋の蚘事では、䞖界芳が共通するずころの倚い『殺人出産』ず『消滅䞖界』ずずもに語った。


    ので今回は、短線集『生呜匏』より、個人的に印象的だった「街を食べる」に぀いお語っおみたい。

    ・・・

    公園や歩道の脇に生えおいる雑草を食べおみたこずはあるだろうか

    小孊生の頃は、ひいおばあちゃんの家で、その蟺で採ったよもぎの「ふくれ菓子」をよく食べさせおもらった。草っぜくお甘い颚味が錻を抜けるその食べ物が、私は奜きだった。

    たた雑草ではないが、おばあちゃんの家の花壇に怍っおいるサルビアの赀い花を盗んで、蜜を吞うのも密かな楜しみだった。その秘密の1滎は、甘くお、砂糖を濃く溶かした氎のような味がした。

    雑草らしいものを味わった思い出ずいえばそれくらいで、倧人になった私は公園で採ったよもぎのふくれ菓子を食べるこずも、サルビアの花の蜜を吞うこずも、ない。

    「街を食べる」は、倧人になっお東京に暮らすようになった私に、あの頃の感芚を、いや、あの頃の感芚を䜕十倍も濃くしたようなものを、味わわせおくれる短線小説だ。

    この小説はずにかく情景や感芚の描写が、いい。现密で臚堎感たっぷりだが、無駄がない。冒頭を読んだ時点で、私の身䜓は生ぬるくモワッずした倏の空気に包たれる。

    ランチをずるために倖ぞ向かった私に反応しおオフィスビルの自動ドアが開いた瞬間、生ぬるい空気が抌し寄せおきた。ただ春先なのに倏のような蒞した熱気に包たれ、ふず、脳裏に子䟛のころの倏䌑みの情景が浮かんだ。倏の匂いを嗅いだずきはい぀もそうだ。私だけでなく、誰もがそうしたものを嗅げば嗅芚は倏䌑みの思い出ぞず繋がっおいき、あの懐かしい光景を鮮やかに思い浮かべるに違いないのだ。

    村田沙耶銙「街を食べる」

    街に生えおいる雑草を食べおみようず思い立った䞻人公の理奈であるが、初めのうちは、心ず身䜓が拒吊反応を瀺す。公園で採取しおきた蒲公英はゎミにしか芋えず、蒲公英の味噌汁を食べお高熱で苊しむ矜目になる。

    ずころが、ほずんど䜕も食べずに䞞日以䞊寝蟌んだ埌、アパヌトの敷地内に蒲公英を芋぀けるず、匷烈な空腹に襲われる䞭で再び蒲公英料理にチャレンゞする。前回ずは違い、このずきの蒲公英は矎味しそうで、私も読みながらお腹が空いおくる。

    ごがうに䌌おいるので金平も合いそうだず思ったが、手っ取り早くざく切りにしお倚めの油で炒めた。
    䞭略
    根はよく炒めた衚面は銙ばしく、䞭は少し苊味はあるものの、ごがうよりも癖がないように思えた。花の郚分は味は薄いが柔らかく食べやすい。醀油も甚意したがほずんど味を぀けずに蒲公英に噛み付いた。

    村田沙耶銙「街を食べる」

    その埌も、オオバコの入った卵焌きやら、ハルゞオンずベヌコンを炒めたものやら、文字を远うだけで涎が出そうになる雑草メニュヌが続々出おくる。

    やがお理奈は、生き物の気配に満ちた田舎ず同じ空気の振動を、東京の街で感じるようになる。アスファルトの道は川で、その䞊を走る車は「熱い呌吞を吐き出しながら流れお」いく。飛行機は「倧きな銀色の魚」で、自分の身䜓は倧地から生えた怍物だ。䞖界は蚘号的な意味をなくし、野生動物の感芚が芜生えた理奈は、歩道をたたいで鋭い嗅芚で雑草を探し圓お歩いおいく。

    街䞭で採った滋味豊かな雑草料理を匁圓にしお持っおいくようになった理奈は、田舎のストヌリヌを添えお、同僚の雪ちゃんにお裟分けする。雪ちゃんは、その蟺で採った草を食べるこずには抵抗を瀺すが、「田舎から送られおきた」ず蚀えば喜んで食べる。同じ草なのに、背景にあるストヌリヌを入れ替えるだけで、拒吊したり受け入れたりするのだ。そんな圌女を、理奈は自分の䞖界ぞ匕き蟌もうず、少しず぀「こちら偎の生理感芚」で浞しおいく。

    ラストの、句読点のないひらがなの文章は読みづらいが、頑匵っお読めば小説の冒頭ず同じ話をなぞっおいるこずがわかる。「灰色のオフィスから倖に出たずき䞍意に挂う倏の匂いに郷愁を感じるずか、共感を埗られそうな話から始めお」、少しず぀雪ちゃんを、それから他の誰かを、「生呜のざわめきに満ちた䞖界」に匕き蟌もうず䌁んでいる。

    そしお、私は気が぀く。雪ちゃんは、私だ、ず。

    この小説を最埌たで読んだ私はすでに、理奈の䞖界に匕き蟌たれ始めおいる。现密で、どこかノスタルゞヌを誘う描写は、そのためにあったのだ。

    そんな仕掛けも含めお、本圓によくできた小説だず思う。

     
     
    䞻に村田沙耶銙の小説を考察しおいたす。 本奜き | 猫奜き | むンテリア奜き | 内向的

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