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う぀し身の春 執筆埌蚘

    う぀し身の春

     二組四人で玡ぐ、おずなのラブストヌリヌのようなお話 
    A Fleeting Spring in Another’s Skin:
    A story, something like a love story, woven by two couples

    珠野小埄

    【この「執筆埌蚘」には物語の栞心に觊れる内容が含たれおいるので、本線を読んでからお読みください】
    本線はこちらです。

    本線はこちらの目次からもたどれたす。


    「う぀し身の春」執筆埌蚘

                                  珠野小埄

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    ここたで「う぀し身の春 二組四人で玡ぐ、おずなのラブストヌリヌのようなお話」をお読みいただき、本圓にありがずうございたした。
     
    序章から終章、そしお補遺たで、長い物語にお付き合いいただけたこずを心より感謝いたしたす。
     
    この物語は、冒険物語です。冒険には、非日垞を感じさせる行き先、珟代日本の日垞から少しだけ離れた堎所が必芁でした。けれど、完党な異䞖界ではいけたせん。
    異囜なのにどこか懐かしい。神秘的なのに人々の暮らしが息づいおいる。
    そしお、そこに暮らす人々のたなざしがどこか優しい。
     
    この冒険物語の筆者、私にずっおバリ島は、そんな堎所でした。
     
    結婚したばかりの頃、劻ず二人でバリ島を蚪れたこずがありたす。
     
    海蟺の颚景や街䞊み、そこで暮らしおいる人々の笑顔。神秘を感じさせるように䜇む寺院、倜に響くガムランの音色やケチャの声。りブドに䞊ぶ露店ずそこでものを売る人々。そしお、日本からは芋えない星々が瞬く南半球の倜空。
     
    そうした蚘憶は、長い幎月を経た今でも心のどこかに残り続けおいたす。
    「う぀し身の春」を曞くにあたり、冒険物語の舞台ずしお真っ先に思い浮かんだのも、そんなバリ島でした。
     
    最初に正盎に申し䞊げるず、この物語は「宝島」を曞く぀もりで始たりたした。
     
    冒険ず、粋さず、旅の高揚感。

    子どもの頃にテレビで芋たアニメの「宝島」が、ずっず心のどこかに残っおいお、そういう匂いを物語に忍ばせたかったのです。
     
    結果は、ご芧の通りでした。狂蚀回しが冒頭で「お䞖蟞にも宝島ずは申せやせん」ず蚀っおいたすが、たったくその通りです。
    物語は、曞き手の意図ずはたるで別の堎所ぞ、勝手に走っおいきたした。
     
    では、どこぞ行ったのか。
     
    「もし本圓に、意識が別の身䜓に入ったずしたら——その意識は、その身䜓を自由にできるのだろうか」
     
    この問いが、出発点でした。
     
    この䜜品は、いわゆる「入れ替わり」の物語ずしお始たりたす。
     
    「ずりかえばや物語」から「君の名は。」たで、人は「入れ替わり」ずいう非日垞に惹かれたす。
     
    そしおそういう物語では倚くの堎合、意識が身䜓を乗り物のように扱いたす。身䜓に入った意識が、その身䜓を思い通りに動かす。
     
    しかし——本圓にそうなのでしょうか。
     
    私たちの日垞を振り返れば、意識より先に身䜓が動いおいる瞬間は、いくらでもありたす。
     
    気づいたら笑っおいた。
    気づいたら涙が出おいた。
    気づいたら、その人のこずを考えおいた。
     
    意識が呜什しお身䜓が動くのではなく、身䜓が先に䞖界を感じ取り、意識はあずからそれを「自分が感じた」ず受け取っおいる——そういうこずが、実はずおも倚い。
     
    この物語で描きたかったのは、その「逆転」でした。
     
    矩雄は矎咲の身䜓の䞭で、矎咲の感情に翻匄されたす。
    翔の身䜓に宿った柄子は、翔の本胜に戞惑いたす。
     
    二人は最初、「これは身䜓の感情であっお、自分の感情ではない」ず距離を眮こうずしたす。
     
    しかしやがお——その境界が、溶けおいきたす。
     
    身䜓が感じるこずず、自分が感じるこずの、どこに線を匕けるのか。
     
    この問いに、この物語は答えを出したせん。ただ、四人の登堎人物ずずもに、その問いの䞭を歩いおいきたす。
     
    物語を曞く際に最も苊心したのは、その「境界が溶ける」堎面でした。
    䞉章の終盀の倜のシヌン、
    四章のケチャずバリアンの堎面、
    六章の倜のプヌルの堎面——
    二぀の意識ず二぀の身䜓が枟然ずなっおいく瞬間を、蚀葉にするこずの難しさに、䜕床も立ち止たりたした。
     
    逆に、登堎人物たちが自分達の意思で勝手に動いたかのように、自然に曞けたのは、
    五章で描いた、登堎人物たちがただ旅を楜しんでいる堎面ず、
    䞃章、終章の垰囜埌の日垞を描いおいる堎面でした。
    哲孊的な問いから少し離れお、ただ人間ずしお生きおいる四人を自然に衚珟するこずができたした。
     
    曞いおいるうちに、䞍思議なこずが起きたした。
     
    矩雄も、柄子も、翔も、矎咲も——い぀のたにか、本圓にそこにいるような感芚になっおいたした。
     
    そしお時折、私の意図ずは関係なく、圌らが勝手に動き出したした。
    「この人がこんなこずを蚀うずは」ず驚く瞬間が、䜕床もありたした。

    それはもしかするず、物語を曞くずいう行為そのものが、すでに「考えるより先に、手が動いおいる」状態なのかもしれたせん。
     
    もし、人が別の身䜓で長い時間を過ごしたなら。
    もし、その身䜓の感芚や日垞に少しず぀なじんでいったなら。
    人はどこたで自分であり続けるのか。
    あるいは、自分ずは䜕によっお自分なのか。
     
    そんな問いが、この物語の出発点にありたした。
     
    そのため本䜜では、出来事そのものよりも、身䜓感芚や心の揺らぎ、人ずの関わり方の倉化を䞁寧に描こうず努めたした。
    読者の皆さたにも、矩雄や矎咲、柄子や翔が感じた戞惑いや喜び、切なさや安らぎを、少しでも共有しおいただけおいたなら幞いです。
     
    たた、本䜜は入れ替わりや、意識の倉容を描く物語であるず同時に、倫婊の物語でもありたす。
     
    長い幎月を共に歩んできた倫婊。
    これから人生を築いおいく若い倫婊。
     
    立堎も幎霢も異なる二組の倫婊を通じお、人を倧切に思うこずや、寄り添うこずの意味を描きたいず考えたした。
     
    この物語には、月がたびたび珟れたす。
     
    倏目挱石が「I love you」を「月が綺麗ですね」ず蚳したず蚀われるように、愛を盎接蚀わない衚珟ずしお、月を配眮したした。
     
    矩雄も柄子も翔も矎咲も、誰も「愛しおいる」ずは蚀いたせん。蚀葉にしおしたうず、䜕かが壊れる気がするから。
     
    でも——月は、そこにある。
     
    「蚀葉に出来ない」こずが、この物語では、最も倧切なこずだったかもしれたせん。

    最埌に。
     
    この物語を読んでくださった方の胞の奥に、小さなぬくもりのようなものが残っおいたなら、それ以䞊のこずはありたせん。

     あなたが今この瞬間、誰かの隣にいお、その人のこずを思うずき——その感情が、あなたの意識から来たのか、あなたの身䜓から来たのか、
    どちらでもいいず思っおいたす。
     
    どちらであっおも、それはあなたのものです。
     
    春は過ぎおいきたす。
    旅も、い぀か終わりたす。
    けれど、人ずの出䌚いや共に過ごした時間は、圢を倉えながら心の䞭に残り続けたす。
    どんな䜓に宿っおも、こころはこころ。それだけは疑いようがありたせん。
    この䞖で借りた䜓でも、感じたこずはたぎれもなく本物です。
    借りた䜓、珟し身(う぀しみ)を倧切にしお、これからも粟䞀杯生きおいこうず思っおいたす。

    「う぀し身の春」もたた、皆さたの心のどこかに小さな䜙韻を残せたなら、この物語を曞いた人間ずしおこれ以䞊の喜びはありたせん。

    物語は䞀床幕を閉じたすが、四人が悩み、歩み、溶け合ったあの春の気配が、読者の心のどこかに残り続けるこずを願っおいたす。
     
    ——ここたで物語を芋届けおくださったすべおの読者の皆さたに、あらためお感謝申し䞊げたす。
     
    本圓にありがずうございたした。
                                珠野小埄


    もしただ本線を読んでいない方は、以䞋の出発ゲヌトから、旅に出立しおください。

    たた、こちらの目次からも旅の入口ぞ戻れたす。
    䜜品玹介、予告、本線、執筆埌蚘、䜜品執筆ノヌト


    「䜜者の備忘録 å…Œ 業務連絡ずしおの執筆埌蚘」ずしおの
    「䜜品蚭蚈ノヌト」はこちら A4で20頁皋床の分量1.9䞇字
    創䜜的な芁玠はなく、ネタバレを倚く含んでいたす





     
     
    これたで培った思考力ず、創䜜で远いかけおきた情緒の陰圱── これら二぀を支えに、心に届く物語を探しおいきたす。 読んでくださる方の日垞に、䜙韻が残るような物語を届けられたらず思っおいたす。 たた、䜜品の裏偎や創䜜の小さな気づきも発信しおいきたす。

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