運動会の前に。「うちの子、かけっこもダンスも苦手かも」と思ったときに見てほしい話
免責:この記事は児童指導員としての現場経験に加え、公的機関の情報などを調べて整理したものです。診断や治療の代わりにはなりません。気になることがあれば、保健センターや小児科、発達相談などの専門機関にご相談ください。
放課後等デイサービスで児童指導員をしている、たいよう先生です🌞
秋は運動会のシーズン。練習が始まると、「うちの子、かけっこもダンスも苦手みたい」「みんなについていけていないかも」と気になる方も多いのではないでしょうか。今日は、運動会の前に知っておいてほしい「不器用さ」の話です。
先に結論
・運動が苦手な背景に、「動きのタイミングや力加減をそろえるのが難しい」という特性(発達性協調運動症=DCD)があることがある
・「やる気がない」「練習不足」ではなく、本人は一生懸命なのにうまくいかないことが多い
・運動会前にできるのは、練習を増やすことより「ステップを小さく」「成功しやすい道具で」「取り組んだ過程をほめる」こと
・運動だけでなく、日常生活や学習にも困りごとが広がっている、本人が自信をなくしている場合は、専門機関への相談を
運動会で目立ちやすい「苦手」のサイン
✓︎縄跳び(特に長縄)にタイミングよく入れない
✓︎ボールを投げる・捕るのが難しい、ドッジボールですぐ当たってしまう
✓︎よく転ぶ、バランスを取るのが苦手、動きがぎこちない
✓︎ダンスなど、タイミングを合わせた動きが苦手
また、運動だけでなく、字を書くのに時間がかかる、はさみや定規がうまく使えない、箸の食べこぼしが多い、ボタンや靴ひもに時間がかかる、といった手先の困りごとが一緒に見られることもあります。
「ただの不器用」「サボり」との見分け方
✓︎体育や図工が極端に苦手で、他の教科との差が大きい
✓︎練習しても上達が乏しく、同じ失敗を繰り返す
✓︎本人は一生懸命なのに、「やる気がない」と誤解されやすい
✓︎「自分はできない」と自信をなくし、運動や活動を避け始める
1つ2つ当てはまるだけで、すぐにDCDというわけではありません。診断は、専門機関での動作の評価と、生活場面での困りごとの聞き取りをもとに行われます。
なぜ「タイミング」や「力加減」が難しいのか
体を動かすときには、実はいくつもの力が連携しています。
✓︎自分の体が今どうなっているかを感じ取る力
✓︎目で見た情報をもとに体を動かす力
✓︎力の入れ加減を調整する力
✓︎複数の動きを同時に行う力
この連携が難しいと、「タイミングよく動く」「ちょうどよい力で投げる」といった動作が難しくなります。発達障害情報・支援センターによると、協調運動の問題はASD(自閉スペクトラム症)のある子の89%、ADHDのある子の55.2%で報告されています。海外の研究でも、ADHDのある子の3〜5割がDCDの基準を満たすとされています(ただし、日本での一次データは限られています)。
運動会に向けて、家庭でできること
✓︎ボールは、大きくて柔らかいものから(スポンジボールやバルーンなど)
✓︎縄跳びは短い縄で、「回す」と「跳ぶ」を分けて練習し、掛け声やカウントに合わせる
✓︎ダンスや競技は動きを小さく分けて、見本を見せる(動画や写真、手順カードも便利)
✓︎「できなかったこと」より「取り組んだ過程」を具体的にほめる(「最後までやったね」「ここのタイミングがよくなったね」)
✓︎担任の先生に事前に相談する(出番や種目の工夫、安全な位置取りなど、学校側の配慮例もあります)
相談を考えるタイミング
✓︎運動の苦手さが、身支度・学習(書字など)・遊びにも広がって困っている
✓︎本人が自信をなくし、運動や活動を避けるようになっている
こうしたときは、小児科や、市区町村の発達相談・子育て支援課などに相談してみてください。放課後等デイサービスの利用を考える場合は、相談支援事業所を通じて受給者証を申請するのが一般的な流れです。
さいごに
運動会は、順位や出来ばえだけが大切なわけではありません。「やってみた」「最後までやった」を認めてもらえた経験が、子どもの自信になります。小さな「できた!」を一緒に見つけてあげてください。
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