メインコンテンツへスキップ
見出し画像

僕の中の銀河|掌編小説(#シロクマ文芸部)

    「銀河売り、昔はたくさんいたんだ」

     透明な小瓶に入っているビー玉を見て、じいちゃんはぼそっと言った。

    「銀河売りって……何?」
    「このビー玉の中に銀河を詰めて売っていたんだよ。銀河の輝きには2つとして同じものがないから、みんな自分好みの銀河を集めていてなぁ」

     僕はじいちゃんの言っていることがイマイチ分からず、「ふーん」と曖昧な返事をした。それを察したのか、じいちゃんは「いやすまん。年寄りの戯言ざれごとだ」と頭を掻く。

    「今はいないの? その……銀河売りの人」
    「誰かが言い出したんだよ。『銀河は売り物じゃないし、こんなビー玉に閉じ込めるものでもない。広い宇宙で、自由であるべきだ』って」
    「へぇ」
    「それに、本当の銀河はみんなの中にあるもんさ」
    「僕の中にもある?」
    「もちろんだ。大事にしろよ」

     じいちゃんは僕の左胸をトントンと軽く叩いた。自分の中に銀河があるなんて、なんか誇らしくなる。

    「もしかして、じいちゃんは宇宙人なの?」
    「何を言ってる。お前もそうだよ。わっはっは!」

     やっぱりじいちゃんの言ってることはよく分からないけど、とりあえず僕も「わっはっは!」と笑った。

     それでいいような気がした。

    (了)


    小牧幸助さんの「シロクマ文芸部」、参加用です。


    こちらもどうぞ。

    この記事が参加している募集

     
     
     
    茨城県で製造業(かなり珍しいもの)に従事しています。 現代ドラマの掌編、短編小説をメインに投稿中。 たまにピアノで西村由紀江さんの曲を弾きます。 ソリスピア第6回超短編小説祭入選。 第1回文苑堂54字の物語コンテスト最優秀賞&特別賞。 第12回自作小説の一節コンテスト最優秀賞。

    あなたへのおすすめ