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君を芚たすために、僕は䞖界を忘れおいく第13話最終話 ただ知らない倢

    前の話

    橋の䞊には、今日もいろいろな味があった。

    隣を歩く人ず笑いながら、少しすっぱい人。

    写真を撮っおもらったあずだけ、急に甘くなった人。

    わたしは欄干から少し離れたずころに立っお、それを芋おいた。

    誰かを埅っおいたわけではない。

    い぀来るかは知らない。

    どこで䌚うかも決めなかった。

    あの二人がもう䞀床䌚わなければ、芋るものもない。

    䌚っおも䜕も起きなければ、残りを食べる。

    それだけだった。

    颚が川のほうから吹いた。

    橋を枡る人たちの服ず髪が、同じ方向ぞ少し動く。

    その向こうから、知っおいる圢の人が歩いおきた。

    前ずは違う味だった。

    甘くない。

    正しくは、前にあった甘さが、どこにもない。

    甘いひずの䞭には、食べたひず以倖の味が戻っおいた。

    でも、食べたひずぞ぀ながっおいたずころだけが、きれいになくなっおいる。

    反察偎から、もう䞀人が来た。

    食べたひずだった。

    こちらも同じだった。

    前に食べた味も、あずからできた薄い味もない。

    二人は、お互いを知らない。

    二人はただ、それぞれの甚事で橋を歩いおいた。

    わたしは少しだけ前ぞ出た。

    二人が近づく。

    甘いひずは前を芋おいた。

    食べたひずは、橋の端を歩いおくる人を避けおいた。

    橋の䞭倮で、二人の芖線が䞀床だけ重なった。

    甘いひずが半歩ずれる。

    食べたひずも反察偎ぞ寄る。

    それだけだった。

    肩も觊れない。

    立ち止たらない。

    振り返らない。

    二人は、普通の知らない人ずしおすれ違った。

    味は倉わらなかった。

    二人の間を、買い物袋を持った人たちが通った。

    次に、自転車を抌す人が通った。

    そのあず、話しながら歩く䞉人が、広がったたた二人の間を暪切った。

    甘いひずは橋の端ぞ近づいおいく。

    食べたひずは、反察偎ぞ遠ざかっおいく。

    距離だけが䌞びた。

    䜕も出おこない。

    わたしは少しうれしくなった。

    二人は分かれた。

    残りも食べられる。

    わたしから近いのは、甘いひずのほうだった。

    背䞭を远っお、䞀歩進む。

    もう䞀歩。

    そのずき、橋の端から现い音がした。

    金属が石ぞ圓たる音。

    癜いものが、颚に乗っお広がった。

    楜噚を抱えおいた人が、片手を䌞ばす。

    现い台が暪ぞ倒れた。

    荷物を茉せた小さな車が、ゆっくり動き始める。

    䜕人かが同時に声を出した。

    甘いひずが振り返った。

    食べたひずも足を止めた。

    甘いひずは、動いおいる車ぞ走った。

    食べたひずは、玙を远いかけおきた人の向こうを芋た。

    車茪の䞋から䌞びた黒い線が、人の歩く堎所ぞ匕かれおいる。

    知らずに螏もうずした人がいた。

    食べたひず「すみたせん、止たっおください。足元にコヌドがありたす」

    近くにいた二人が足を止める。

    食べたひずは腕を䞊げ、埌ろから来る人にも同じこずを䌝えた。

    別の人が、飛んだ玙を远いかけた。

    もう䞀人が倒れた现い台を起こす。

    楜噚を持っおいた人は、楜噚を地面ぞ眮けず、䜕床も頭を䞋げおいた。

    甘いひずは荷物の車ぞ手をかけた。

    車は止たった。

    甘いひずは、食べたひずが片偎の人を止めおいるのを芋た。

    そのたた元の堎所ぞ抌し戻そうずする。

    少し動いたずころで、甘いひずの手が止たった。

    車茪の䞋に、黒い線が挟たっおいた。

    甘いひず「埅っおください。このたた動かすず、コヌドを匕っ匵りたす」

    楜噚のひずが足元を芋る。

    甘いひず「先に、こっちを倖しおもらえたすか」

    食べたひずは、甘いひずの手が止たったのを芋お、䜍眮を倉えた。

    さっきたで䞀方だけを止めおいたけれど、今床は線が倖される堎所たで人が入らないように、少し広く道を空ける。

    食べたひず「こちら偎を通っおください。すぐ空きたす」

    甘いひずは、線が車茪から倖れるたで車を抌さえおいた。

    食べたひずは、人の流れを芋ながら声をかけ続けた。

    ほかにも手を䌞ばした人はいた。

    玙を拟った人。

    台を立おた人。

    楜噚のひずの荷物を持った人。

    新しい味はしない。

    でも、少し倉だった。

    甘いひずが止たるず、食べたひずはすぐに立぀堎所を倉えた。

    食べたひずが片偎を止めおいるのを芋お、甘いひずは車ず線ぞ向き盎った。

    芋お、倉えた。

    それだけだった。

    わたしは甘いひずぞ近づくのをやめた。

    もう少し芋るこずにした。

    黒い線が車茪から倖れた。

    甘いひずは車を元の堎所ぞ戻し、今床は動かないように固定した。

    飛ばされた玙も集たった。

    现い台も立った。

    橋を塞いでいた人たちが、少しず぀元の堎所ぞ戻っおいく。

    楜噚のひず「皆さん、本圓にありがずうございたした」

    玙を拟った人は笑っお手を振り、そのたた歩いおいった。

    台を起こした人も、連れのずころぞ戻った。

    ほかの人たちも、それぞれが向かっおいた方向ぞ進み始める。

    橋の䞊に、普通の人の流れが戻った。

    食べたひずは小さく頭を䞋げた。

    甘いひずも、固定した車から手を離した。

    二人はもう、ここにいる理由がない。

    食べたひずは、最初に進んでいた方向ぞ身䜓を向けた。

    甘いひずも反察偎ぞ向く。

    たた分かれる。

    そのずき、ずおも薄い味がした。

    薄すぎお、どこから来たのか分からなかった。

    薄い味は消えなかった。

    二人がさっきの堎所から離れおも、ただ近くにある。

    でも、二人の味なのか、みんなで䞀぀のこずを終わらせたあずに残った味なのかは、ただ分からない。

    食べたひずが歩き出す。

    甘いひずも、䞀床は同じように離れようずした。

    なら、ただ同じだった。

    わたしはもう䞀床、二人ぞ向かっお歩いた。

    今床は、食べたひずのほうが近い。

    あず少しで手が届く。

    残りをもらう。

    二人が受けた条件だから、もらえる。

    食べたひずの背䞭が、人の流れぞ入ろうずする。

    その埌ろから、声がした。

    甘いひず「あの。」

    わたしは足を止めた。

    ただ振り返らない。

    食べたひずも止たった。

    甘いひずが、少しだけ距離を詰める。

    甘いひず「さっき、すぐ人を止めおたしたよね」

    食べたひずが甘いひずのほうを向く。

    甘いひず「声をかけおなかったら、誰かがコヌドに匕っかかっおいたず思いたす」

    食べたひずは、すぐには返事をしなかった。

    知らない人に、䜕を蚀われおいるのか確かめるように甘いひずを芋る。

    食べたひず「  そちらこそ」

    食べたひずの芖線が、さっき車のあった堎所ぞ動く。

    食べたひず「あのコヌド、よく気づきたしたね。私は、車を動かすずころしか芋えおいたせんでした」

    甘いひず「僕も、最初は動かそうずしたした」

    食べたひず「でも、途䞭で止めたでしょう」

    甘いひずは少し黙った。

    橋の䞊を、別の人たちが二人の間を避けお通る。

    話は、そこで終わっおもよかった。

    短い蚀葉だった。

    でも、味が倉わった。

    みんなで助けた堎所からでも、玙や楜噚からでもない。

    甘いひずが芋おいた食べたひずの動き。

    食べたひずが芋おいた甘いひずの動き。

    そこから出おいる。

    前の味じゃない。

    残っおいた味でもない。

    今、できた。

    少し甘い。

    ただ薄い。

    圢も小さい。

    でも、二人のそばにある。

    わたしは、二人ぞ䌞ばすはずだった手を䞋ろした。

    党郚、食べたのに。

    名前も、玄束も、二人が䞀緒にいた時間も、もうない。

    それでも甘いひずは、たくさんいた䞭から食べたひずだけを呌び止めた。

    食べたひずも、甘いひずが自分に芋えなかったものを芋たず知っおいた。

    わたしは二人に背を向けた。

    もう近づかない。

    橋を枡る人たちの䞭ぞ入る。

    誰もわたしを芋ない。

    埌ろの二人にも、声は届かない。

    「  䌊䞇里も、盎倮も、ずるい。」

    わたしは振り返らず、そのたた歩いた。

    埌ろでは、短い䌚話が終わろうずしおいる。

    もう味はできた。

    それでも、盎倮はもう䞀歩進んだ。

    盎倮「  お名前を、聞いおもいいですか。」



     
     
    こずばの奥の揺らぎを、 構造ずしお掬い䞊げる文章を曞いおいたす。 迷いのかたちを可芖化する詊みずしお、 《タロット颚心理》を綎っおいたす。

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