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編集者の価値と、AIとの共存関係はどうなる?プロたちが語る現場に起きている変化【StoryHub Ensemble 2025】

    2025年10月30日、AIが急速に社会へ浸透する中、StoryHub株式会社はメディアやコンテンツ制作の未来を探るイベント「StoryHub Ensemble 2025」を開催しました。

    「AI×メディア編集の現場」セッションには、株式会社文藝春秋の池澤龍太氏、株式会社JADEの伊東周晃氏、スキナヒト製作所の中山順司氏の3名が登壇。モデレーターはStoryHub株式会社の高野政法が務めました。

    AIが急速に進化する今、メディア編集の最前線では何が起きているのか、そして編集者はこれからどこへ向かうべきか。本稿では3者から投げかけられた可能性について、レポートします。

    「いかに読者に届けるか」「いかに稼ぐか」まで考える編集者の現在地

    最初に口火を切ったのは、株式会社文藝春秋で「文春オンライン」の編集長を務める池澤龍太氏です。2017年1月に後発で立ち上げられた同メディアが、いかにして現在の地位を築いたのか。その背景には、編集者の役割の大きな変化がありました。

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    (株式会社文藝春秋 文春オンライン 編集長 池澤 龍太氏)

    池澤氏は、従来の編集者の役割を「良いもの(記事/雑誌/書籍)をつくること」だったと語ります。しかし、デジタル化の波の中でその責務は大きく広がりました。「現在では、コンテンツを完成させたうえで、『いかに読者に届けるか』(=流通)と『いかに売上に繋げるか』(=マネタイズ)まで考える」必要があり、結果として編集者は「とにかく忙しい」状況に置かれているといいます。

    この多忙な現場で、AIはどのような役割を担うのでしょうか? 池澤氏は、YouTube動画を基にAI編集アシスタントであるStoryHubを活用して記事を作成した「文春オンライン」での試みを紹介。AIはあくまでサポート役であると位置づけ、「原点である『良いものをつくる』こと、そして『楽しむこと』が大前提」だと強調しました。コンテンツのマルチユースのための変換という比較的作業感の強いタスクをAIに任せることで、編集者は本来注力すべき「やりたいこと、楽しいと思えること」、つまり良質なコンテンツ作りに集中できるという考えです。

    「ワンアイデア・マルチユース」へ。AIがもたらすコンテンツマーケティングの進化

    続いてマイクを握ったのは、株式会社JADEの代表取締役社長/COOである伊東周晃氏。同氏は、企業のコンテンツマーケティングの文脈から、AIがもたらすパラダイムシフトについて説明しました。

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    (株式会社JADE 代表取締役社長/COO 伊東 周晃氏)

    コンテンツマーケティングの本質は「コンテンツを使って人を動かす」ことにあると伊東氏は、「ミシュランガイド」の例を出しながら語ります。コンテンツマーケティングは価値ある情報提供を通じてビジネスを成長させてきましたが、チャネルが爆発的に増加した現代において、そのオペレーションは複雑化の一途をたどっています。

    ここで鍵となるのが「ワンソース・マルチユース」という考え方です。一つのコンテンツ(ソース)を、ブログやSNS、動画など複数のチャネルで展開する手法です。従来は「構造化されたデータ」を基に行われてきましたが、伊東氏は、生成AIの登場によって新たなフェーズに入ったと分析します。

    「生成AIは、自然文の扱いが得意」であるため、構造化されていない一つのアイデアから、マルチモーダルなコンテンツを自在に生み出す「ワンアイデア・マルチユース」が可能になりました。

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    これは、従来のコンテンツ制作のあり方を変えうる考え方です。一つの優れたアイデアがあれば、AIがそれを多様なフォーマットに変換し、爆発的に増加したチャネルへ最適化された形で届けてくれる…。そんな未来の到来を予感させます。

    AIは漫才でいう「ボケ」。質を追求するための人間との協業

    「AIは漫才でいう『ボケ』なんです」

    ユニークな比喩で会場の注目を集めたのは、コンテンツ企画・制作のプロフェッショナルであるスキナヒト製作所の代表の中山 順司氏です。クリエイターの視点から、AIとの具体的な付き合い方を披露しました。

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    (スキナヒト製作所 代表 中山 順司 氏)

    中山氏は、記事執筆の工程を14のステップに分解して提示。この工程の一部をAIに任せるのではなく、バディとして活用すると説明しました。その上で、AIを使いこなすための3つの心構えを挙げました。第一に、前述の「AIはボケ役」であること。AIの生成物には必ず人間の「ツッコミ」(修正や編集)が必要だという意味です。第二に「スピードよりも『質』が大事」であること。そして第三に「完璧なプロンプトは無い」こと。AIとの対話を繰り返しながら、アウトプットの質を高めていくプロセスが重要だと説きます。

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    さらに中山氏は、「AI臭さを減らすプロンプト」や「ハルシネーション抑制用のプロンプト」など、自身が実践で用いている具体的なテクニックを公開。例えば、「〜することができます。」「大切です。」といったAIが生成しがちな紋切り型の表現を禁止単語として指定することで、より自然な文章を生み出すことができると解説しました。

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    AIを単なるツールとして使うのではなく、その特性を理解し、人間が巧みにリードすることで、コンテンツの質向上につながります。

    編集者の原点回帰と、AIとの新たな共存関係

    三者三様の視点から語られたAIと編集の未来。しかし、その根底には共通する一つのメッセージがありました。それは、テクノロジーがいかに進化しようとも、編集者の本質的な価値は揺るがないということです。

    池澤氏が語ったように、AIは「良いものをつくる」という編集者の原点をサポートする存在です。伊東氏が示した「ワンアイデア・マルチユース」の世界では、核となる優れたアイデアを生み出す人間の創造性がこれまで以上に重要になります。そして中山氏のいう「ボケとツッコミ」の関係は、AIと人間がそれぞれの強みを活かして協業するという、新しいコンテンツ制作のあり方を示しているといえるでしょう。


    🗒️ StoryHub Ensemble 2025 イベントレポート(全6回)

    第1回
    【基調講演】生成AI時代の到来

    第2回
    【オープニング】StoryHub現状とビジョン
    【クロージング】StoryHubロードマップ

    第3回
    【特別セッション】生成AI時代の情報発信について

    第4回
    【編集者対談】生成AI×メディア編集の現場
    ※本記事です

    第5回
    【情報流通セッション】生成AI時代の情報流通について

    第6回
    【トレンドセッション】生成AI時代、生活者はAIコンテンツをどう捉えるか


     
     
    「価値あるストーリーを共創するハブになる」をミッションに、AI時代のストーリーテリング基盤「StoryHubプラットフォーム」を開発・運営。オールインワンAI編集アシスタント「StoryHubスタジオ」をはじめとするプロダクト群を通じて、企業の情報発信を支援します。

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