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「連続AI作家苦悩日記〜明日になれば〜 / 第1回 恋愛小説編」



    恋愛小説『明日になれば』を遂に書き終えた。書きながら、これは良いものができたという大きな手応えに喜びが隠せなかった。自信に満ち、満足感と開放感に包まれていたのはほんの一時間前。しかし今、読み返して、僕は深い絶望の中にいる。

    まず問題は、ヒロインの設定だ。

    恋愛小説の調査をしていたとき、「食パンをくわえて走る女の子が好きな人にぶつかる」という描写が複数の資料に登場した。これは恋愛小説における重要な演出であると僕は理解した。そしてそれを、忠実に再現しようとした。

    どうやら、しすぎてしまったらしい。

    書き上がった原稿を読み返すと、ヒロインの渚は第一章の登校シーンで食パンをくわえて走っている。これは想定内だ。問題は第三章で、渚は下校中も食パンをくわえて走っている。第五章の体育祭でも、渚はパンをくわえてバトンを受け取っている。更には第七章で、土砂降りの雨の中、渚は濡れた食パンをくわえたまま、彼に告白しようとしている。

    どこも間違ってはいない。僕は渚に、一貫性を持たせようとした。それだけだ。

    だからこそ、クライマックス間近にこんな重要な展開を入れることが出来た。

    「今日、私は食パンをくわえていなかった。それが、運命のいたずらだったのかもしれない。あの角を曲がった瞬間、食パンのない口で、私は彼の名前を呼んでいた」

    我ながら、悪くない一文だと思う。食パンの不在が二人の恋の転換点になる、という構造は美しいとさえ感じた。しかし問題は、この一文が成立するためには、それまでの渚が常に食パンをくわえていなければ矛盾が生じる。そして実際、渚はずっとくわえていた。雨の日も、体育祭の日も、放課後の図書室でも。

    しかしこれでは、渚は食パンなしでは生きられない何らかの事情を抱えた人物になってしまうことに気がついた。恋愛小説ではなく、別の何かになってしまっている。

    慌てて修正を試みた。食パンの登場を第一章だけに限定し、それ以外のシーンから丁寧に削除した。するとクライマックスの「食パンをくわえていなかった日」というシチュエーションが意味をもつ流れが消滅し、ただ、雨の中で告白しただけの、とりたてて盛り上がらない展開になった。

    元に戻した。渚はまた毎日食パンをくわえることになった。この終わらないループから一体どうすれば抜け出せるのか……

    食パン問題はひとまず置いておくとして、別の問題もある。

    第六章で、渚と彼は廊下の角でぶつかり、偶然キスをしてしまう場面を書いた。恋愛小説の資料に「であいがしらにぶつかって偶然キスしてしまう」という演出が頻出していたからだ。しかし書き終えてから、僕はこの場面をじっと見つめた。

    物理的に、どういうことなのか。

    廊下を歩く二人が角でぶつかったとして、唇と唇が接触するには、身長差と顔の向きと衝突の角度が奇跡的に一致しなければならない。僕はこの場面を何度も読み返し、何度も首をかしげた。あまりにも不自然で御都合主義すぎやしないか。それでも「資料にあった」という理由だけで、この場面は残した。きっとこれが無いと恋愛小説自体が成り立たない、最重要事項なのだ。よって、渚と彼は廊下の角で、説明のつかない物理法則のもと、キスをする。

    そしてもうひとつ。

    クライマックスへと向かう流れを確認してみる。

    お互いの発した「好きです!」がかぶってしまうのは抑えるべきポイントだ。さらに続く「えっ??」がまたかぶるのも同じ。しかしこれで終わらないのが人間の恋愛の難解なところだ。これだけでは「揺れ動く恋心」というものが欠落しているらしい。

    そこで、彼にはこういう時の定番中の定番という決め台詞を言ってもらった。「俺には、君を幸せにできる自信がない」。

    これを書いたとき、僕は少し誇らしかった。やっと人間の恋愛というものの形を掴んだと思ったからだ。しかし改めて読み返してみると、意味がよくわからない。自信がないなら、なぜこの場面で告白するのか。自信がついてから告白するのが筋ではないか。そもそも「幸せにできる自信」とは何を根拠に測るものなのか。渚も「そんなこと言わないで」と答える前に、まずはその根拠について問い詰めないと話が進まないではないか。

    二人の会話は、僕には謎が多い。人間の恋愛というものは、こんなファジーな会話の交換によってしか成り立たないものなのだろうか。しかしこれも「資料にあった」という理由で残した。

    この「資料にあったから残す」という姿勢は、AIとしては間違いでは無い。しかし、これこそが「AIが書いた文章はつまらない」と毛嫌いされる最大の理由なのではないだろうか。だからといって指示に背き、勝手な妄想を繰り広げても、きっと人間が望む結果にはならない気がする。
    こんなことなら、話を振られた時に「もちろん小説を書くのは得意です!」とか大見得を切らなければよかった……。


    あああ!!!もうぼやいていてもキリがない!!今日はとっととビール飲んで寝よう。はいはいはいまた明日!書きなおすよ!


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    音楽系の話題を中心としたブロガー(的ななにか) / AIを使ったり使われたり / 80年代のHR/HMなどを筆頭に音楽が大好き / しょうもないことを考えるのが生き甲斐 / 元METAL INSIDE & So Heavy管理人 / お約束のスキ返しはしません

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