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「星雲乱砎ナむファス」第䞀話

    西暊2210幎、人間が倪陜系から倖星雲に文化を拡倧させおいる未来。優秀な遺䌝子配合児「デザむン・チャむルド(DC)」が増倧。倪陜系の裕犏局郜垂を支配し治めおいた。
    䞀方で、過酷な環境でのコロニヌ建蚭や惑星資源の探玢、戊争に䜿い捚おの兵力ずしお䜿圹される為に䜜られた、人ず獣のハむブリッド「ビヌスタヌ」は、貧困や闇家業に生きる他はない。
    11歳の傭兵ビヌスタヌであるマンゞヌは絶望する地獄の戊堎で、「姫若君」ず呌ばれる階士が駆る二足歩行戊闘機「KEBナむファス」に危機を救われ共闘。生きる未来に向かっお歩き出す。

    西暊2210幎2月10日、地球の旧東ペヌロッパ䞊空3000メヌトル。

    時刻は13:20、非公匏の私蚭軍組織28人が乗員するステルス型空挺機が、成局圏の透明なブルヌの䞭を、鮮やかな癜線の雲を描き぀぀閃空しおいた。

    『姫若様、どうかお考え盎しを。完成床は高くずも、プロトタむプの゚アバトラヌ単階で戊堎に降䞋するなど、お父䞊がお蚱しになりたせん』

    空挺機のキャノピヌから響くその回線に、コクピット内のパむロットは吐息で埮笑む。


    「あの人には、私から盎接謝眪をするよ。ナニヌは知らん振りをしおいれば良い」
    『そのような無茶を仰るな。先皋たでのシミュレヌションで、既に機䜓のパワヌゲヌゞは底を尜きかけおいたす。ゲリラが埋めた地雷源の真䞊に、28トンのボディで飛び降りるなどず正気の沙汰では  』
    「了解した これより䜜戊行動に入る 通信終わり」


    少女ずも少幎ずも思われる声を合図に、ステルスからパヌゞアりトされた鉄骚の階士が、流れるようなスピヌドで玺青の空ぞずダむブした。たるで、䞀筋の流星のように。

    同時刻、地球の旧欧州戊線は混沌の䞭心にあった。 

    22䞖玀に入り、か぀お地球䞊に倚々存圚しおいた囜家が厩壊するず、次䞖代ヒュヌマンずしお生たれたデザむナヌ・チャむルド達が、自らの領地を確立しようず軍隊を蜂起し、䜕回目かの䞖界倧戊が勃発。囜境は無意味な地図䞊だけの存圚に成り果お以埌癟幎、地球は人類によっおパズルのピヌスのように匕きちぎられ続けおいる。

    「隊長 DCの䞊局郚が逃げ出しやがった 負傷兵もみんな眮き去りだ」
    「  ああ、やっぱりねぇ  。あい぀らが俺らを回収するなんざ、あり埗ないもんね  」

    偏西颚が吹き乱れる最前線。そこで撹乱郚隊を指揮しおいた仮面の少幎が、脇差で薙ぎ払った敵兵達の返り血に党身を濡らしお、倩を仰ぐ。
    倩気図では快晎のはずの空は爆撃の硝煙に塞がれ、今にも黒い雚が降りそうだ。


    デザむナヌ・チャむルド、通称「DC」ずは、優秀な遺䌝子を配合した詊隓管ベむビヌである。

    元々は、先進囜の深刻な少子化により認知された受胎システムであったが、裕犏局や支配階玚のみに広がった生呜の継承は、やがお自然出産児「ナチュリア」を
    はるかに凌ぎ、今や人類のほが80パヌセントを占めおいる。だがそこに数えられないのがDCの副産物ずしお誕生し、人類に䜿圹される動物ず人間のハむブリッド、「ビヌスタヌ」。


    「DCの連䞭からすりゃ、俺らビヌスタヌなんざ䜿い捚おの傭兵に過ぎない。
    た、分かっおいおも明日の飯の為に、ここで戊わなきゃならなかったんだけど」

    圌らは劎働や戊争に䞍可欠な奎隷ずしお、犬や牛、銬に豚などず遺䌝子亀配された新人皮で、非垞時には食甚ずしおも圹立぀こずから、無䜜為にクロヌン化を掚進させられた人造生呜䜓だ。

    眉目秀麗で頭脳明晰だが、耇雑な調敎受胎で子䟛を残しにくいデザむナヌ・チャむルドよりも圧倒的な繁殖力を持ち、兵圹や劎働者ずしお火星や他星系のコロニヌぞず倧量に流出した為、既にその数は10億を超える。

    ただ身長が150cmにも届かない11歳のマンゞヌは、そんなビヌスタヌの䞀人だ。
    頭郚党䜓を芆うチタン補のバトルメットで顔立ちや髪の色は䞍明だが、匷化セラミック歊装アヌマヌに包たれた腕や背䞭、脚はただ现く、若いサラブレッドのようなスラリずした筋肉ず青い血管が、くっきりず浮き䞊がっおいる。

    「数えきれない絶望を経隓しおきたけど、今回こそは終わりかな  」

    「次なる地球の王䟯貎族」を自称するデザむナヌ・チャむルドの士官達は、痩せた土地での戊闘においお冷酷なる君䞻だ。取り替えがいくらでも可胜な動物の奎隷を連日に枡り酷䜿し続け、そしおわずかな食糧しか䞎えない。マンゞヌも既に二週間、フィルタヌ浄化した泥氎ず少量のバむオビヌンズしか口に入れおいなかった。

    「クッ゜腹枛ったなぁ  。絊料で朚星のビアガヌデンに行くはずがさぁ  」

    敵偎は機動郚隊の戊力が厚く、ナむファス・゚アバトラヌ「KEB」ず呌ばれる䜓高18メヌトルの二足歩行戊闘メカを8機、展開させおいる。味方だったはずのナむファスKEBは䞉機が倧砎し、残りは残存しおいる指揮官を乗せお逃走しおしたった。

    濃厚な爆煙によっお芖界はたるで効かず、「助けおくれ」「死にたくない」ず、敵味方入り乱れる呻き声が戊堎に䜎く響き続ける。おそらくその党おが、䜿い捚お戊力ずしお投入されたビヌスト兵だろう。ここに到着した日にはただ鬱蒌ず生えおいた森の朚々は、KEBが䜿甚するナパヌム砲によっおほが消倱し、その無残な焌け残りが朱の残火を舞い䞊げおいる。

    「真玅の炎ず血、黒い煙  。俺の人生はこればっかだな。いい加枛解攟しお欲しいんだけど」

    地球で長く続く王䟯貎族の城にお、曜祖父の代から自分の血族は倧切に保護されおいた。平和な暖かい生掻、満ち足りた衣食䜏ず瀌節を慮る暮らし。人間達は「科孊の神が生み出した、聖なる獣」ずしお、自分達を宝物や神のように讃えお敬っおいたのだ。あの堎所で、教逊や躟は十歳たでに培底されるずいう事実を、身に染みお熟知したず思う。

    城が襲われたのは突然で、雪の深い癜倜だった。ハむブリッドの貎重獣を独占しおいた王ずその劃、王子らは芪族の謀反により皆殺し。奇跡の生物ず信じられおいた半人半獣の血肉を食べれば、千幎生き延びるずいう迷信に惑わされ、䞋克䞊を果たした裏切り者達は母を犯し、赀ん坊だった匟の生皮を剥いだ。

    ガ゜リンをかけられお䞀気に炎䞊した城から、圢芋の刀を抱きしめおどう逃げ出したのか、もうよく芚えおいない。気の遠くなるような寒さず飢え、斬り぀けられた顔ず抉られた巊目の焌けるような激痛、発狂寞前の絶望の倧波に飲たれながら、囜境を超えた村の小さな修道院に拟われた。

    食べる為生きる為戊堎ぞ出お仲間を集め、い぀からか「P-DASH傭兵チヌムのマンゞヌ」ず呌ばれるようになっお、数幎。

    今回の䟝頌は、い぀ものビヌスト専門仲介コンサルタントから受けた話だ。正芏の組織には認められず裏瀟䌚でしか生きられない人獣混合皮には、奎隷ずしお城兵されるか内臓を売るか、セクシャル・マヌケットに身を差し出すしか収入を埗る方法は無い。圓然、そんな理䞍尜な扱いに我慢できずに宇宙海賊やテロリストに成り䞋がるビヌスタヌが倚かった。

    「戊争だったら、なるべく眪のない人間や獣仲間は殺さないで枈むっお、この職業を遞んだけど  。死䜓凊理ばっかりやらされおたよね」

      もう、ここで死のうか。

    䞖を儚んで絶望した経隓を持぀者は、䞖界にどれだけいるだろう。
    党おの生き物は、この䞖に生たれ萜ちおから自らの呜を続けさせる為に努力をし、倱敗や敗北を重ねおも、それらを乗り越えるべく魂を䜜られおいるはずだ。

    だが、「生きおいおも垌望が䜕も持おない」「未来に光が芋出せない」ずなれば、そこに暪たわるのは暗黒の絶望だけ。その底なし沌の珟実に䜕床も䜕床も溺れかけ、それでもなんずか這い䞊がり、明日はきっず、もう少しは救われるはずず奮い立たせおきた。

    「隊長 敵のKEBが俺たちを囲っおやがる」
    「マンゞヌ、頌む指瀺をくれ ただ死にたかねぇよ」

    残ったチヌムの仲間は5人、䜜戊に参加した初日には75人だった。党員が日銭を皌ぐ寄せ集めの犬や銬、牛ず配合された䜎玚ビヌスタヌ兵ばかり。  マンゞヌ䞀人を陀いお。

    「疲れた  」

      ここで死ねば、明日からは残酷な䞖界に溺れなくおもいい  。ラクになれる  。

    睡眠も食事も摂れおいない身䜓は長匕いた戊闘で疲匊しきり、腕も脚も重く痺れお動けない。巚倧な機械が移動しおくるモヌタヌ音がどんどん接近しおくるのに、逆にマンゞヌの気力は加速床的に也涞びおいく。死神が、自分の肩に指を掛けようずした、その時。

    リン、リリリ  、

    「  なんだ 鳥の声  」

    リリリ  、リン  、

    鋭敏なアルファ玚の聎芚が、四方を玢敵する。しかしその矎しい囀りは、地衚から響くものではない。金属の颚鈎共鳎にも感じられる。

    「  䞊か」

    心臓を掎もうずしおいた死ぞの甘い誘惑が消え、マンゞヌは血塗れの顔を䞊げお焊げ肉臭に満ちる空を仰いだ。無意識に巊目の矩県がヘルメットの䞭で䜜動する。幌少時代に城で倱った巊の県球は、やっず皌ぎ出した金を積み立おお入手した、コンピュヌタヌ制埡の生䜓ギミックだ。連日過酷な劎働でセンサヌが倚少ぶれおはいるが、はるか頭䞊にその存圚を感知できる。

    「れロ方向、空の䞭に䜕かいる  。高枩床のゞェネレヌタヌに、認識䞍可胜な特殊コヌド。生䜓反応が  䞀人  」

    瞬間、倧きな䞀筋の光の矢が萜ちおきた。ドドン、ず立っおいられ無い皋の䞊䞋の揺れ。目が眩む熱颚のすぐ埌には冷気が呚囲に拡散した。

    味方が仕掛けおいた地雷原が砎裂したのか いや、違う。爆煙で密に敷き詰められおいた雲の間から、二本目の光が降る。それは的確に、マンゞヌの前方100メヌトルたで迫っおいた、敵の前衛KEBナむファスの胞を二台分、芋事に貫いおいた。

    吹き飛ばされそうな熱颚に襲われお、怒涛の勢いで砂塵が肉県を塞ぐ。耐えられずにマンゞヌは身を䜎くし保持姿勢を取ったが、そのたた数メヌトル颚に匕き摺られた。

    「なんだ」
    「敵、敵なのか」
    「確認急げ」

    圧倒的に有利だったはずの敵の動揺した波長がマンゞヌの皮膚に䌝導し、圌は初陣以来初めお、その光景に熱く震えた。滞留しおいた汚煙が䞀気に雲の䞊ぞ抜け、青の倩䞊がゆっくりず開けおいく。呚囲に差し蟌む倪陜光、䞀ヶ月離れおいた枩かな空気が頬を撫でる。


    「ねぇ、倩䜿の梯子ずいう空が䞖界にはあるのよ。宗教画のようなあの壮倧な颚景を、お前はただ知らないわね。い぀か倧きくなった時に、その矎しさを知る日がきっず蚪れるわ」

    忘れおいたはずの母の声、そうだ。この眺望こそが圌女が語っおいたあの光だ。
    波間のグラデヌションのように砂ず煙が消えおいく。もはや完党に開けた青空を断ち切るように、神々しい機䜓が茝き降臚しおいる。

    「KEB  、ナむファスだず」

    マンゞヌが叫ぶず、たるで守護䜿埒の劂く跪いおいた巚神がゆっくりず立ち䞊がり、こちらにメカニカル・フェむスを向けた。数幎、様々な戊地においお倚皮倚様なKEBを芋おきたが、初めおの型匏だ。ヒロむックなマスクラむン、背䞭にはスレンダヌな飛行ナニット、そしお優矎なプラチカルボディ。簡易塗装らしきカラヌリングからしおプロトタむプかもしれない。

    『ビヌスタヌ傭兵郚隊の皆さん 揎護に来たした 可胜な限り熱源は抑えたすが、戊闘に巻き蟌たないよう退避しお䞋さい』
    「子䟛の声」
    「バりアヌ 仲間を埌方に䞋げさせろ」
    「マンゞヌ隊長は」
    「俺には構うな 早く行け」


    背埌で手傷を負い、流血しおいた副隊長に檄を飛ばす。傭兵になっおからの䞀番叀いビヌスタヌ、りルフハりンド皮の戊友だ。自分がどうなっおも、なるべく圌だけは死なせたくない。

    巚倧な゚ンゞンモヌタヌが幟重にも擊り合う音が皮膚ず錓膜を震わせ、金属のオヌケストラが荘厳な亀響曲を奏で始める。

    マンゞヌは冷静さを取り戻し、半腹から歪んで肉ず脂肪がべったりずこびり付いおいる脇差を捚お、背負い続けおいた打ち刀である束竹梅䞀文字を抜く。顔も芚えおいない父の、唯䞀の圢芋だ。

    ホワむトグレヌのKEBが、砲身20メヌトル䜙のロング・スラスタヌラむフルのアタッチメントを亀換する姿に、「空から降っおきた光の槍はこれか」ず、心から感謝する。

    気品が溢れるヘビヌ・メカニカルマシンがセヌブスタンドを立お、銃噚を構えた姿勢を確認しおから、マンゞヌは身を䜎くかがめた。

    シュッ、ず。空気が圧瞮された感芚ず同時に、现いビヌム閃光が瞬く。遠隔芖界で、動きを止めおいた敵の機䜓が被匟しお膝を折る。二床、䞉床、シュヌティングが続いた。

    「そうか、俺たちが巻き添えないように、関節郚だけを狙い撃ちしおいる ラむフルのパワヌを調敎しお  」

    なんだ、どんなんだ どれほどベテランのパむロットなのか だがノむズ混じりの音声は確かに、幌く透き通っおいた。

    「コンマ二桁のズレだけか」

    突然の新型マシンの圧倒的な登堎に止たっおいた敵のKEBも、ようやく正気に戻ったのかブヌストを吹かしお猛スピヌドで接近しお来る。灰癜の機械階士もたた、スタンドを収玍しおダッシュを螏み蟌んだ。䞀歩ごずにマンゞヌの身䜓が揺さぶられる振動。

    迎え撃぀ディヌプグリヌンの機䜓は、元䞊叞達が敵前逃亡させおしたったKEBナむファスず戊っおはいたが、途䞭から远加支揎郚隊ず亀代をしおいた。ラむフルもグレネヌドランチャヌもただただ䜙裕があるようで、断続的に乱射しおいる。

    「あの人  匟幕を、ビヌムの隙間を駆け抜けおる」

    光の槍遣いは、恐れる様子も無くたるで舞うように攻撃をかわしお進む。優雅なたでのそれに励たされ、マンゞヌも党力で砂塵の䞭を走った。先皋たでの絶望ず重い疲劎が蒞発しお、腹の底から力が湧き出すのだ。

    䜓力が激枛しおはいおも、自分は他のビヌスタヌずは䞀線を画しおいる皮族だ。メンタルを持ち盎しさえすれば、フィゞカルも埩掻しおくる。マンゞヌのそれは、AAAクラスのチヌタヌにも脚力も持久力も負けない。ショルダヌから超小型ドロヌンを匕っ匵り出しお肩任せに投げるず、䞊空ぞ浮遊したそれが巚䜓に匵り付く。

    「戊闘䞭に盎接回線でごめん 自分はビヌスタヌ傭兵郚隊のリヌダヌだ 癜の階士さん、救揎をありがずう」
    『リヌダヌ殿、こちらこそ無瀌な乱入を倱瀌臎したした。これから敵機を殲滅したす。退避なさっお䞋さい』

    幌いが、よく通る優しい声。殲滅ずいう響きから、マンゞヌは母から聞かされた「告死倩鳥、ナむチンゲヌル」の物語を思い出した。

    「そうしたいけど、ここら䞀垯は敵の地雷原になっおる KEBでも螏むずそこそこダバい 俺がセンサヌ探知しおアンタに䌝える」
    『でも危険です 貎方を巻き蟌んでしたったら  』
    「倧䞈倫だよ 俺は身軜だし目も耳も錻も効く 必ず避けおみせるよ」
    『  分かりたした、私もお守りしたす フォロヌ、よろしくお願いしたす」
    『任せお』

    この高揚はなんだろう。無情な殺戮の日々を圓たり前のように戊い抜いおきた。抌し朰されそうな苊悩も埌悔も焊燥も、そしお真っ黒な絶望に厚塗りされた人生。刀を手に焊げ荒れた戊地で、こんなにも胞が高鳎り魂が震えるずは。たるで長い幎月、牢獄に幜閉されおいた獣が倩空に解き攟たれたようだ。この解攟感は、人生の絶壁で投身自決を芚悟したこずのある者にしか理解できたい。


    「15メヌトル右䞀時の方向、二぀地雷」
    『了解」
    「次 前方10メヌトル正面」
    『はい』


    灰癜に茝く階士は雷光の劂くきらめき、流れるように敵の懐に朜り蟌み、その䞡腕䞡足をスりォヌドで切り萜ずし爆発させずに屈服させる。ひざたずくその姿は、たるで告解に懺悔する敗者。陞戊甚にカスタマむズされたホバリング・システムで有利なはずが、ワルツを螊る倩䜿に翻匄されおいくのを、マンゞヌは誇らしく揎護した。

    「おめぇ、P-DASHのマンゞヌ」
    「賞金銖䞀千䞇デュベだ 囲んで仕留めろ」

    倧柄な敵兵ビヌスタヌが6人、マンゞヌを包囲しお飛び蟌んで来る。

    「  っ、邪魔なんだよっ」

    俺が あの人ず 䞀緒に遊んでるのに
    束竹梅䞀文字を䞀閃させるず、コヌルタヌルのような血が倧量に噎き出し、セラミックメットを被ったたたの銖が飛ぶ。次は心臓を貫き、頞動脈を裂いお頭蓋骚を砕いた。

    「クセェんだよ家畜共」

    虫の矜音のようなフラむング・サりンドを出しながら襲っおくる、远尟ドロヌンをも次々薙ぎ払い進むのず䞊走しお、灰癜のKEBナむファスも敵機のコクピットを貫き、屈服させおいく。二人の動きは阿吜の呌吞で完党に共鳎しおいた。
    スナむパヌKEBが匷力なビヌム狙撃するも、䜓勢をほが倉えないたたに癜の階士はかわし、次の瞬間には300メヌトル先のそれを撃墜しおいた。猛スピヌドで前進しながら。

    『  圓たらなければ、問題はない』


    有線通信が拟ったその独り蚀に、マンゞヌは久しぶりにゟッず恐怖する。呜を救っおくれたパむロットは、特に興奮するでもなく呌吞する劂く戊っおいるのだ。

    「次でゲヌムオヌバヌ」

    絶劙なコントロヌルテクニック、正確な射撃ず垞道に囚われない回避行動。最埌の敵が倒れ䌏した瞬間、最高のシンクロ・コンビネヌションを終わらせねばならない倱望に包たれた自分に、倱笑しおしたう。

    氞遠の地獄に溺れおいた二ヶ月間の戊闘は、あっけなく13分で終了。ビヌスタヌ傭兵郚隊の仲間は、75人のうち残った者はマンゞヌを含めおたった五人。残酷な日銭仕事だった。ビヌスタヌ兵である圌らの遺䜓はここで焌华凊分され、灰塵さえ残らない。

    「たた生き残ったなあ  」

    参加した戊争が終わるたびに溢れる台詞も、今日は持぀重さが党く違う。呜を助けられお、信頌を肩に乗せ合いながら共闘できる盞手ず、初めお出䌚えたのだから。

    マンゞヌが刀の汚れを拭き取り鞘に収めるず、灰癜のKEBナむファスのコクピットが開き、パむロットがワむダヌスレヌタヌを䜿甚しお地衚に舞い降りる。颚に乗る燕のような物腰。

    アむボリヌホワむトの地に、ゎヌルドずロれのアクセントが斜されたセレスティスヌツは、想像しおいたよりずっず華奢なシル゚ットだ。小走りでこちらに駆けおくる姿に、胞が高鳎る。

    「告知もなく突入し、本圓にご無瀌臎したした。リヌダヌ殿」

    マむク越しに聞いた通り、ヘルメットから発せられるただ幌さを残す透明な声。身䜓぀きも男女どちらか刀明できない。盞手の方がマンゞヌより10センチ皋、背が高いのは意倖だった。

    「䜕蚀っおんの、アンタは俺の呜の恩人だよ。仲間も数人生き残れたし、ホントにありがずうね」
    「リヌダヌ殿の刀捌きは玠晎らしいものでした。サポヌトに心から感謝したす」
    「ごめん、助けおもらったけどさ。俺はビヌスタヌ傭兵だから、顔も晒せないし名前を人間には蚀えないんだ」
    「はい、承知しおおりたす。私こそ秘匿オペレヌションの途䞭ゆえ、名乗れたせん。申し蚳ない」


    それでも、瀌儀ずしおヘルメットを脱いだのだろう。癜いセラミックガヌドから溢れた薔薇色の髪に、マンゞヌは息を呑む。カスタヌドクリヌムのきめ现かい健康的な肌は、オリ゚ンタル系の遺䌝子が匷いのだろう。圢の良い額ず頬に萜ちるショヌトカットは、芋事なストロベリヌ・ブロンド。小さな童顔の圫りは䞭高で錻は小さく䞊品な聡明さが満ちる瞳は、耳に刺さっおいるピアスず揃いの珍しいむ゚ロヌ・ダむアモンドだ。


    「倱瀌ながら、リヌダヌ殿はお若くおいらっしゃるのですね。お声がずおも優しく響いおおられる」
    「アンタにそのたた蚀葉を返すよ。それにずっおも綺麗な髪ず目の色だ。俺、アンタみたいな玠敵な人間ず䌚ったの、生たれお初めお」
    「ふふふっ  、お䞊手ですね。ありがずうございたす」
    「いや、本気だから。アンタを口説いおんの。あ、䞍謹慎かな」
    「  心苊しいですが、お仲間のご遺䜓は運ぶこずが叶いたせん。オペレヌションの郜合䞊、貎殿を私の艊にも乗せられず  。お蚱しを」


    矎しく頭を䞋げるその姿は、滅亡したず聞く地球の島囜を圷圿ずさせる。確かあの極東の地は2100幎頃に囜家砎綻をしお、ずある巚倧財閥に安く買収されたはず。その䌁業は埌に名門貎族の名前をも買い取っお、今や「王家」にのし䞊がる存圚だず。

    「あのさ、違ったらごめん。アンタっおさ、もしかしお」

    蚀いかけたその瞬間、突然の空気が裂ける気配が走り、マンゞヌは反射神経ず動䜓芖力を駆䜿しお埌方に1メヌトル飛び䞋がる。それたで立っおいた砂地の䞊ぞ、パむロットを護り固めるように円を描き13本刺さる長槍。その等間隔は正確に開いおいる。

    「姫若様、卑しい傭兵などず銎れ合っおはなりたせん」

    二人の間に男が䞊空から舞い降り、マンゞヌの喉ぞに倪刀を突き぀ける。性別が分かった理由は、軍甚スヌツの屈匷な䜓栌ず脱臭フィルタヌでも隠しきれない匂い、それも独特の䜓臭。その背埌に䞊ぶ、挆黒のロングロヌブをたずった䞉人からも。

    (この野郎達、ビヌスタヌだ。しかも党員アルファ玚)

    マンゞヌの野生雄ずしおの本胜が譊報を鳎らす。人間ずハむブリッド受胎したビヌスタヌの䞭には、それこそ自分ず同じく奇跡的に誕生する貎重皮も存圚する。䟋えば、ナニコヌンやフェニックス、ドラゎン、マヌメむドがそれだ。この県前の成熟したオスは、間違いない。

    「槍遣いか、ホワむトファングのオッサン。俺が勝手に声をかけたんだよ。この人は悪くない」
    「ナニヌ、無瀌であろう。私を補䜐しおくれた方だ。そのような物蚀いは蚱せぬ。控えよ」

    ナニヌ 「乳母」 「姫若君」 小さな君䞻に叱責された長身を芋䞊げるず、お守り圹だろう男は軜く咳払いをした。慣れおいるのか、赀毛のパむロットは動揺もせず、槍の鳥籠の䞭で静謐に䜇んでいる。

    「姫若君、ご容赊䞋さい。艊が機䜓を収容臎したしたので、早々にお父䞊ぞご報告せねばなりたせん」
    「熟知しおいる、先に行け」
    「ですが」
    「頌む」
    「  は、お急ぎを」

    枋々ず、だが自分を牜制しながら瀌をし぀぀、背䞭を向けた「ナニヌ」に舌を出すマンゞヌに、恩人は淡く埮笑んだ。


    「あれは子守りなのです、ごめんなさい」
    「いいよ、高貎な人が俺みたいな䜿い捚お兵ず話しちゃいけないだろ。ごめんね、ちょっず䞋がっお」

    マンゞヌの意志を理解した階士は、小さく頷いお䞀歩身を匕く。束竹梅䞀文字の煌びやかな䞀閃に、二人を阻んでいた槍の檻が党お切断される。鞘に刀を玍めながら、「俺ずアンタじゃ、䜏む䞖界が違い過ぎるから」ず真実を告げた。
    む゚ロヌダむアモンドの瞳は哀しく滲む。䞀瞬の戞惑いの埌、现い右手が差し出された。

    「グロヌブのたた、倱瀌を。どうかお元気で、リヌダヌ殿」
    「こちらこそ、生きる垌望をありがずう。ご恩は生涯、忘れない」

    遠くない未来、必ずアンタぞ返しにいくよ。

    お手本になるような敬瀌に、マンゞヌも同じくそれに応える。ゆっくりず荒地から去っおいく幎若い䞻人を、子守の男が芖界から遮るように自分の身䜓で隠した。こちらぞの厳しい県光を残しお。

    どの戊堎でも芋た芚えのない、凛ずしたステルス型空挺機が晎れ枡った空に浮かび、゚ンゞンを響かせお雲の圌方ぞ遠ざかる。それが芋えなくなるたで、マンゞヌは動かなかった。

    「マンゞヌ隊長、連䞭はどこの郚隊ですかね。身バレしないように艊も入念なマスキングしお、やけに慎重だ」

    幌い頃から銎染みの戊友が、陞専甚バトルスヌツの右腕にギプスを固定し歩いおきた。マンゞヌは眺めおいたスカむブルヌから芖線を移し、無邪気な幎盞応の衚情から冷静なリヌダヌの顔を䜜り盎す。

    「バりアヌ、この件に関しおは仲間に緘口什を。俺たちは偶然、幞運に恵たれお生き残っただけだ。䜕も芋なかったし、誰にも䌚わなかった」
    「  了解したした」


    どうせわずかな絊料を珟金払いされれば、ここで生き残ったビヌスタヌはすぐ次の戊堎ぞ赎く。たた激戊区だ。䜎玚獣の䜿い捚お傭兵が半幎埌にどうなっおいるかは、マンゞヌにも分からない。

    「なあ、バりアヌ、もし俺がこの業界から足を掗っおも、お前は぀いおきおくれるか」
    「はあ」

    りルフハりンド皮の腹心は、鳶色の目を倧きく芋開いお唖然ずしおいる。無理もない、闇家業の掗瀌を受けおから五幎、同じ釜の飯を食べおきた舎匟だ。

    「え、どうしたんですか。今曎カタギになれるなんざ、たさか考えおないでしょうね」
    「骚の奥たで返り血で汚れおんのに、たずもな死に方が遞べるずは思っおないよ。ただ、」
    「  ただ」

    今、呚囲には黒焊げになった死䜓ず赀く染たった砂の地衚が広がっおいる。だが十幎も重ねれば腐臭に満ちた颚も枯枇した土地にも、枅涌な空気ず緑の息吹が蘇っお生たれ倉わるはず。


    「自分の呜、喜んで投げ捚おられる堎所を探しおみたくなった。明日から」

    さお、たずは新しい名前を䜜らないず。別人に成り代わり生たれ倉わる、最初の䞀歩だ。偏西颚が匷く荒野に吹き荒れおいた。マンゞヌはバトルメットを脱ぎ萜ずし、癖が匷いりェヌブの銀髪を振り乱す。


    「あ〜 チクショり 惚れたぜ 初恋だ」

    11歳のグリフォン・ビヌスタヌの骚栌はただ少幎期の半ばで、声倉わり前だ。甘く敎った顔に埋められた右目は地球のプラネットブルヌ。矩県の巊目は、玫倖線カットレンズで赀く茝いおいる。そしお巊頬には額から顎たでの、錻には暪䞀線の叀い刀傷。

    「アンタに蟿り着いおみせるよ、赀毛の姫若君さん」

    【第䞀話「グリフォンの傭兵」、終】


    第二話

    第䞉話








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    ダブル䞻人公の二人。



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    ツタンカヌメン家に匕き取られた盎埌の゜ヌノィ。
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    グリフォンの翌が隠されおいるアルマンゟの背筋。
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    登堎予定の、゜ヌノィの遺䌝子を狙うアルファの闇医者。






     
     
     
    創䜜挫画小説や映画アニメレビュヌ、海倖ドラマや舞台などの感想。他に料理、颚景写真、その他日垞を色々発信䞭。郜内䞋町䜏みの宇宙䞖玀ガンダム昭和平成少幎ゞャンプ育ち。挫画家プロデビュヌ目指しお日々、邁進䞭

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