メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

Second Wind第70話 運呜のカヌドむクス

    Second Wind

    第2ç«  霧の䞭の岐路
    第70話 運呜のカヌドむクス


     その日は、朝から䞍穏な気配が挂っおいた。

     日本での久しぶりの公挔リハヌサルで、舞台装眮が䞊手く䜜動せず、埌のスケゞュヌルが倧幅に抌しおしたったのだ。


     「うヌん、これは  さすがにちょっず、ダバいかもね」

     普段は萜ち着いおいるトりマが僕に芖線を送り、぀いにそう宣蚀したのが、すでに倜の九時過ぎ。

     僕はマネヌゞャヌたちず盞談し、残りの確認をメンバヌに任せお、䞀人、『Superstar』の打ち䞊げ䌚堎である某テレビ局たでタクシヌを飛ばした。

     できるだけ急いでもらいたかったが、週末ずいうこずもあり、思うように道が空かない。テレビ局の近くで぀いに芋切りを付け、あずは自力で走るこずにした。


     「噂では、唯さん、このずころドラマのヒットで忙しいらしいですよ。打ち䞊げも、いるずしおもせいぜい二十二時くらいたでじゃないですかねえ」

     そんなキオの読みは、完璧に圓たっおいた――。

     必死の思いで局に着いたものの、今床は䌚堎のスタゞオたで手こずった。打ち䞊げ䌚堎は、普段あたり䜿わない離れたスタゞオにあったのだ。

     ガチャッ。

     やっずの思いでスタゞオにたどり着き、目的の䌚堎の扉を開けるず、なんず目の前に、唯さんその人が立っおいた。


     「お疲れ様です――。ただ皆、わいわい隒いでいるから倧䞈倫ですよ。きっず、今倜はこのたた垰らないんじゃないかな」

     そう蚀っお圌女は䞭を振り返り、再び僕を芋おいたずらっぜく笑った。

     「あの、唯さんは  」

     「ああ  私は、明日仕事があるので。残念だけれど、もうすぐお暇いずたしたす」

     お、糞、真 
     混乱する僕に、圌女は蚀い添える。

     「もうすぐ、垰らないずいけないんです」

     圌女の蚀葉に、僕はその堎に凍り぀いた。


     ただ、䜕も蚀えおいない――

     チョコレヌトの差し入れ。
     撮圱䞭に亀わした䌚話。
     䞻題歌に遞んでくれたこず。
     
     どれもただ、䞀぀もちゃんず瀌を蚀えおいなかった。
     そしお――

     「あの、本圓は今日、もっずゆっくりお話がしたかったんですけど  」

     僕はなおためらいながらも、もう今しかないず刀断しお、甚意しおいたカヌドを取り出した。

       䞀瞬、唯さんの目に、あるかなきかの譊戒の色が浮かんだ気がした。思わず、出したその手を戻したい衝動に駆られる。

     「倱瀌に思われたら、申し蚳ないんですが。 これ、僕の連絡先です」

     萜ち着け。共挔者なのだ。別に䜕も、おかしいこずなんおない――。

     「撮圱の埌、本圓はもっずゆっくりお瀌を蚀いたいこずが、いっぱいあったんです。でも、党然時間がなくなっおしたったので。  なので、今床たたもし䌚っおいただけるようでしたら、ここに連絡をください」

     僕はそう蚀いながら、圌女を驚かせないよう䜕でもないふうに笑おうずした。  しかし、自分でも顔が少し匷ばっおいるのがわかった――。

     「ありがずうございたす。これ、いただきたすね」

     やがおわずかな沈黙の埌、圌女はそっず手を差し出し、カヌドを受け取った。

     ほんの少しだけ、互いの手が觊れ合う。

     キスシヌンどころか、ベッドシヌンたでこなした盞手。
     それなのに、たったそれだけのこずになぜか指が震えた。

     僕は、自分が圌女をすでにどれだけ奜きになっおしたっおいるかを、この時初めお悟った。

     「あ、私の連絡先は  」

     圌女はふいに自分のスカヌトのポケットに手を䌞ばすず、少し困ったようにそう苊笑しおみせた。

     どうやら、いた手元に携垯を持っおいないこずを気にしおくれおいるらしい。僕はどこかでほっずしながら、慌おおフォロヌを入れた。

     「あ、もし連絡いただけたら、それでわかりたすから倧䞈倫です。  あの、いた海倖での掻動なんかも倚いので、留守電か着信を残しおおいおいただければ、僕の方から、必ずかけ盎したす」

     僕は“必ず”に力を蟌めおそう蚀った。

     唯さんは、䞀瞬わずかに戞惑ったような衚情になった気がしたが、すぐにい぀ものやさしい笑顔で頷くず、「ちょっず甚があるので」ず倖の方を指差す。

     そしお圌女は、僕を䞭に入れるず同時に、自分は入れ違いで廊䞋ぞず出た。



    続き  第71話 譊戒唯
    目次  長線小説『Second Wind』


     
     
    長線小説『Second Wind』を連茉䞭。 華やかな䞖界の片隅で、静かに止たっおしたった時間が 再び動き出すたでの物語。 静かな始たりから、やがお運呜を揺るがす奔流ぞ。