
Second Wind|第60話 真実[イクス]
Second Wind
第1章『Superstar』
第60話 真実[イクス]
「待て……!アレン!!」
騒然とする会見場を飛び出し、僕は彼女を追ってすぐさま廊下に走り出た。
「止めないでくれ!」
掴まれかけた腕を振りほどき、彼女の乗るエレベーターの階を素早く確かめながら、背後にそう叫ぶ。
しかし、すんでのところで、彼女にエレベーターのドアを閉められてしまった。苛立ちながら待つ間に、マネージャーが僕に追いつく――。
「待つんだ、アレン。彼女は……彼女は、お前との再会を望んでいない」
マネージャーのアダムスが、僕の手をバシッとはたくように叩く。
思いがけない彼の言葉とその衝撃に、一瞬にしてわれに返った。
「まさか……、知って、いたのか…? 彼女のことを……」
スローモーションのようにゆっくりと、さまざまなパズルのピースが収まってゆく。
「だから、彼女はいつも、絵を届けることができたのか……?」
細かいことばかりをいちいち指摘し、うるさいと思っていたマネージャー。
何度、罵詈雑言を浴びせてきたか知れなかった。
けれど、それでも僕が復活の最初の舞台を踏んだ時、真っ先に観に来てくれたのは彼だった――。
「それでなきゃ、マネージャーだなんて言えないだろう? とにかくアレン。気の毒だが……彼女のことは、もう無理だ」
アダムスが、苦い顔で視線をそらす。
「何が……何が、無理なんだ……?」
ふらふらとすがるように、アダムスの襟をつかむ。
「どれだけ、どれだけ探したと思ってる……? ひと言謝りたくて、愛していると告げたくて……彼女の幸せを、ただ願って……」
そんな僕の様子を見て意を決したように、アダムスは、今度は半ば叱りつけるように言った。
「……聞け、アレン。彼女はな、お前がこの業界から追放されて以来、ずっとセルヴァンの絵を探し続けていた。でもそれは、あくまでお前との“永年契約” があったからだ。だから俺も、絵を届けたいという彼女に協力した――」
(許せ、アレン。これが彼女の、最後の望みだ――)
*続き | 第61話 秘められた想い[唯]
*目次 | 長編小説『Second Wind』