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Second Wind第78話 アクシデントむクス

    Second Wind

    第2ç«  霧の䞭の岐路
    第78話 アクシデントむクス


     圌女からの返事が来おからずいうもの、僕は必死で食べたいものを考えた。

     焌肉、寿叞、倩ぷら、ひ぀たぶし。
     日本で食べたいものずいうず、䜕だか唯さんにはどれもありきたりな気がしお、なかなか決めるこずができない。

     数日悩んだ末に、僕は以前知り合いに連れお行っおもらった、ずおもおいしいも぀鍋の店のこずを思い出した。
     「あそこなら完党個宀だし、お忍びでやっおくる有名人も倚いから、秘密は䜕があっおもしっかり守っおくれる」――。
     その店を玹介しおくれた人は、たしかそう蚀っおいた。

     も぀鍋なんお、圌女は奜きかどうかわからなかったが、なんだかアットホヌムな気がしたので思い切っお提案しおみた。するず、思いのほか良い答えが返っおきた。

    《 も぀鍋、実はただ食べたこずがありたせん。
    ぜひ䞀床、行っおみたいず思っおいたした。楜しみです》

       なんだか食べ物の話をするようになっおから、すごく打ち解けおきたような気がする。僕はすぐに返事を曞いた。

    《 それじゃ、その店に予玄を入れおおきたす。
    少し時間が前埌しおしたうかもしれたせんが、圓日は僕も二十時頃にはあがれる予定です。個宀で埅っおいられるようにしおおきたすので、すみたせんが、盎接お店のほうでお埅ちください》

     僕がそんな返事を曞くず、圌女は぀いに「䜕かの時のために」ずスマホの番号を教えおくれた。

       今日たで䜕床もメヌルをやり取りしおきお、互いに芪近感は以前よりずっず増しおいるはずだった。けれどようやく圌女に䌚える。しかも今床は二人きりでずなれば、やはり緊匵した。

     いくらメヌルで話しおいおも、盎接䌚わなければわからないこずもある。もはや圌女に察する気持ちに迷いはなかったが、それでもやはり、圌女に䌚えなければすべおは意味が無いず思った――。


      玄束の日は、朝から驚くほど順調に仕事が進んでいった。

     い぀も分単䜍でスケゞュヌルを組たれおいる僕たちだが、その日はすべおがスムヌズに運んで、あっずいう間に倕方になった。

     「あれ、むク 今日はなんだか、機嫌がいいですねえ」

     新しい挔目のPRを兌ねた撮圱の合間にも、キオは僕の顔色を芋お、ひゅヌひゅヌず口笛を吹く真䌌をする。それをトりマが、暪からい぀ものように、半ば苊笑気味に眺めおいた。

       そしお事件は、その日の仕事が終わる間際に起こった。

     撮圱䞭に機材が倒れ、撮圱スタッフの䞀人が怪我を負っおしたったのだ。僕も含めお皆が察応に远われ、撮圱は䞭断した。怪我をしたスタッフは念のため病院に搬送されたが、代理のスタッフが到着するたでにかなりの時間がかかっおしたった。

     圌女には、あらかじめ時間が前埌するであろうこずを䌝えおあった。けれど、ようやく事態が萜ち着いお時蚈を芋た時、さすがにぎくりずする。

     ダバいな  もう、二十䞀時か――

     䞀旊珟堎に出おしたえば、い぀撮圱が始たるかわからない。
     唯さんにひず蚀連絡を入れたくおも、iPhoneを取りに行くこずもたたならない。
     心の䞭で、日本語で蚀う詫びの蚀葉を幟床も緎習しながら、結局、僕は最埌たで自分の仕事を党たっずうするしかなかった――。

     仕事が終わるず、今日は玄束があるからず断っお、メンバヌやマネヌゞャヌず軜く挚拶を亀わし、すぐに唯さんに電話を入れる。
     圌女はすでに店に着いおいたが、アクシデントで撮圱が䌞びたこずだけ手短に詫びるず、自分も明日は半䌑だから気にしないでくれず蚀っおくれた。

     僕はタクシヌで急いで行くからず䌝え、電話を切った。

     しかしタクシヌに乗っおはみたものの、倩気が良くないせいか道が䞀向に空かない――。

     歯を食いしばりながら小䞀時間、必死に耐えお店に着いおみるず、結局、時刻は二十二時半をずうにたわっおしたっおいた。

     「お連れ様は、お郚屋でお埅ちです」

     優雅に着物を着こなした品の良い幎配の仲居さんが、䞁寧に個宀ぞず案内しおくれる。
     けれど今の僕には、それすらもひどくもどかしく思えた。

     
     和颚のモダンな匕き戞が開かれるず、間接照明の䞭に、普段よりもいくぶんゆったりずした服に身を包んだ圌女の姿が浮かび䞊がった。

     「お埅たせしお、すみたせん  」

     僕は急いで背䞭のリュックを䞋ろし、掘りごた぀にいる圌女に向かっお、半ば膝を぀きながら頭を䞋げる。

     倩䞋の〈有石ありいし唯ゆい〉を二時間も埅たせた奎なんお、きっず僕が最初で最埌なのにちがいなかった。



    続き  第79話 玠顔むクス
    目次  長線小説『Second Wind』



     
     
    長線小説『Second Wind』を連茉䞭。 華やかな䞖界の片隅で、静かに止たっおしたった時間が 再び動き出すたでの物語。 静かな始たりから、やがお運呜を揺るがす奔流ぞ。