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Second Wind第64話 芜生え始めた想いむクス

    Second Wind

    第2ç«  霧の䞭の岐路
    第64話 芜生え始めた想いむクス


     「やっぱり、僕ずしおは、今床の打ち䞊げの時が狙い目だず思うんですよ」

     ずあるファッションブランドのCM撮圱で、むタリアぞず向かう機内――。
     トむレに立った぀いでに、キオが僕の垭に立ち寄った。

     「ずにかく䞀床、真剣に考えおみた方が良いず思いたすよ」

     
       このずころ、僕は少し倉だった。

     あのドラマの撮圱が終わっお以来、なかなか日垞に戻れずいる。
     こんなに短期間に、しかもかなり集䞭しお挔技に取り組んだこずが初めおだったせいか、今もどこかでアレンが僕の䞭に息づいおいるような気がするのだ。

     それに、最埌に唯さんにきちんず挚拶ができなかったこずが、ひどく気にかかっおもいた。
     他のキャストやスタッフずもそうだが、結局最埌はバタバタず撮圱が終わっおしたい、攟映日も近いこずから「あずはゆっくり打ち䞊げの時に」ずいう雰囲気になっおしたった。

       いや、しかしそれはすべお口実で、本圓は自分でも薄々気づき始めおはいた。

     撮圱所の裏庭にひっそりず立぀、銀杏の朚にも䌌た圌女――。
     さすがに仕事の時だけは集䞭できおいたが、それ以倖は、ふず気が぀くず知らぬ間に圌女のこずを考えおいる自分がいた。

     シンガポヌルに戻り、久々に少しだけ早く仕事を䞊がれたある日、飲み物を取りに郚屋から出おきたキオを思い切っお呌び止めた。

     「今、ちょっず  いいか」

     キオはあたり驚いた様子も芋せずに、少し予想しおいたかのように軜く頷くず、すぐにひょいずダむニングの怅子に腰掛けた。

     同郷のキオずは、レッスンを受けおいた頃から、匟か家族のような関係を築いおきた。他にもメンバヌはいるが、こういう時に自然ず話せるのは、やはりキオだった。

     「  むク。たず聞いおおきたいんですけど、それっお本圓に "お䞖話になったお瀌" が蚀いたいだけなんですか」

     キオにだけは䞀蚀話しおおくべきだず思い、僕はたず、“圌女のこずが気になっおいる”ずだけ䌝えた。

     抑えなければならないはずの心を、どこかで匕き止めおもらえたら――。そんな想いも、心のどこかにはあったのかもしれない。
     けれど、しばらく沈黙した埌、キオは逆に僕ぞそう聞き返した。

     「  うん。実は自分でも、よくわからない」

     "ARKLINEの日本での掻動が軌道に乗りかけたこんな倧事な時期に、䞀䜓俺は、䜕をやっおいるんだ"――。

     そんな想いが垞に胞の内にあっお、答えはどうしおも煮え切らないものになる。

     「たあ  ずりあえず、自芚らしきものはあるんですね」

     「  そう、だな」

     わずかに沈黙した埌、僕は目を閉じおひず぀溜め息を吐くず、自分にもキオに察しおも、぀いに芳念したようにそう答えた。

     ここ数日、その想いは䜕床抌し殺しおもたた芜生え、自分の頑なさに呆れるほど匷くなっおいた。

     しかし僕がすべおを語らなくおも、キオは僕の胞の内や蚀わんずするこずをすぐに理解しおくれたらしい。少し目を䌏せ、テヌブルに肘を付いお思案するような衚情になるず、たた口を開いた。

     「  たあ、単なる挚拶云々皋床のこずであれば、僕よりはるかに行動力のあるむクが、わざわざこうしお盞談なんかしおくるはずはないですよね。  それにむクは、そんなに簡単に女性を奜きになれるタむプでもないですからねえ」

     こういう時、キオは昔から、絶察にからかったりはしなかった。根が照れ屋なので冷めたふうを装っおはいるが、実は人䞀倍情に厚いし、思いやりがあった。

     「でも、このたたしばらく時間が経おば、い぀か想い出になっおいくような気もする」

     今ずなっおはあの撮圱の日々が倢の䞭の出来事のようにも思えお、僕は぀いそんな匱気なこずを呟いた。

     するずキオは、少し驚いたように顔を䞊げ、頬杖を付いおいた手を離すず目を䞞くする。

     「  ずりあえず、あたりにもむクらしくない発蚀で、ビックリなんですけど。前はもっずこう、女の子に察しおは "向こうもきっず俺を奜きになるぜ" くらいの勢いだったじゃないですか」

     「俺も、歳かなあ  」

     蚀われお、少し情けなくなる。
     若い時のこずを蚀われるずそれこそ顔から火が出そうだが、たしかに以前付き合っおいた圌女たちの時のこずを思い返すず、さすがにそう蚀われおも仕方がない。

     「  うヌん、これっお、本来であれば "そうですね、歳っお怖いですよね" ず党面肯定したいずころなんですけど。でも今回ばかりは、盞手があの唯さんでは、匱気になっおも無理はない――ずしか蚀いようがないですね、正盎なずころ」

     キオはそう蚀っお䞀床垭を立぀ず、キッチンでコヌヒヌを淹れおきおくれた。



    続き  第65話 胞に残る人むクス
    目次  長線小説『Second Wind』


     
     
    長線小説『Second Wind』を連茉䞭。 華やかな䞖界の片隅で、静かに止たっおしたった時間が 再び動き出すたでの物語。 静かな始たりから、やがお運呜を揺るがす奔流ぞ。