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Second Wind第101話 拒絶の理由むクス

    Second Wind

    第2ç«  霧の䞭の岐路
    第101話 拒絶の理由むクス

    ※恋愛関係における芪密な描写を含みたす。


     「もう少し、僕を信じおもらえたせんか」

     想いを蟌めお、圌女にそう告げた。
     怪蚝そうに目を现める圌女に、僕は続ける。

     「僕は  あの時、蚀ったはずです。“䜕があっおも、すべおの責任は僕にある”、ず――」

     あの倜の、圌女の瞳。声。肌のぬくもり。
     どれを取っおも、僕には圌女が突然䌚えないず蚀っおきた理由に繋がるものは芋い出せなかった。そしおたた、圌女があの倜、ただの気たぐれだけで僕ずの時間を過ごしたずはずおも思えなかった。

       そしお今、圌女本人を再び目の前にしおもなお――。

     考えられるずすれば、その䞍可解な心倉わりの理由はもはやたった䞀぀しかないはずだった。


     圌女はやがお、遠くを芋るようにふっず笑うず、ふいにひどく意地悪な笑みを浮かべお僕を芋た。その目に、劖しい光が点る。

     「なんのこずを、仰っおいるのかわかりたせんが。  私は、もしかしたら気たぐれにあなたをもおあそんだだけなのかもしれない。そんなふうには、思われないんですか」

     蚀われおふいに、胞の奥で䞍安が銖をもたげそうになる。

     そんな可胜性を、たったく考えなかったず蚀えば、嘘になる

     しかしそんな䞍安を抌し留めたのは、他ならない、あの倜の圌女自身の蚀葉だった。

     “  このたたで。これ以䞊は、きっず  戻れなくなりたす”――


     抌し殺すような沈黙の䞭、遠くに聞えるスタゞオのざわめきだけが廊䞋に響く。

     圌女は今、䞍自然なほどに僕に察する敵意をちら぀かせおいた。 
     匷したたかで孀独な女優の、挑むようなそのたなざし――。

     ああ  やっぱり、そうだったのか

     圌女があの朝、玠っ気なく出お行っおしたった理由。
     そしお今、僕をこんなにたで突き攟そうずする理由。

     真っ盎ぐで透明な、圌女のたなざし。
     情事の合間の、どこか寂しげに僕を芋぀めおいた、あの透明なたなざし。

     “  むクス”――。

     僕に抱かれながら、圌女が唇を震わせお初めお呟いた、僕の “名前”。

       貎女は、きっず知っおいたのに。
     こうなるこずを知っおいたのに、あの倜、僕に抱かれた。
     それだけで、もう答えは十分じゃないか。

     それでもこうしお拒絶するのは、やっぱり僕のため  

     そう思っおもいいんだろうか。
     そんなふうに、うぬがれおしたっおも。

     それを確かめたくお、今日はここぞ来た。
     こんな、仕事䞭に圌女を捕たえるずいう無理を通しおたで。

     なぜもっず早くに連絡を取らなかったのか。
     圌女の決心が固たっおしたう前に。圌女䞀人の肩に、こんな重荷を背負わせおしたう前に――。

     圌女の芖線は、もっず先を芋おいた。
     おそらく僕のキャリアの数幎埌、数十幎埌。幌い頃からこの業界に身を眮き、その恐ろしさを熟知する圌女なら、それは圓然のこずだったのだろう。

     それでも圌女は、僕に抱かれた。

     そうだ。このひずは  そういう人なんだ――

     考えられたこずじゃないか。ほかならぬ、〈有石ありいし唯ゆい〉の名を背負っおきた圌女なら。

     い぀もそうしお生きおきた圌女ならばきっず、今床もたた最初から、すべおを䞀人で背負っお消える芚悟をしおいたはずだった。

     あの倜、互いに惹かれ合っお止められなかった、二人の想いのすべおの責任を䞀人で匕き受けお。

     これ以䞊、僕に䞀歩も螏み出させたいずする、矎しくも悲しい圌女の姿。
     僕は、思わず目を现める――。

     「貎女から芋れば、僕はひどく頌りなく芋えるのかもしれない。でも、これでも二十五の男なんです。貎女に心配されなくおも、自分の未来には、自分で責任を持ちたす」

     どんなに蚀葉を尜くしおも、今の想いを䌝え切るこずはできないだろう――。 
     けれどようやく僕がそれだけ告げた時、圌女の瞳に初めおわずかな驚きず戞惑いの光がよぎり、完璧で矎しい仮面にほんのわずかなヒビが入った。

     かたわず、僕は続ける。

     「僕は、貎女をもっず知りたいず思う。そしお僕は、貎女もたた同じように感じおいるず思うんです。ちがいたすか」

       僕の思い過ごしだずしおも、かたわない。
     圌女にずっお、僕がどんなに小さな存圚だろうず――。

     けれど、僕にだっお、確かな “芚悟” があったのだ。
     あの倜、圌女に口づけたあの時から。



    続き  第102話 その先の恋むクス
    目次  長線小説『Second Wind』


     
     
    長線小説『Second Wind』を連茉䞭。 華やかな䞖界の片隅で、静かに止たっおしたった時間が 再び動き出すたでの物語。 静かな始たりから、やがお運呜を揺るがす奔流ぞ。