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Second Wind第77話 揺れる心唯

    Second Wind

    第2ç«  霧の䞭の岐路
    第77話 揺れる心唯


     ずうずう、逃げられないずころたで来おしたった――

     ほが毎日のように送られおくるメヌル。

     矎しい田舎の颚景や、倧きな撮圱セットの朚。䞭には仕事で行ったのか、テヌマパヌクや海倖の写真などもあった。

     写真はいっぱいなのに、決しお圌自身は映っおいない。
     そういった小さな配慮に圌の心遣いを感じた。

     時には仕事䞊の質問などもあっお、私はわかる範囲で答えた。圌もたた、自分の考えおいるこずを時折曞き送っおきた。

     仕事に臚む時の気持ち。コンディションの持っおいき方。
     ファンぞの察応の仕方。日本語での衚珟方法。
     最近ふず気づいたこず。生きおいく䞊での心のヒントのようなもの――。

     内容は雑倚だったが、どこにも圌なりの理解ず仕事や人生に察する創意工倫が芋られお興味深かった。

     いったいなぜ圌が、そんなこずを私に曞き送っおくるのか――。

     それを疑問に思わないでもなかったが、時折なるほどず思わせられるこずもあっお、玔粋に面癜かった。

     仕事に察する確固ずした信念ず、思慮深さ。
     ARKLINEアヌクラむンずしおの葛藀ず、さらなる飛躍ぞの向䞊心。

     人に察する誠実さ、優しさ、思いやり。
     䞀人の男ずしおの、匷さ、激しさ、がむしゃらさ。冷ややかで、どこか萜ち着いた物の芋方――。

     限られた日本語力を駆䜿しお綎られるその文面からは、それでもドラマの撮圱時には知り埗なかった圌の人間性が窺い知れた。

     圌からのメヌルはい぀しか仕事の合間の楜しみずなり、私は圌に察する自分の感情が、単なる興味ずいう枠を超え぀぀あるのを自芚し始めおいた――。

     い぀ものように垰宅するず、シャワヌを济びお冷蔵庫にあった梅酒を取り出した。すぐにストックしおあった炭酞氎で割り、それを持っお゜ファぞず移動する。

     傍らに眮いたスマホを手に取り、私はもう䞀床むクスさんからのメヌルに目を萜ずした。


    《 銀杏の写真、喜んでもらえおよかったです
    燃える、ず、萌える。今、ちょっず挢字で曞いおみたした。
    萌えるずいう蚀葉は、想像するだけで本圓に元気が出おきたすね。

    前にお話しした、食事のこずなんですが。
    今週末、僕は少し時間ができそうです。
    唯さんも、仕事が忙しそうなので、䜕か元気の出るものでも食べたせんか
    よかったら、たた返事ください。

    むクス 》


       挢字を緎習する圌の姿を想像しながら、ゆっくりず返事を打ち始める。わずかにカヌテンを揺らす静かな颚の音だけが、宀内に響いおいた。


    《 お誘いありがずうございたす。
    今週末ですが、幞い時間が空きたした。
    元気の出るもの、良いですね。

    むクスさんは、䜕か召し䞊がりたいものありたすか
    その日はお台堎での取材が最埌なので、私は遅くおも二十時頃には䞊がれるず思いたす。
    たたご郜合をお知らせ䞋さい。

    唯 》


     圌からのメヌルを受け取った時、すでに私の心は決たっおいた。

     どんなに迷いがあったずしおも。
     どんなに危険があったずしおも。

     そしおこの決断が、今埌、私たちの呚囲にどんなこずをもたらすこずになろうずも――

     もう、誀魔化すこずはできない

     ここ数ヶ月、真倜䞭から早朝たでただの䞀床も空くこずがなかったスケゞュヌルがこの日に限っお空いたのも䜕かの瞁なのかもしれない。

     それに䜕より、自分自身が、むクスさんずもう䞀床䌚っおみなければ気が枈たなかった。

     もう䞀床、文面を読み返しお、送信ボタンを抌す。

     私は、知りたかった。

     なぜ圌は、他の人ず違うのか
     なぜ圌は、私を "䞀人の人間" ずしお芋ようずするのか

     そしお圌の本心は、いったいどこにあるのか
     私たちは、これからどこぞ行こうずしおいるのか  

     圌のメヌルからは、確かに私に察する䜕がしかの特別な想いが感じられる。

     それがただの私の思い過ごしであるならば、その方がよかった。圌がただの埌茩ずしお私ずの亀流を望んでいるのなら、むしろその方が有り難い――。

     けれど、この予感がただの思い過ごしであるずいう確信を埗るために、私はどうしおももう䞀床、圌に䌚わなければならなかった。



    続き  第78話 アクシデントむクス
    目次  長線小説『Second Wind』


     
     
    長線小説『Second Wind』を連茉䞭。 華やかな䞖界の片隅で、静かに止たっおしたった時間が 再び動き出すたでの物語。 静かな始たりから、やがお運呜を揺るがす奔流ぞ。