
Second Wind|第59話 『再会』[唯]
Second Wind
第1章『Superstar』
第59話 『再会』[唯]
「…今日、ここに来てくれているんでしょう? 最後の一枚を届けるために。僕と貴女との、永年契約を果たすために」
彼の視線の先を追うようにして、人々が次々と振り返る。
私は身がすくんだように、その場に釘付けにされた。
動けるはずがなかった。
「……」
やがて会見場の中が、徐々にざわめき立ってくる。
マスコミ関係者の何人かが、アレンの奇妙な言動に戸惑いを隠せない様子で、あからさまに怪訝な表情を見せた。
しかし、それでも彼はひるまなかった。
……ガタッ――。
突然響いた椅子の音に、皆が一斉に私の方を振り向く。
目立たないネイビーのコート。白いブラウス。今日のために選んできた、彼の知らない服装だった。
アレンの目が見開かれ、マイクを持っていない片手が壇上のテーブルクロスを握りしめる――。
私は静かにサングラスを外すと、その場で絵にかけられていた布に手を掛けた。
「ルネ・セルヴァンの幻の連作、最後の一枚。『再会』です」
……これが、ミュージカルスター、アレン・キウを支え続けたもの。
これが、彼の安らぎと引き替えに、人々が見てきた夢の代償。
人々に見えるように絵を掲げると、ただ一言だけこう告げてそれを置き、私は会見場を後にした。
*続き | 第60話 真実[イクス]
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