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Second Wind第82話 たなざしの矛先唯

    Second Wind

    第2ç«  霧の䞭の岐路
    第82話 たなざしの矛先唯


     「 唯さん。ずおも倱瀌なこずだず、承知で蚀いたす。今日この埌、僕に少しだけお時間をいただけたせんか―― どうしおも、芋おいただきたいものがあるんです」

     突然、私に向けられた、たなざしの矛先――。
     
     圌の口から攟たれたその蚀葉を前に、私は身じろぎするこずができなかった。

       䞇人に愛される無邪気さず、奜たしい穏やかさの䞭にひそむ、挆黒の炎。運呜を自らの手で動かそうずする、匷固な意志。

     私は、動けなかった。圌の蚀葉を聞きながら、い぀しか柄にもなく、感動さえ芚えおいる自分に気づく。そしお今、そのこずに、誰よりも私自身が驚いおいた。

     綺麗事ではない、本物の想いだから、響くのだ――


     "アレンを、助けたかった"――。

     "アヌティストである前に、たず䞀人の人間ずしお誇りを持ちたい"――。

       この業界に、そんなこずを本気で考える人間がいるなんお――

     その答えなら、圌の盞手圹を務めた私自身が䞀番よく知っおいるはずだった。
     
     こんなに真剣に誰かを、しかもドラマの䞭のキャラクタヌである自分の分身を"救いたい"などず願う圹者がいるだろうか

       たしかに、愚かだず嘲笑う人もいるだろう。入れ蟌みすぎだ、頭がおかしいんじゃないかず蚀う人もいるだろう。

     けれど、私には死んでも圌を嘲笑わらうこずなどできなかった。  アレンや圌ず同様、ファンから寄せられる巚倧な愛情に戞惑い、傷぀き、時に怯え、感謝し、そしお幟床ずなく救われたこずのある私には――。


     「芋せたい、もの  」

     間接照明にほんのりず照らし出された圌の端正な顔を芋぀めながら、私はかろうじおそう問い返した。

     シャヌプな顎。匕き締たった胞。どこか幌さを感じさせるのに、時ずしお恐ろしいほどの揺るぎない光を攟぀、真っ盎ぐな挆黒のたなざし――。

     黒目がちなその瞳は、小動物を思わせるようなあどけなさで、時に圌を幌く芋せる。しかし今、その瞳は闇の底にひずしずく滎り萜ちる黒氎晶のごずく、艶やかで力匷い茝きを攟ち、射抜くように私をずらえおいた。

     そう、あのスペむンの倜に感じた"闇に浮かぶ炎"そのものが、いたそこにあった。

     「実は  、興味を持っおいただけるかわかりたせんが、この間の、僕が剣舞をやった番組のVTRが届いたんです。もしよかったら、唯さんに、ぜひ䞀床芳おいただけたらず思っお」

       しかし、しばしの沈黙の埌に圌の口から飛び出したのは、そんな拍子抜けするような䞀蚀だった。

     先ほど芋せた鋭さが嘘のように、圌の衚情からは次第に力が抜けお、少し恥ずかしそうな気配が芋え始めた。

     そんな様子に、私も思わず緊匵の糞がほどけた。

     「ああ、この間の  。あの番組は、もう攟送されたんですか」

     ずりあえず差し障りのない蚀葉を返しおはみたものの、最埌はなぜかふず本気で興味が湧いおきお、そんなふうに問い返しおしたう。

    「あっ ええ   ちょうど今週、メむンの郚分が攟送されたようです。あの、スペむンで緎習しおいた挔目の回なんですが」

     私が興味を瀺したこずが嬉しかったのか、思わずむクスさんも笑顔をのぞかせる。

    「そうだったんですか  。それじゃあ、あのスペむンロケの頃は䞀番倧倉な時期だったんですね」

     私は真倜䞭の廊䞋で䞀人緎習を重ねおいた、圌の真剣な様子を思い返した。

    「ええ。あの頃は、ちょうどいろいろなこずが重なっお、䞀番しんどい時でした。でも、䜕ずかやり遂げるこずができたした。だから、あの時いろいろお䞖話になっお、励たしおいただいた唯さんに、ぜひその成果を芋おいただきたくっお」

     圌はそう蚀うず、

    「実はVTRが今日届いたばかりで、自分でもただ芳おいないから少し怖い気もしたす」

    ず付け加えお、小さく笑った。



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    目次  長線小説『Second Wind』


     
     
    長線小説『Second Wind』を連茉䞭。 華やかな䞖界の片隅で、静かに止たっおしたった時間が 再び動き出すたでの物語。 静かな始たりから、やがお運呜を揺るがす奔流ぞ。