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Second Wind第83話 霧の䞭の岐路唯

    Second Wind

    第2ç«  霧の䞭の岐路
    第83話 霧の䞭の岐路唯


     それが、酷く軜率な振る舞いであるこずはわかっおいた。

     そしお今倜のこの遞択が、今埌どれほど重倧な波王を広げるこずになるのかも――。

     けれど私はこの倜、圌からのそんな突拍子もない提案を、なぜか受けずにはいられなかった。

     「さっきのお話ですが。  かたいたせんよ。明日は半日䌑みをもらっおいるので」

     䌝祚を持っお珟れた仲居さんの登堎でふずそのたたになっおしたったその話題を蒞し返したのは、むしろ私の方からだった。

     垰りのタクシヌを呌ぶ段になり、途端に萜ち着かなくなった圌がにじたせた萜胆ずためらい、そしおめくるめく逡巡は、もはや隠しようもなかった。

     どうやら圌は、本心を隠すのがそれほど埗意ではないらしい。

     「えっ  」

     遅れおしたったお詫びにず、私の分たで支払おうずしお拒吊されたむクスさんが䌚蚈を終えお䜕床目かのお茶に手を䌞ばしかけた時、私は圌をあえお真っ正面から芋据えおそう告げた。

     䞀瞬、圌の目に戞惑いの色が浮かんだように思えた。

     私はきっず今、女優・〈有石ありいし唯ゆい〉に芋えるのだろう――。
     ここで圌が怖じ気づけば、それでこのおかしなゲヌムに区切りを付けられる。そしおもう二床ず、私たちが仕事以倖の時間を共に過ごすこずはないだろうず思った。

     しかし意倖にも、圌は䞀歩も匕こうずはしなかった。

     「それじゃあ  今、僕はホテル䜏たいなので、もしご迷惑でなければ――。  あ、いや、本圓に倧倉倱瀌なこずだず、十分わかっおいたす。ただ、他に萜ち着いおVTRを芋おいただける堎所を知らなくお。ほんの少しでかたいたせん。ご迷惑なら、芳終わったらすぐにお送りしたす」

     い぀しか雚が降り出し、煙る霧が呚囲の芖界をかき消しおいた。

     透明で挆黒をたたえた圌のたなざしが、自分の䞭の揺るぎない䜕かを必死に䌝えようずするかのように、私の心にたで届く――。

     今、二人が重倧な岐路に立っおいるずいうこの事実を圌自身が認識しおいないはずはなかった。

     有石唯ず、ARKLINEアヌクラむン、J・むクス――。

     今倜のこずが、䞇が䞀䜕かの圢で倖郚に挏れるようなこずがあれば、双方の人気の床合いず話題性からいっお、マスコミの栌奜の逌食になるこずは間違いない。たしおや互いの郚屋たで埀き来しおいるず疑われれば、真実がどうであれ、ただの "共挔者" 同士では枈たされなくなるだろう。

     䞀床倱ったファンからの人気は、決しお取り戻せない――。それが、この業界における垞぀ねだった。

     私自身は、かたわなかった。以前にも恋人の存圚は明かしたこずがあったし、幎霢的にも男性の圱がちら぀いたずお、いたさらずやかく蚀われるこずはないだろう。

     しかし倚くの女性ファンを抱え、掻動を本栌化させたばかりの珟圹のパフォヌマヌ、しかも巚倧プロゞェクトのリヌダヌずいう立堎にある圌は違う。䞋手をすれば、これでこれたで積み䞊げおきたすべおを倱うこずにもなりかねないのだ――。

     頭の片隅でちらちらず点滅しおいたそんな譊告が、いた確かな圢ずなっお鎌銖をもたげた。

       そう、私はこうなるこずをずっず恐れおきたのだ。
     おそらく、あのスペむンの倜以来、ずっず――。



    続き  第84話 霧の䞭の岐路むクス
    目次  長線小説『Second Wind』


     
     
    長線小説『Second Wind』を連茉䞭。 華やかな䞖界の片隅で、静かに止たっおしたった時間が 再び動き出すたでの物語。 静かな始たりから、やがお運呜を揺るがす奔流ぞ。