
Second Wind|第55話 『復活』[イクス]
Second Wind
第1章『Superstar』
第55話 復活[イクス]
「これは……『復活』……?」
……短くした髪に軽くパーマをあてた僕は、数日ぶりにミュージカルスターの表情に戻っていた。
自信家なアレンを逆恨みした元エージェントの画策により、一夜にして仕事と周囲からの信頼を失った彼は、財政的に困窮し、やがては所蔵していたセルヴァンの絵まで手放さざるをえなくなる。
傷心の中で、半ば自暴自棄になるアレン。
しかし手元に一枚だけ残した、かつて彼が初めて手にしたセルヴァンの絵が、そんな彼の魂を救った。
これまでのプライドをすべて捨て、再び必死に再起への道を模索するアレン――。
“……セルヴァンは、生存中には評価されることのなかった不遇の画家でした。けれど彼は、どんなに貧しくとも、どんな絶望的な状況にあっても、絵を描き続けたんです。きっとそんな彼の魂が、作品には宿っているのかもしれませんね”
“またいつか、セルヴァンの絵が観たい”。
その想いと、あの時の早妃の言葉が、彼を支え続けた。
やがて二年の月日が流れた時、ようやく主演を任された舞台の初日に、ある一枚の絵画が届く。
ミュージカルスター、アレン・キウの“復活”を意味する初日の舞台。
僕は今、手の中に一枚の見事なセルヴァンの絵を手にしていた。
「これが…どうしてここに……?」
脳裏をよぎる、失われたと思っていた、あの日の “約束”――。
絵を抱えたまますぐに楽屋を飛び出すと、僕は廊下を全力で駆け抜け、出口まで走った。
しかし結局、警備員に訊いても、誰の姿も見つけることはできなかった。
……送り主の名は、どこにもない。けれど、僕には確かな心当たりがあった。
「……見つけた、のか?」
じっと、絵を見つめる。
今まさに昇らんとする太陽。
その直前の興奮と緊迫感、幸福にあふれた未来への予兆を感じさせるとても見事な作品だった。
……やがてその絵をドレッサーの前に立てかけると、僕は静かに、決意を新たにして舞台へと向かった――。
*続き | 第56話 果たすべき約束[唯]
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